ガンジーさん。
いつ途切れるかわかりませんが
今後ともよろしく。

406.郷愁とか、里ごころとか。

ゆっくり読んでください、今日の『ガンジーさん』。
想像のなかで旅をして、
想像のなかで人を愛おしんで、
ダジャレを言っておわりにしてます。

世間が騒がしい時に、こんなの、ゆっくり読むと、
大事にしたいものが何なんだか
わかってくるような気がします。

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「わが町」

以前、東京の下町、入谷竜泉寺かいわいのことを書いたら、
ガンジーさんよく知ってますね、と便りをいただいた。
先日は岩手富士ともいう岩木山のことを書いたら、
うれしい!と
町おこしに熱心そうな方からメールをもらった。

みなさん郷土愛がつよいんですねぇ。
海外で生活をしている人たちも
いつかは日本にかえってくるんでしょうか。
人それぞれでご当地の人になりきっちゃって
楽しんでる人も多いだろうなぁ。
帰るところがあるから旅行も楽しい。
いくら非日常がいいからって
毎日ホテルぐらしじやあきちゃうだろうぜ。

早朝3時、喜びいさんでオートバイにまたがる。
行き先はお気に入りの箱根さ。
第3京浜をレースまがいに走り、
あすこは獲物をねらって
競争をいどんでくる人がいるんだぜ、
横浜新道、西湘バイパスをぬけ
ターンパイクを一気に駆け上がる。
大観山には日ノ出とともに着く。
暖房もかねてコンビニで買ったコーヒーを
ポケットから取り出しプッチン!とふたを開けて
はじめはチビリとなめる。

手袋をエンジンのうえにのっけてバーベキューだ。
こげないようにひっくり返す。
この作業がたまらない。
そして富士山が見えれば歓喜と寒気がかさなって
欣喜雀躍の数分間だ。
そのあと寒さのなかで寒い思考がはじまる。
おれってこんなことやってていいんだろうか。
タスデ美は家族のために働いてきて
今もおなじ考えで毎日をおくっている。

着いたばかりなのに飛んで帰りたくなる。
愛してるとか惚れてるとかいうより、
いとおしい気持ちでいっぱいになる。
むぎゅーって抱きしめたくなる。
これって旅愁ってヤツかな。
でももし家に迎えてくれる人がいなかったら
またちがったものになるだろうね。
ガンジーとタスデ美は28と22で結婚した。
でもその前4年間のつきあいがあったから
通算43年のながーい道のりを歩いてきたことになる。

おこったり悲しんだりよろこんだりのつきひだった。
そんなことが思い浮かぶからだろうね。
故郷もそうだろう。
数えきれないほどの思い出がつまってる。
どんなに遠くはなれていても
忘れることのできない街のおもかげ、村のたたずまい。
そしてそこを愛してはなれられない人もいる。
日本人って植物なのかもしれない。
あるいはサケかな?

狩猟民族には郷愁ってあるのかなぁ。
なかったらさみしいだろうね。
日本人だって遠いムカシ大陸からわたってきたんだけど
それから3000年近く独自の文化をそだててきた。
わび、さび、なんてのは
外国人にはなかなか理解できないことだと思う。
ガンジーにもわからねぇ。
おぃ、大将、さびはおおめにな!
だんなしばらくですなぁ、まだ生きてるんで。
このやろう!わさびはてめぇが食えっ!


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缶コーヒーのプルトップリングを起こして、
「はじめはチビリとなめる」ってところの描写と、
奥さんのことを思い出すあたりに書き方とが、
おんなじ助平さで、いいんだよなぁ。
いや、「助平さ」っていうのは、
そういう意味ばっかりじゃないんだよ。
エロティックってっていうか・・・
あっと、これでも誤解されちゃうか。

ま、いいや。
理解してくれ。

(つづく)


※『出前ガンジー』あるいは『ガンジー水戸黄門』の
企画について。
ガンジーさんの行脚先を募集しています。
詳しくは9月24日付けの『ガンジーさん』
ごらんくださいませ。

2001-10-09-TUE

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