有野課長の挑戦部屋に、糸井重里がやってきた。 ―30年目の『MOTHER』のおはなし― 有野課長（よゐこ・有野晋哉さん）×糸井重里

有野課長どせいさん‥‥、
あれはなんですか？

糸井どせいさんは好きですねえ。

有野課長字も変だし‥‥。

糸井どせいさんは、無垢で、
限りなく高いところにいるものですよね。
ほぼ日手帳とかハラマキにもなってますし、
どせいさんは、
永遠にぼくのあとをついてくる気がしてます。

有野課長話していることばの文字が
どせいさんだけ違うのは？

糸井どせいさんがしゃべってることばは、
どう聞こえるんだろうっていうのを
視覚化するにはどうしたらいいかと思って、
こどもの書いた文字にしたんです。

有野課長おおーっ！

糸井あの文字の作者は、
うちの娘なんですよ。

有野課長えっ、あの文字を？

糸井今は、その娘にも
こどもがいますけど。

有野課長あ、MOTHERになったんや！（笑）

糸井そう（笑）。
こどもが書いている文字を
いろはにほへと、全部作ったんです。

有野課長嫌がりませんでしたか？
「なんで書かなきゃいけないの」って。

糸井いやいや、もともと書いている文字を
拾えばいいわけだから簡単です。

有野課長ああ、書いている文字から。
「また書きよったぞ！」って（笑）。

糸井ぼくはその文字をいいなと思っていたんで。
いいなと思っているものだから、
どんどん真似したくなるんですよ。

有野課長でも、捨てたりもするでしょう？
「きのう書いてた『み』っていう字が
かわいかってんけど、あれどこいった」って。

糸井それはありますよね。
だから、ぼくの想像で書くのもあります。
この子なら、「む」はこう書くだろう。

有野課長「こういう癖だろう」ってことですか。

糸井ただ、あんまり法則性を考えると
つまんなくなるんですよね。
機械ができることになっちゃうから。

有野課長そうですね。

糸井法則性じゃなくて、
「俺」と「俺の遺伝子を持った娘」の
個性がやっぱり出ないと。

有野課長ハハハハ、そうですね。

糸井アートだから（笑）。

有野課長どせいさんはアートなんですね（笑）。
『MOTHER』の新作を誰かの脚本で作ったとしても、
どせいさんは絶対に入れてほしいんですか？

糸井どせいさん‥‥、
やっぱり入れてほしいですね。

有野課長「触ってほしくないわ！」って感じはないですか。
「どせいさんは俺だけのもの！」っていう感じ。

糸井いや、それは違うよって
言ってあげればいいことだから。

有野課長へえー、そうですか。

糸井どせいさんの別パターンで、
「これはこのゲームにおけるどせいさんです」
みたいのを出されちゃうと、
「それはいらないんじゃないかな」
とか言うだろうけど（笑）。

有野課長最後にひとつ、いいですか？
糸井さんにとってゲームってなんですか。

糸井うーん、うーん‥‥。
ゲーム、好きな食べ物みたいな感じかな。

有野課長ほう。

糸井「好きな食べ物はなんですか？」
と訊かれたとき、
そのときによってコロッケだったり
お好み焼きだったりフグだったり、
そう言えるものでもあるんだけど、
それが自分の何かにこう‥‥。
どう言ったらいいかな、

あっ。

母でも父でもないですね、ゲームって。

有野課長ほう。

糸井子のほうに近いかな。

有野課長こどものほう？

糸井うん。
よそで生んだこどもみたいなことかな（笑）。

有野課長『MOTHER』なのに、
よその子ですか。

糸井本当にそう思う。
『MOTHER』ってタイトルの根拠も
よくわかんないもんね。

有野課長あ、そうなんですか。

糸井そうつけたかったんですよね。
心の奥にあるものなんだと思いますけどね、
『MOTHER』っていうのは。
それが出ちゃうんだと思います。

有野課長糸井さんにとってゲームは、
「よそで作ったこどもみたいなもの」である。
わかりました、ありがとうございました。

菅プロデューサーこれから『MOTHER２』のエンディングを目指す
課長にメッセージをお願いします。

糸井あんがい、後ろのほうに行ったときに、
大転換というか、今までと違うおもしろさが、
もう１回広がりますから、
それをたのしんでください。

有野課長おおっ、はい。
わかりました。

糸井ゴクンとかたいツバを飲むことが
あると思いますから。

有野課長いま、「ムーンサイド」ですけど、
今日、そこまでいけそうですか？

糸井行かないんじゃないかな。

有野課長行けないすか（笑）。
ああ、そうかーー、
３日目突入だ、これ‥‥。

糸井他のゲーム、２日でできる？

有野課長だいたい１日ですね。
でもロープレは時間がかかるんで、
だいたい２､３日かかりますね。

糸井ロープレは時間かかるよね。
ありがとうございました。

有野課長ありがとうございました。