410.ネタを探すように。
新聞の連載をやっている漫画家が、
日々のネタを探すように、
たのしいことを探すんだと言う。
なるほどなぁ、ガンジーさんは、
探しながら歩いているのか、いろんな場所で。
たしかに、毎日連載をしているという意味では、
『ガンジーさん』だって、新聞マンガの作者と同じだ。
誰でもが、連載を持っていると考えてみる・・・
っていうのも、たのしく生きる方法なのかもしれないねー。
・・・・・ん?
自分だって、毎日連載をしているという意味じゃ、
同じだよなぁ。
オレは、どんなふうにしているんだろうな?
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「ちいさな幸せ」
病院でかわいい光景を目にしたよ。
清算窓口で赤ちゃんを抱いた若いお母さん親子。
はい小山さん小児科外来ですね。
あ〜ぃ!
赤ちゃんがこたえてる。
これを6番の窓口で支払ってください。
あ〜ぃ!
また赤ちゃんの声、それも、
ハをアと発音するフランスなまり。
お母さんのほうは終始無言、見事な分業だ。
こんな場面にでくわすとうれしい。
満杯の駐車場でいいあんばいに
一台、車が出ていってくれた時とか、
スーパーのレジで計算を安く間違えてくれた時とか、
帰宅したとたんざあざあ降りになった雨、など
毎日のくらしにちょっと目線をかえてみると
楽しいことがいっぱいある。
それを見過ごすか気がつくかで
おおげさに言えば人生がかわるんじゃないの?
グッチの品でかこまれた暮らしでも
グチばっかり言ってては人生おもしろくない。
ビンボウでもあかるく楽しくいこうぜ。
よくみれば楽しいことってずいぶんあるはずだ。
かりに四面楚歌だとしょう。
それでもあかるくひとつずつ問題を処理していけば
脱出ははやいだろう。
ぐちっぽく、いやだなぁ、とやっていては
さらなるミスをよび、
ますます泥沼にはまりこんじゃうような気がする。
60歳になっちゃった!
平均からいってもあと10数年の人生、もうおわりだなぁ。
と考えるのと
まだ60だよ、あと10数年もあるぜ、
ドンドン楽しんじゃぇ、とあかるく考えるのとでは
健康にだって影響するぜ。
年寄りに冷や水、というのは無理をすることであって
無茶とはちがう。
しょうしょうの無茶は若さをたもつ方法ではないのかな。
若い時には気づかなかったちいさな楽しみやよろこび。
かって男どもは、飲む、打つ、買う、の
三大道楽を楽しんだ。
そして最後にのこるのが、打つこと、つまり博打よ。
これが不思議なことに
加齢とともによく当たるというんだね、競馬とかさ。
ホントのような気がするよ。
欲からすこし距離をおいて考えるからじゃないのかな。
先日、ほぼ日へ出かけたさい、
地下鉄で若い恋人どうしにあった。
向かいの席だったが
ガンジーはつい声をかけてしまった。
お似合いのカップルだね美男美女の、お幸せにね!と。
まわりから笑い声がひびく、みんなもそう思ってたんだね。
降りる時彼らはうれしそうにあいさつをしていったよ。
ガンジー、おっかけて言った、テイクケア!
あ、いけね英語使っちゃった。
気をつけてね、いろいろと。
このいろいろとがおかしかったとみえて
隣りのおっちゃん大笑い、
そのあとこのおっちゃんと話しがはずんだ。
たいくつな電車内でもちょっとしたことで楽しくなる。
無理して寝たふりなんかしなくてもいいぞ。
ずうずうしいヤツとそれに同調するヤツと
笑ってうけてくれる人たち。
そんな関係が雰囲気をかえる。
落語家や新聞マンガの作者がネタをさがすように
タイクツを履いてても
おもしろ出来事はいたるところにあり、だと思うぜ。
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「お似合いのカップル」が、
ちゃんと挨拶して電車を降りたっていうところが、
この場面をかっこよくしているよね。
もし、「弱ったなぁ」って警戒心に満ちた表情で
電車を降りたとしたら、
きっと気まずい雰囲気が黒雲のように辺りを覆ったね。
若い(だろう)彼らの成熟した態度のほうにも、
ぼくは拍手を送りたいと思いましたぜ。
(つづく)
※『出前ガンジー』あるいは『ガンジー水戸黄門』の
企画について。
ガンジーさんの行脚先を募集しています。
詳しくは9月24日付けの『ガンジーさん』を
ごらんくださいませ。
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