今年の春のこと。 ある「ほぼ日」乗組員が 「このブログがとてもすごい!」と、 社内にメールを流しました。 それは、一人の女性が、 ご自身のお母さんのことを紹介した、 こんな内容でした。 |
「EUの大統領に会ってくる」 「??!!」 「ラブレター書いたら返事が来て、 「???????????」 母は日本の田舎の普通のおばちゃんだ。 母は6年前から「四国夢中人」という団体を立ち上げ 去年、母はヨーロッパ人俳人を呼んで それを1冊の本にした時、 ということで、彼にラブレターを書いたそうな。 (中略) 専業主婦で3人の子育てをしていた時、 そんなエネルギーを貯めた母が子育てを終え、 (全文はこちらのブログをご覧ください) |
うわぁ、このお母さん、かっこいい! |
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約束の日、丸亀駅に到着。 |
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見慣れたこの町に、 (ピンポーン) |
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ーー | はじめまして! 今日はお時間をいただき、 ありがとうございます。 |
尾崎 | ようこそいらっしゃいました。 いいお天気ですから 先に、お庭でお茶でもいかがですか。 |
▲この方が、尾崎美恵さん。 すすめられるままお庭でお話をうかがうことに。 |
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ーー | お嬢さまが書かれていた ブログを拝見しました。 |
尾崎 | ありがとうございます。 娘も、たまたま書くことがなくて あれを書いたらしいんですけど(笑)。 |
ーー | すっごく、おもしろかったです。 |
尾崎 | 自分では、ふつうのことをしているつもりですけど、 そう言っていただけるとうれしいです。 |
ーー | EUの大統領とは、どれぐらいの時間 お会いされたんですか。 |
尾崎 | 30分くらいです。 廊下で5分くらいの立ち話かな、 と思っていたんですけど 通常、国家元首等とお会いする部屋に 通してくださって‥‥ |
▲ファンロンパイEU大統領(欧州理事会議長)と。 |
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ーー | すごいですね。 大統領の30分って、かなり大きいと思います。 お会いすることが決まったときは どう思われましたか。 |
尾崎 | もともと、私から手紙を出したんですけど 2〜3ヵ月前のことでしたし、 お返事をいただけるなんて思っていませんでした。 エアメールが届いて開けてみたら 大統領の秘書官からで、 「大統領がお会いしたいと言っているので ブリュッセルに来てください」と! もう、びっくりしました。 |
ーー | うわぁ、それは驚きますよね。 今日は、尾崎さんのご活動など たくさんうかがいたいことがあります。 そもそも、こんなふうにいろいろなことに 取り組まれるようになった、きっかけは‥‥ |
尾崎 | フランス語を学びはじめたことですね。 もともと外国に対する憧れが人一倍ありましたが、 まさかこんな活動に結びつくなんて 最初は夢にも思っていなかったんですよ。 フランス語を学びはじめたのも 30年前、うちの長男が通っていた 近所のカトリック系の幼稚園に フランス人のシスターがいて、 その方にはまってしまったのがきっかけなんです。 |
ーー | シスターに、はまる? |
尾崎 | そのころの私は、 「主婦として子育てをしているけど 人生これでいいのかなぁ」という迷いがあったんです。 でも、シスターたちは 「神に仕える」という意識で生きていて 私がかかえていたような迷いとは 別の次元にいるというか、献身的で、崇高で‥‥。 私は別に宗教を求めているわけでもないし クリスチャンでもないんですけど、 その幼稚園でシスターたちに接しているだけで、 「見栄とか虚栄とか欲の塊しかない このドス黒い自分はなんだろう」 みたいな気分になって、 シスターたちの存在に憧れはじめました。 そんなある日、シスターが主催する フランス語を学ぶ会がはじまったので、 参加することにしたんです。 最初はすごく気軽な感じだったのですが、 香川にはフランス語を勉強する学校が ほとんどなかったので、 「丸亀にフランス語を教える先生がいる」というのを どこかで聞きつけた私みたいな主婦たちが 高松のほうからも4〜5人集まってきました。 それで、みんなでフランス語の小説を読んで、 訳しあうようになって。 私はその後、2人子どもを産んだので そのたびに休んではまた顔を出して、 どうにかこうにか、合計7、8年続けたんです。 |
ーー | じゃあ、ずいぶん長い間、 フランス語を学ばれていたんですね。 |
尾崎 | ええ、それでフランス語をかじったものだから、 もうちょっと勉強したいという欲が出てきて。 そしたら、たまたまフランスから 帰国していた人が、岡山大学の大学院に 仏文科があることを教えてくれました。 岡山にフランス語を学べる大学院がある‥‥! 大学院のレベルというのが どれぐらいか分からなかったんですが、 すぐに岡山に向かったんです。 アポイントも何もないのに。 |
ーー | えっ。そんな急に。 |
尾崎 | はい。「マリンライナー」という電車で 瀬戸大橋を渡りました。 岡山大学に着いたら 「仏文科」と書かれているところに 教授達の名前が書いてあって。 それを見て、 「どこに入ろうか」なんて思ってました。 |
ーー | (笑) |
尾崎 | それで、教授の部屋らしき扉を トントン叩いたら、中に先生がいました。 「すいません、香川から来た主婦なんですけど、 大学院に行きたいと思うんですけど、 主婦でも大学院で勉強なんて、できるものですか?」 と、聞いたんです。 そしたら、その先生がめちゃくちゃいい人で、 「もちろんです、ぜひ試験がんばってください」と その場で受験のための参考書を貸してくださって。 |
ーー | 尾崎さんもすごいですけど、 その先生もすごいですね。 |
尾崎 | そこで 「いやいや、主婦が来れるようなところじゃないですよ」 と言われたら、私は諦めるつもりだったんです。 でも、その先生が「がんばって」と 言ってくださるような方だった。 もう、帰りのマリンライナーの中では 「私が行かなきゃ、誰が行くんだ!」って 気分になってしまって(笑)。 |
(つづきます) |
プロローグ 長女・えり子さんのブログ、 そして、母は大学院の門を叩く |
2014-06-17(火)更新 | |
第1回 結婚式でもお葬式でも猛勉強 | 2014-06-18(水)更新 | |
第2回 仕事は自分で取りにいく | 2014-06-19(木)更新 | |
第3回 原動力になったもの | 2014-06-20(金)更新 | |
第4回 パリのジャパンエキスポへ | 2014-06-23(月)更新 | |
第5回 フランス人を招いて四国ツアー | 2014-06-24(火)更新 | |
第6回 スリに2度遭う | 2014-06-25(水)更新 | |
第7回 何もないことが財産 | 2014-06-26(木)更新 | |
第8回 やるかやらないか | 2014-06-27(金)更新 |