ほぼ日刊イトイ新聞 フランコさんのイタリア通信。アーズリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。
2008-09-02-TUE
秋色のミラノ。


8月末のミラノの街は、
まったく独特な美しさをかもしだします。
最後の「夏のバーゲン」の後に、
秋の装いで再開する店など、
街の全てが秋色に染まり始め、
まるで生まれ変わったかのようです。

ヴァカンスからミラノにもどり、
ぼくは8月末の、ある午後に、
「ファッションのトライアングル」と言われる、
マンゾーニ通り、モンテ・ナポレオーネ通り、
スピーガ通りに囲まれる地区を歩いてみました。
そこには、もうすでに、
この冬の最先端のファッションが
ウィンドウに用意されているのですが、
でも、なんだかまだ「工事中」のような感じもします。

コルドゥージオ広場で見かける
赤みがかった黄色の古いトラムは、
ぼくを40年くらい前の時代にひきもどしてくれます。

トラム

あのころには、交通渋滞も今ほどひどくはなく、
街はもっと穏やかでした。
イタリアの中では「魅惑的」と
評される事がほとんど無いミラノ
(ぼくは、この評価はまちがっていると思いますが)、
その素晴らしさを、あのころのように、
ゆっくりと味わってみましょう。

最先端のファッションを見ながら。

まず、モスキーノのウィンドウです。
布製のウサギがテーブルについていますね。
まるで童話の世界から抜け出してきたみたいです。

モスキーノ

その一方で、ジャン・フランコ・フェレのウィンドウでは、
若く生き生きと仕事をする女性への提案
といったところでしょうか。

フェレ

通りの向かい側にあるミッソーニでは、
パステルカラーを使用した、
ほとんど「様式の正論」ともいえる
メンズの最新コレクションが見られます。
ペルーの伝統的なモチーフから導き出された柄は、
色合いをデリケートなものに変えられています。
そう、2008/2009秋冬のメンズには、
デリケートな色が来ますよ。
「マッチョ」向けのハードな装いは、無し。
ミッソーニは、レディースも同様に、
繊細で優雅、洗練されたエレガンスを優先させています。

ミッソーニ

さて、モンテ・ナポレオーネ通りのグッチへ行きましょう。
メンズ、レディースとも、豪華さの真髄、
世界中の「イタリア製無しではいられない」人々が集まる
最高峰地点です。

グッチ

その10メートル先では、
豪華さもここに極まれり、目がくらむ、
という光景にでくわしました。
ブルガリの店先に、漆黒のランボルギーニ!!

ブルガリ

もう、なんだか良く分かりません。
ユーロもドルも、あなたがたが回して下さい、
ここは、あなたがたの場所です、
という気分になりました。

フェラガモも、メンズ、レディースを問わず、
「足の憧れ」でありつづけています。

フェラガモ

ガッレーリアを通り抜ける。

ドゥオーモ広場に向かいながら、
ガッレリーアを通り抜けます。

マクドナルド

ガッレリーアの中心にあるプラダのウィンドウは、
輝きを増しました。

プラダ

そのすぐ上に、ヨーロッパで唯一、7つ星に輝くホテル
「タウン・ハウス」の窓が並びます。
このホテルでは、
専任の執事が1日24時間付いている部屋が、
1泊4000ユーロ(64万円強)です。

ガッレリーアのドゥオーモ広場側の門の下には、
時計のグリモルディの店があります。
ヴァ・ヴェーネ(結構、オーケー)という名前の、
新しい素敵なニューモデルラインを展示していました。

グリマルディ

ぼくのミラノ散歩をお城の広場で終えるころ、
素晴らしい夕陽が沈もうとしていました。
この夕陽は「made in Italy」じゃありませんけどね。

ミラノの夕日


訳者のひとこと

いや、この夕陽も
「made in Italy」でしょ、フランコさん。
だって、この景色の、この夕陽は、
ここでしか見られませんからね。

ところで、文中のトラムの色ですが、
原文にはrosso(赤)となっていたのを、
「赤みがかった黄色」と訳しました。

イタリア語では
卵の黄身の正式名はtuorloなのですが、
一般的にrosso d'uovo(卵の赤)とも言います。
まあ、日本語でも信号の緑を「あお」と
いいますから‥‥。

ちなみに卵の白身は、正式にはalbumeですが、
bianco d'uovo(卵の白。まんまですね)とか
chiaro d'uovo(卵の明るいところ)
などと言います。

モスキーノ

翻訳/イラスト=酒井うらら



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