強さの磨き方。格闘技ドクター二重作拓也 ☓ 糸井重里 どうしたら人は、もっと強くなれるのだろう?

強さの磨き方。格闘技ドクター二重作拓也 ☓ 糸井重里 どうしたら人は、もっと強くなれるのだろう?

挌闘技ドクターこと、二重作拓也さん。
現役の医師でありながら、
国内外で挌闘技セミナーを開いたり、
敬愛するプリンスの名言をまとめた
『プリンスの言葉』という本を書いたりと、
枠にはまらない活動をつづけている方です。
そんな二重作さんと糸井重里がはじめて会い、
いろいろなことを長く話しました。
キーワードは「強さ」について。
なぜ人は強さに憧れるのか?
なぜ人は強くなりたいと思うのか?
発見と驚きのつまった対談を、
全8回にわけてお届けいたします。

二重作拓也さんのプロフィール
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第7回 脳のイメージを変える。

糸井
そのワークショップは、
部屋の中でもできるんですか?
二重作
はい、できます。
脳のイメージを変えるだけで、
その人の運動が変わるんです。
糸井さん、ちょっと腕を貸してもらえますか。
糸井
どうぞ。
二重作
まず、ぼくと左手で腕相撲をしましょう。
糸井
左手ですね。
二重作
ぼく、がんばってふんばりますから、
思いっきりやっつけちゃってください。
はい、スタート!
image18.jpg
糸井
ぐぬぅぅぅ!
あぁ、強い、強い!
二重作
ありがとうございます。
いま糸井さんは、
自分の手をテーブルにつけようとして
力を入れてましたか?
糸井
そうです。ふつうのやり方です。
二重作
じゃあ、今度は構えた状態で、
糸井さんの肘から先が3倍に伸びたと
イメージしてください。
びよーんと、3倍に伸びる。
糸井
肘から先が伸びる‥‥はい。
二重作
肘から先が3倍に伸びて、
そのイメージした手の先が
テーブルに一気に急降下するという、
そんなイメージで力を入れてみてください。
視線はイメージした手の先です。
いいですか?
糸井
手が一気に急降下‥‥はい。
二重作
では、スタート!
image19.jpg
糸井
ぐわぁぁぁーー!
二重作
おぉーー! 強い強い!
糸井
えぇ、本当ですか?!
二重作
ぜんぜん力の入り方が違いました。
糸井
へぇ、なんでだろう。
二重作
イメージを変えると、
力の引き出され方が変わるんです。
じゃあ、次にぼくの手ひらを、
拳で思いっきり叩いてみてください。
image20.jpg
(バチン!と一発)
二重作
はい、オーケーです。
今度は糸井さんの手にヒモを付けたとします。
そのヒモをぼくのうしろにいる、
糸井さんの大好きな人がもっています。
イメージしましたか?
糸井
‥‥しました。
二重作
その人がヒモを
思いっきり鋭く引っ張ります。
その人が糸井さんの手を引っ張るようなイメージで、
ぼくの手をもう一度叩いてください。
image21.jpg
(バッチーーン!と大きな音)
二重作
どうですか?
糸井
違いましたね。
痛いもん、手が。
二重作
じゃあ、最後にもうひとつだけ。
片手を前に出していただけますか?
糸井
はい。
二重作
ぼくが糸井さんの手を下に押し下げるので、
下げられないように耐えてください。
image22.jpg
糸井
これ、けっこうきついなー!
二重作
では、イメージを変えます。
今度は、ぼくに上から押されれば押されるほど、
糸井さんの手が前に伸びて、
前で溺れかけてるこどもが助かります。
押されれば押されるほど、
糸井さんの手が伸びて助かる。
糸井
イメージしました。
二重作
じゃあ、押します。
糸井
グググッ‥‥。
二重作
おー、さっきよりぜんぜん動かない。
糸井
これはおもしろいですね。
へぇー。
image23.jpg
二重作
ラグビーなんかもそうで、
「ボールを自分から味方にパスする」
というイメージじゃなくて、
「味方からみてボールがパスされる」
というイメージで投げると
脳のつかうエリアが拡大します。
糸井
そういえば昔、巨人の藤田監督が、
ピッチャーにはキャッチャーの
後ろに投げるようなイメージで
球を投げさせるって言ってました。
二重作
それも似たような原理ですね。
糸井
ただ、ピッチャーも生活がかかってるから、
それでほんとうにうまくいく保証がないと、
なかなか素直にやらないそうで。
つまり、実績のないようなことは、
やっぱり取り入れにくいみたいですね。
二重作
目に見えてわかるものじゃないと、
人ってなかなか納得しないんですよね。
糸井
だからみんな筋トレにハマるんでしょうね。
結果が目に見えてわかるから。
二重作
たしかにそうですね。
運動と脳の関係は、
いまどんどん研究が進んでいるので、
これからおもしろくなる領域だと思います。

(つづきます)

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