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「ほぼ日刊イトイ新聞の本」が出るよ!

【著者による談話 その2】
ストーリーで学ぶ時代。

著者のdarlingに、
「この本を、どう読んでもらいたいですか?」
とたずねたら、次のような話になったよ。

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【著者darlingによる談話 その2】

『ほぼ日の本』の
読み方はわからないんだけど、
早い話が、
いちから野球チームをつくるときでも
いちから事業をはじめるときでも、
割と、似ているような気がします、
ということですよね。

つまり、これからは、
参考書があって、このとおりやればいいよ、
という「マニュアルで学ぶ時代」ではなくて、
「ストーリーで学ぶ時代」なんじゃないか
思うんです。

マニュアルではなくて、
投げ出された景色の中から
ストーリーを紡ぎだして、
「自分の読み方」によって、
自分の事業だとか自分の計画を
作るのが、方法だと思うんです。

そういう本になったと感じます。

編集者の田中さんは、
いいことを言ってくれたんだけど、
「イトイさんの言い方というのは、
 『親切』ではない」って、
前から、ともだちには言われてた(笑)。

ぼくとしては、精いっぱい
親切に喋っているつもりなんだけど、
比喩や飛び方が、ずいぶん
はしょったりしてるんですよね。
ほぼ日そのものにもある欠点だと思うけど。

今回の本でも、ぼくは、
「『あいだ』を埋めるのは読み手の個性だろ?」
と思っています。
何にも考えていない人が受けとめて
おもしろいと思える文章は、
ぼくには、書けないんじゃないか?
という気がする。

「あいつ、こんなこと言ってる?」
って、あいだを、
一緒に作って埋めてくれる人との
コミュニケーションが、
自分にとっては今いちばんおもしろいので、
今回の本も、またやっちゃったな、とは思いますね。

インターネットが一般化するちょっと前に
ほぼ日のスタートがあって、
「インターネットで濡れ手でアワ」
という時期も出てきて、その後、
どうも濡れ手でアワはなさそうになって、
本が発売される寸前のいまの記事が
ヤフーの社員10何パーセントがレイオフ
という話になってきています。

光通信がものすごい、と言われていたのが
ほぼ日の開始の時期だから、
ものすごく短い、バブルとも言えない、
風船のような時期を、
何にも力のない「ほぼ日」が
またいで生きているというのが、
おもしろいと思う。

何でまたげたんだ?
という問題じゃなくて、
関係なかったから、またいだ。

だからといって、いま、みんなが
インターネットの可能性がないと考えたら、
大間違いで、インターネットの底力は
ものすごいですし、インターネットが
なかったらできなかったことが
いっぱいあるよね?と思い出すには、
この、貧乏人たちの歴史本は、
すごくいいんじゃないかなあと思います。

もし俺たちが、紙媒体で
「ほぼ日」をしようとしてたら、
とっくに潰れてたで。
スタートもできなかっただろうし。


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飛躍したイメージの「あいだ」を、
各個人の個性によって
自由に思い描ける余地を残しながら
タイトにまとめた短編小説は、
「キレがある」といわれますよね。

3年以上をぎゅっと詰めた
『ほぼ日の本』300ページも、
そう読んでもらえると、いいなあ。


(darlingの談話は、明日につづきます)

2001-04-14-SAT

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