バレエ「ジュリア」の主人公ジュリアは、
政宗にロザリオを贈った女性の名前です。
政宗をキリスト教に改宗させるために、
いや、むしろ永遠の愛の印として、
ジュリアは彼にロザリオを贈ったのでした。
政宗とジュリアは偶然に出会いますが、ひと目で、
恋の稲妻に打たれます。
1本の金のロザリオが、時を超えた情熱の証人です。
かつての伝統に敢然と立ち向かった形見のロザリオが、
今もなお東洋と西洋を結びつけます。
この創作バレエ「ジュリア」は、
2004年2月に、仙台で初演されました。
伊達家十八代当主、泰宗氏が、
バレリーナの加藤有華(ゆか)さんのために
情熱を持って書いたこの作品を、
彼女は研ぎすまされた一編の詩として表現しました。
▲加藤有華さん
政宗役は、この世の物とは思えない踊りで、
動きのひとつひとつに情熱をかたむけた
夏山周久(ちかひさ)さんです。
さて、モンテプルチアーノ国際芸術祭の
ジョヴァンナ・ロッシ総監督は、
この永遠の愛の物語を知って
まるで雷に打たれたようになり、
「ジュリア」を上演したバレエ団本部に
連絡をとりました。
やがて日本からモンテプルチアーノに、
ストーリーが分かるようにとイタリア語の字幕付きで、
このバレエの収録されたDVDが届きます。
でも、言葉は必要ありませんでした。
映像だけで、充分に伝わったのです。
芸術の「言語」というものは、翻訳の必要はありません。
バレエの詩情は、世界のどの国でも理解されるのです、
観る人が深い感性を持ってさえいれば。
「ジュリア」はDVDを観た人全員を感動させ、
次のモンテプルチアーノ芸術祭に
招こうということになりました。
主演の加藤有華さんと夏山周久さんを含めた、
このバレエの公演に必要な全ての人や物を、です。
また近頃、能楽囃子大倉流大鼓奏者、
重要無形文化財総合認定保持者の
大倉正之助さんとの
国内外における共演企画を実現出来るよう
思案中なのだとか。
▲大倉正之助さん
伊達政宗とイタリア人女性ジュリアの
ロマンティックな物語を、
モンテプルチアーノでも蘇らせようという点では、
だれもが大賛成です。でも実現させるには、
スポンサーを見つける必要がありますから、
これについては、イタリア首相の
シルヴィオ・ベルルスコーニのテレビ局である
メディアセットとの接触が進められています。
イタリア政府首相の肝いりで、
ロマンティックの名のもとに、
姉妹都市が生まれたりするかも知れませんね。
数世紀を越え、なお終わることのない恋の
あやが織りなす物語であるが故に、
イタリアと日本の間に起こりうる
この上なくロマンティックなつながり、
それが「ジュリア」なのです。 |