取材で訪れた南会津高校は、 文化祭の開催を目前に控え、 先生も生徒も準備に追われていた。 |
じつはこの日は、創立記念日で 「これ、見てください」 |
「ぜんぶプリントアウトして 野球部のみんなは、来客者のための |
校長先生がいらっしゃるということで、 |
それにしても、校長室って、妙に緊張するね。 |
はじめまして、 南会津高校は全校をあげて 「ええ、観ました。
|
選手宣誓の話を糸口にして、 鎌田校長は南相馬の出身で、 福島県は広く、南会津地方は、 鎌田校長の話は、しばらく続いた。 「私は、南相馬に自宅があり、 |
子どもたちに、罪はありません。 鎌田校長は、自分の話をまとめようと何度も試みて、 福島に来て、真剣な話をすればするほど、 鎌田校長もまた、言いよどんでは おそらく、校長先生というのは、 印象的だったのは、鎌田校長が、 |
明らかに怖くなさそうなオバケ屋敷をつくったり、 |
南会津高校には、浜通りで被災した学生が 「話を聞いてみますか?」と猪股先生が言った。 ちょっと話がそれるけど、 1年生の阿部貴里さんは |
どっちを選ぶということでもなくて、 「他県に来てるわけではない」 「はい、大きいです。 みんな福島県にいるから大丈夫。 東京からやってきたぼくは、 さまざまな人が、さまざまな価値観で、 ぼくは貴理さんに、 「家は、津波とかは影響なかったんですけど、 私の家は、そのまま残ってるんですけど、 貴理さんがフラットなテンションで 腹が立つような思いというのは、ありますか? 「ない、です。それは、自然のものなので。ないです」 国とか、東電に対しては、どうですか? 「東電のことは、前は思ったりもしたんですけど、 |
選手宣誓してるときってさ、どういう気持ち? 「どういう気持ち? やってる最中ですか?」 そう、やってる最中。憶えてる? 「憶えてますけど。 どういう風景が見えてるの? 「周りはもう、見えてないですね。 |
原稿は、文言は、一語一句まちがえず? 「はい」 言ってる最中、みんなが聴いてる様子とかわかった? 「いやあ、わかんないですね。 そこはもう、自分の世界。 どうにか、しっかりやる、 ということしか頭にないので」 終わった瞬間の気持ちは? 「やりきったー! って思いました。 ああ、失敗しなかったー、って」 |
そうかあ。 うん、すばらしい選手宣誓でした。 ‥‥いや、訊きたかったことは、 じつは、それだけなんだけど。 「はははは」 |
本番がばっちりで、よかったね。 で、試合のほうだけど、 うん、まぁ、惜しかったね。 「途中まではよかったんですけど」 いい試合だった。 結果的には点差がついたけど、 なんていうか、選手層が少し薄いだけ、 っていうような差だったと思うよ。 「‥‥‥‥」 最後の夏が終わってみて、どう? |
でも、部員が少ない野球部で、 ちゃんと大会に出られるか微妙だったわけで、 それが3年の夏に、野球部員だけで 最後の公式戦ができたんだから、よかったね。 「そうですね。 後輩たちが入ってくれて、 やっと野球部だけで出られるようになったんで、 ほんと、それは、もう、感謝しかないですね。 負けちゃいましたけど、みんなでまとまって、 まあ、たのしくやれたんで、それはそれで、 いま考えると、いい形なのかなって思います」 しかも、選手宣誓もできたし。 「そうですね(笑)」 どうもありがとう。 「ありがとうございました!」 |
あ、そうそう、2年前に |
最後に会えたんだけど、 やっぱり、ふたりともたくましくなってた。 |
鎌田校長のおっしゃった いろんなものを得て、 |
いろんな場所を取材するたび、 もちろん、真摯に向き合ってる方も 願わくば、考えながら、動きながら、 夏の話を秋までかけて書いてしまいました。
2013年 10月 永田泰大
|
(つづく) |
2013-10-11-FRI |