1101
「ほぼ日刊イトイ新聞の本」が出るよ!

【編集者の談話 その5】
あと半年あとだったら、また違う本になります。


編集者による、本のイメージについての話です。
講談社の田中さんの話は、今回で最終回っす。

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【講談社田中さんの話 その5】

最初、去年の10月くらいに出版するんだったら、
麻布にサルが来て、鼠穴の近くで遭遇した、とか、
そういう話もつめこんだものにしようと思っていたんです。
でも、半年のびたことで、ほぼ日のなかがいろいろ変って、
最終的には、この本は、仕事や人とのつきあいが
中心的なテーマになっていったから、
今回の本にはサルの話は出てませんけど。

もし、この出版があと半年のびたら、
いままさに、例えば今日とかに「ほぼ日」で
やっていることが、話題になる可能性もありますよね。

読んで欲しいところは、
ぼくとしては、5章と7章です。
5章は、糸井さんがほぼ日をはじめたあとに
いったん、停滞期に入って、いろいろ考えたことが
書かれていまして、ぼくにはすごくおもしろかった。
7章は、これからのこと、
未来の人や仕事についてが書いてありますよ。

5章に書かれているように、
糸井さんが、悩みながらやっていることが、
ぼくとしては、すごく意外でした。
読者の方が、糸井さんという人に対して
どのようなイメージを持っているのかは、
わからないのですけれども、
まあ一般的に言うと、糸井さんというのは
すごいクリエイティブの才能があって、
いろいろなことをやって、多彩な人で・・・
ということになるじゃないですか。
それは、ぼくもそう思って見てました。

ただ、やはりそういう人でさえも、
非常に迷いながらやっているんだなあ、
と、ぼくは読んでいて、あらためて思いました。
当然のことなんですけれども。

糸井さんは、ほぼ日のようなことを
やりながらも、俺は清貧なんだとは
ひとこともいっていないですよね。
もしかしたら、ほぼ日の読者の方には
清貧の糸井さんを
好きだというひともいるかもしれないけど、
貧乏なのがいいんだとはいっていないところが、
ぼくにとっては、いいですよね。

かといって、
お金だけではかることもできないし・・・。
糸井さんは、ほぼ日をしている途中で
ちょっとした停滞を感じた時に、
もういちど、自分は何をやりたいんだ、と
考えたんじゃないかなあと思うんですけど。

糸井さんのように、
いちどお金持ちになったことのある人でも
「お金で、いったい、何をやろうか?」
と考え直すというのは、ぼくのように、
お金持ちの気持ちがわからない人間にとっては
すごく勇気づけられるというか。

糸井さんの言うことは、
ひとことひとこと、考えさせられちゃいます。
ものすごく親切に説明してくれる人ではないんですよ。
だからけっこう、人によって、
違う意味鵜でとれるところがあって、それが
今回の本でも魅力になるといいなあ、と思っています。

ぼくは「多忙は怠惰の隠れみの」とか、いくつかを、
自戒の言葉にしながら暮らそうかなあ、
と思ったりして、今回の原稿を読んでいました。


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(さあ、そのうち、darlingイトイさんの談話が出るぜ)

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2001-04-13-THU

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