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「ほぼ日刊イトイ新聞の本」が出るよ!

【編集者の談話 その3】
ビジネスの本としても、読めるように。


ほぼ日の本は、本来、去年の秋に
出版される予定だったんですけど、
その時期にしないでいまにしたことに関する、
編集者の田中浩史さん(講談社)の
談話を続けて掲載いたしますね。どうぞ!

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【田中さんの談話 その3】

 最初は、ダーリンコラムにプラスして、
 外部の人が取材をした原稿、
 という、本の構成案でした。
 2000年の秋に出版のつもりでしたが、
 その構成案のテコ入れが難しい状態になったのと、
 この終わり方でいいのかなあ?と思うところがあって、
 出版が伸びまして・・・。
 でも、そうこうするうちに、2000年の夏に
 ほぼ日が変わってきていると感じました。
 その変化とは、中身もそうですけれども、
 ぼくに、それよりも大きく感じられたのは、
 外からの見られ方の変化ですね。

 ほぼ日の常連の読者の方は、
 もちろん、すでに糸井さんやスタッフが
 おおまじめでやっていたのを
 2000年の夏の当時でも知っていたとは
 思いますが、一歩ひいたところから見ると、
 「糸井さんは、コンピュータをしてるみたいだけど、
  何をやっているのかなあ・・・」
 というような気持ちの人も、いたとは思うんです。
 それが、何となく、変わってきたのを感じました。

 夏から秋にかけての時期に、
 「糸井さんが、ほぼ日でやっていることには、
  ビジネス的に新しいヒントがあるんじゃないか」
 と見られるようになったと思うんです。
 そこで、本の作りの風向きも変わりました。

 正直に言いますと、ぼくはそれまで、
 ビジネスイメージで
 「ほぼ日」をとらえていたことはなかったんです。
 この本は、糸井さんが新しいことをやっているという
 ドキュメントになるだろうなあ、と思っていました。

 とは言っても、軽視したわけではないんです。
 20世紀のおわりに出そうと思っていたので、
 次の世紀の世の中のかたちを提示するものとして
 読んでもらいたかったのですけども。

 でも、まわりの目もかわりましたし、
 「ほぼ日」そのものも変わってきたので、
 難航している本作りも、少しまとめやすくなって
 きているなあ、とそこから感じました。
 それに、秋にお話をした時の糸井さんは、
 春に打ち合わせでお会いした時よりも、
 元気そう、というか・・・。

 糸井さんの将来に関してのイメージが、どんどん
 具体化していく時期が、2000年の秋から今にかけて、
 なんじゃないかなあとぼくは思っていますので、
 そこのところは、本の出版時期が延びたのは、
 ぼくのほうの言い訳も半分ありますけど、
 「よかった」と思っています。
 あのまま、秋に出していたら、
 もう少し曖昧な本になっていたと思いますから。

 ですから、今は、この本を、
 一種のビジネス書として読んでもらっても、
 おもしろいんじゃないかなあと、ぼくは思います。
 以前のイメージとしては、
 青山ブックセンターとかに行くような、
 クリエイティブなことをやっている人、
 これからやろうとしているひと、というのが、
 いちばん近い読者層だじゃないかと思っていました。

 もちろん、
 これはほぼ日の「社史」ですから、
 ほぼ日の読者に
 手にとっていただきたいとは思っていましたが、
 そこからクリエイティブなことをやりたい、
 クリエイティブを生業にしていきたい、という人に、
 読んでもらうものじゃない?というイメージでした。

 いまは、その層に加え、
 もうちょっと広がりを持って、
 実際に働いている人もそうですし、
 日経的な・・・起業家たちにも読んでいただいて、
 「へえ、そうなんだ」と思っていただけるものに
 なっているとは感じるのですが。


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(談話は、明日につづきます)

2001-04-10-TUE

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