1101
「ほぼ日刊イトイ新聞の本」が出るよ!

【編集者による談話 その1】
「できるまで、やめない」がおもしろかった。




ほぼ日の本の編集者・田中さん


『ほぼ日刊イトイ新聞の本』の
著者の糸井重里や編集者の田中浩史さんに、
「この本の、どこをどう読んで欲しい?」
とたずねていくのが、このコーナーです。

初回の今回は、編集者の田中さんが
『ほぼ日の本』のできたて原稿を読んだ、
率直な感想から、しゃべってもらいます。

では、さっそく、談話をどうぞ!


【田中さんの談話】

 本気でやりつづければ、
 何か見えてくるものが、あるんじゃないの?
 というのが、実は、この本の
 隠されたコメントだと思うんですけど・・・。

 ぼくがおもしろかったところは、
 試合のやりかたに関するところで、
 糸井さんが、
 「やりつづけていれば、いつかは勝てる」
 というようなことを、
 書いてくださったんですけど、そこです。

 だって、その「勝つまでやる」方法は、意外に、
 普通に暮らしていると、知らないままですよね?
 みんなやっぱり、そこまでは、やらないです。
 勝つまでやろうとは、なかなかできないですよ。

 意外に、糸井さんのように
 クリエイティブな仕事をされている方でも、
 そういうストレートなことをやっているんだなあ、
 とも感じることができて、
 そこが、すごくおもしろかったです。

 創造に関わる仕事だと、
 普通のイメージとしては、何もないところで
 パッと出てくるみたいなことを考えると思うけど、
 そうじゃないんだよなあ、と感じましたから。

 糸井さんが書いてくれたのは、
 次のような内容のこと、です。

「ぼくが多くの人をひきつける
 ページづくりができないとは思わなかった。
 『できるまでやめなければ、できる』と考えていた。
 いままでの仕事だって、いつもそうだったのだ。
 できないというところでやめなければ、できるのだ。
 野球は9回の表裏で終わりと決まっているけれど、
 現実の仕事は答えが出なければ、
 他人が眠っている時間まで
 試合を続行してもかまわないのだ。
 早朝になった15回の裏に、逆転のアイデアが
 ホームランのように生まれたら、そこで勝ちなのだ。
 そのあたりの自信は、経験のおかげだったのだろう」

 やっぱりここは、すごくおもしろいです。

 一般的に言えば、
 「多くの人をひきつけるページづくりが
  できないとは思わなかった」
 と言える理由は、自分に才能があるだとか、
 そういう方向の根拠だと思うじゃないですか。
 でも、糸井さんの理由としては、
 「できるまでやめなければ、できる」
 「できないというところで
  やめなければ、できる」
ですからね。
 それを読んだ時には、「え?」と思いました。

 この人、こんなことを考えているんだ?
 そうかあ・・・と思いました。

 ふだん、
 いろいろな人の仕事形態を考えると、
 「できない」と感じたところでやめるのが、
 ほとんどの人の姿勢だと思うんですよ。

 ぼくもそうですし、
 「しかたないねえ」という言い方を、
 よく、みんな、しますよね?

 確かに、世の中にはしかたのないことも一杯あるし、
 あきらめるというのは、あるひとつの意味では、
 大切なことだとも、ぼくは思っているんだけど、
 でも、ひとつのことを、
 「できるまでやめないでおこう」と
 糸井さんのように決めていくことが、
 ひとつの考えの基準としてあっても、
 いいんじゃないかなあと、思いました。

 だから、もしかすると、
 これからの仕事のヒントは、
 「できるまで、やめない」ことじゃないかと・・・。

 しかも、それを、ある意味では愚直に、
 「ほぼ日」が、続けているわけですよね?

 しかも、それを実現させている。
 できるまでやめていないからこそ、
 いろいろな人が育ってきて・・・。
 だから、まさに、糸井さんの
 「できるまで、やめなければ、できる」
 という態度は、ほぼ日そのものですよね。


 最初、3日、3か月、3年と、
 とにかく続けていれば「ほぼ日」は何とかなる、
 と、糸井さんはすでに考えていたのかも
 しれないけど、意外とそういうことは、
 普通は思えないですよね。

 できるまでやめなければ、できる、
 というのは、すごいショックがありました。



(談話は、明日につづきます)

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2001-04-08-SUN

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