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432．病院でナンパ。
病院でナンパしたらしいよ。
ナンパ、かぁ、そうかぁ、と思って読むのだが、
これは、ナンパか？
若い女性が、待ちあい室で話につきあってくれた。
やさしい女性だなぁ、とは思うけど。
これは、ナンパなのか？
疑問を感じながら読んだけれど、
やっぱり、主観的にはナンパなんだとわかった。
だって、タイトルが『若い血が』だぜ。
血が、どうしたんだ、といえば、
「騒いだ」ってことだろう？
・・・確かに、ナンパだったんだろうなぁ。
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「若い血が」
病院の待合室でナンパしちゃった！
今日から放射線治療がはじまるので
それに先立ち整形外科で診察をうけた。
いつもの外科では若い女性患者の病名は
乳癌のたぐいなので話しかけにくい。
でも今日の隣り合ったうらわかき女性患者は左手の骨折。
なんでも自転車にのってて
突然開いたクルマのドアーにぶっつけてしまったとこと。
病院内でもあるのでアプローチとしては
病気のことから切り出すのが自然だからね。
でもガンジーは、どうなさったんですか？なんて
月並みなことは聞かない。
１，２，３、と番号の書かれたカーテンの前で
待ってるわけだが．．．次ぎですか？と
目で聞きかるくアゴをしゃくるポーズ。
彼女もいいかげん待ちくたびれておたいくつ
「さぁわかりませんけどまだだと思います」と
おうじてきた。
「ずいぶん待ってるんですが．．．」と
こんどはあちらさまからのお言葉。
ここまで話の糸口がつかめればしめたもの。
月並みな質問をする。
「左手がわるいようですがどうなさったんですか？」
そして上記のわけを聞き出したんだ。
この、どうなさったんですか？が効くんだね。
どうしたんですか？では
若者どうしの会話になってしまう。
より丁寧な言葉づかいがいい。
大家のお嬢さんあつかいでね。
．．．この人、皮ジャンを着てるけどインテリらしい．．
と目で言ってる。
「わたしもオートバイが好きで
よくそんな場面に出っくわしました。
タクシーのドァーなんかにね」
「あら！オートバイに乗るんですか
そんな風にはみえませんけど」．．．
乗り物なんでもだぁーい好き．．
そんなことは言わないぜ．．．
なぁーんて話しが咲きはじめ
母親にパソコンを教えてる最中だとか
ドイツへ行きたい、だとかと
仲好しっぽくなっちゃったぜ。
こういう時間は３０分が５分に感じられる。
ひかえめな香水のかおりにひたっての
しあわせ〜なひとときだった。
看護婦によばれてその人が
「まい」さんという名前だと知った。
さきに帰る彼女に手をさしのべ
「ありがとう、おかげで楽しかった」と握手。
わたしも．．とは言わずに
はにかみながら帰るその後姿に
ガンジーの体内で４０年前の鼓動が聞えた。
ケッケッケ、だからといって
結婚サギなんかの前科があるわけでも
「スケコマシ」でもないぞ！
人なつっこい性格がそうさせるのでござりましょうかね。
山や海を、ぼーっとながめてることはあっても
意にはんして待たされる、
そのたいくつ時間がきらいなんでござりましょう。
右も左も機嫌のわるそうな顔、顔、顔、
そんななかであっしみてえな変った野郎のひとりぐらい
いてもいいんじゃござんせんかねぇ。
ま、人生は楽しくいきましょうや。ねっ、うーちゃん！
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親切な「まい」さん、お疲れさまでした。
この、
＞わたしも．．とは言わずに
＞はにかみながら帰るその後姿に
ってところ、笑ったなぁ。
「あんたは、高校生か！」と、
もしタスデ美さんが知ったらつっこむだろうね。
いや、オレもつっこむ。
（つづく）
※『出前ガンジー』あるいは『ガンジー水戸黄門』の
企画について。
ガンジーさんの行脚先を募集しています。
詳しくは9月24日付けの『ガンジーさん』を
ごらんくださいませ。
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