HOLAND
オランダは未来か?


「ホ 〜!ラント」第1回目

【まずは、能書き】
これから始める連載は大ネタです。
小国とはいえ、オランダという一つの国をネタに
かけようという意気込みですから ね。
皆さん、オランダのことはあまり
ご存知ではない方が多いんじゃないでしょうか。
実は私もそうなんです。
私はオランダのことをまだほとんど知りません。

この連載は、オランダのことをよく知っている人間が
オランダについて解説してい く、
というものではありません。
オランダについてあまり知らない人間が、
やみく もにオランダを知ろうとしていく連載です。

でも大丈夫。この連載はきっと面白くなります。
何故なら、オランダという国が、 日本の常識から見ると、
あまりにも変な国だからです。

私はまだオランダの入り口 のところにいるだけですが、
そこからでも、オランダという異世界の濃い匂いが
ガンガン感じられます。
「なんなんだろう?この国は」。
「どうしてこんな社会が成 り立っていけるんだろう?」
そういう好奇心がムクムクと湧いてきています。

この連載を読んでいただければ、
いずれみなさんにも私の罹っている
「オランダ好 奇心病」が伝染すると思います。
ぜひ一緒にその「オランダってなんだろう?病」
に罹りましょう。
そしてオランダの不思議社会を探検しましょう。

では、能書きの最後にタイトルの説明を。
オランダという言葉は、
ホラント(Holland)という
言葉のなまったものだそうです 。
オランダのことは、
聞くたびに「ホ〜!」という驚きがあります。
だから、「ホ 〜!ラント」っつーことで。
どうです?
この高級なギャグ。お腹かかえて笑っちゃ うでしょ?
コラコラ、そこのぼーっとした女子高生!
ゆーないととかブクヤマとかいう君たち 。
「寒い」とか言わないように。なにが寒いんだよ。
今、夏なんだぜ。

<お縄パフォーマー・ツバキさんの話シリーズ>
【アホでエッチなパフォーマンス集団、
アート・ポルノとは何か】

私に最初にオランダ社会の面白さを教えてくれたのは、
お縄パフォーマーのツバキさんでした。
ツバキさんというのは、芸名です。
前に「新聞をとってない人々」を探し歩いていた時に、
彼女と知り合いました。

ツバキさんは、襦袢を着て自分で自分を縛って吊るすという
パフォーマンスをしにアムステルダムに行ってきたのです。
彼女はアムステルダム、略してアムスで、
一風変わ ったアーティストたちと友達になってきました。

その話を、彼女との対話を
再現しながらみなさんに紹介したいと思います。
ツバキさんが、思い出し笑いをしながら語る
アムステルダムの芸術変態集団、
アート・ ポルノとは何者でしょうか?

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「アムスで会った
アーティストの話をしてくださいよ」
ツバキ 「私は2回アムスに行ったんだけど、
最初はホームページで見つけた
パフォー マンス集団に、
アポなしで会いに行ったの。
でも、彼らはいなかったのよ。
それで 日本に帰ってきたら、
彼らがクラブに出演していたの」
「それは偶然ですね。
アムスまで行くことはなかったわけだ。
その人たちは何という名前なんですか?」
ツバキ

「アート・ポルノ」

「べたべたな名前ですね。
分かりやすいけど」

ツバキ 「あたしは、
あんた達に会いにオランダまで行ってきたんだよ、
って言ったら 、そんな日本人もいるのか!
って言って狂喜乱舞してたわ。
それでお友達になって 、
今度はオランダで彼らと会ったの」
「それで彼らと一緒に
パフォーマンスをしたんですね。
椿さんは、襦袢を着て自分を縛って吊るすというのを。
それでアート・ポルノ
ってどういう人たちなんで すか?」
ツバキ

「元アナーキストの男と、
元ダンサーのお姉ちゃんが組んでいるの。
それに他の仲間が参加するっていう感じなのね」

「どんなパフォーマンスをするんですか?」
ツバキ 「色々あるんだけどね。
そのお姉ちゃんはヨガのレッスンをしているの。
彼女は世界中を渡り歩いた女なのよ。
いろんな国の男と恋に落ちては、
その国でダンスも習ってくる、みたいな。
だから5ヵ国語くらいは喋れるの。
それで、彼女が得意のヨガの逆立ちをするのよ。
すると男が、
彼女のむき出しの股間に牡蠣を乗せるの」
「え?女性の丸出しの
あそこに牡蠣を乗せるんですか?」
ツバキ 「そう。で、乗っけて、
うやうやしくレモンを垂らすの。
それで観客にその牡蠣をサービスするの」
「なんすか、それ?」
ツバキ 「セックスなんてマジメに
考えなくてもいいんじゃん?
みたいなことなんじゃないの。」
「そのパフォーマンスの
完成度は高いものなんですかね?」
ツバキ 「 ううん。低い。
練習しない。ちゃんと準備しない。
やってみたら駄目だった。
あ、駄目だった!ご っめ〜ん、みたいな。
私、これで金をとるのかよ?と思ったもん」
「それは、駄目じゃないですか」
ツバキ 「でも、これが私達のパフォーマンスなのよ!
私達のスタイルなのよ!
って彼らに押し切られるの」
「押しは強いんですね」
ツバキ 「うん。バリバリ!自信満々!」

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今回はここまでにします。
完成度は低いが、押しはバリバリ。
下品だけども、度胸は満点。
理想は高いが、あそこも見せる。
わけの分らないアムステルダムのパフォーマンス集団
アート・ポルノの話は、まだ続きます。

1998-08-14-FRI

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