HOLAND
オランダは未来か?

「ホ 〜!ラント」第5回目

インタビューをさせてもらっている
お縄パフォーマーのツバキさんは、
色っぽく、あったかい女性です。
お縄パフォーマンスっていうのは、
ツバキさんが襦袢を着て縄で自分を縛り、
空中に吊り上げられる姿を見せるパフォーマンスです。
その姿、その動き、その時にかける音楽に
ツバキさんの表現が込められています。
その、縛り絵師伊藤晴雨につながるような凄惨な美しさが、
ツバキさんのパフォーマンスの
真髄ではないかと私は思います。
それは客を勃起させることをメインテーマにした
SMショーとはまた別物です。
ツバキさんはそのパフォーマンスを東京のクラブで繰り広げ、
またアムステルダムのクラブや路上で公開してきました。
いい度胸じゃないですか。
そう言ったら「うん。度胸だけはあるんだ」
ツバキさんは笑っていました。度胸って大事ですよね。
ではその度胸一代ツバキ姐御にお聞きする
インタビューの続きをドージョ。

あ、その前に、ひとつ前回の訂正があります。
自分たちは絵を描いている、
音楽をやっていると申請すると
オランダ政府からお金が出る、
と書きましたが、
申請が認可されるためには
オーディションのような審査があるようです。
アート・ポルノは
ピス・ピラミッドみたいのをしたんだろうか?
まさかね。
それから政府からもらうお金をアーティスト達は
生活保護というように受け取っているのではなく、
芸術に対する援助だと考えているそうです。
以上私の間違いでした。では。

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お縄パフォーマー・ツバキさんの話シリーズ 5
【アホでエッチなパフォーマンス集団、
アート・ポルノとは何か?】
(縄というのが、ツバキさんの発言です)
「アート・ポルノの話から、
今度はツバキさんの体験した
アムステルダムの町の
話を聞かせてもらいたいんですけど、
もう一つだけ
アート・ポルノのことで聞かせてください。
彼らは、そんなに
アソコ丸出しのパフォーマンスをして
逮捕されないんですか?」
「クラブとかでやるぶんには
出すのはかまわないみたいだけど。
路上でやるときは本当はまずいんでしょうね。
でもアムスの元銀行だった建物の前で
路上パフォーマンスをやって出してた時は、
おまわりさんも一緒に見てたって言ってたけど」
「おまわりさんも一緒に見てた?
ほ〜!なんなんだろう、
ゆるいって言うのか
物分かりがいいって言うのか・・」

「ジャネットの家のそばに警察署があって、
彼らはおまわりさんとも仲がいいみたいだけどね」

「ふ〜ん、私たちの社会と
だいぶ日常的なところから違いますね。
頭がクラッとしてくるなあ。
じゃあ、インタビューを
アムステルダムの町のほうへ
移させてもらいますね。
タイトルも変えましょう」

パタッ!【未来都市アムステルダム?】

「アムステルダムって
写真で見ると奇麗ですよね。
ハウステンボスってあるけど、
まさにああゆうテーマパークみたいで、
お伽の国みたいな感じがするんですけど。
ツバキさんはジャネットの部屋に
居候させてもらってたんでしょ?
それはどういう所だったんですか?」

「ジャネットの部屋はアムスの
いちばん賑やかな地域にあるの。
駅から3分もかからないような。
アムスの中心地はみんな共同住宅になっていて、
一軒家は郊外に行かないとあまり見当たらない。
それからアムスの建物はみんな細長いの」
「はいはい。
薄切りの食パンみたいな感じですよね、
写真で見ると」

「それで石造りで年代ものの建物だから、
中には隣の建物に寄りかかっているのとか、
前の道路のほうへ
つんのめってるのとかいっぱいあるわけ。
ジャネットの部屋もそういう
細長い建物の中にあって、
建物が細長いから奥に長い住まいなのよ」

「うなぎの寝床ってやつですね」
「そう。
で、玄関が共同だから住民が
しょっちゅう出会うわけ。
廊下ですれ違ったりとか。
でも彼らは体が大きいから窮屈そうに見えるんだ」
「ガイジンさんはでかいからなあ。
背もちんちんも。
ちなみにアート・ポルノの人たちは
どのくらいの背丈なんですか?」
「ジャネットは170センチくらいで
ズートは180くらい。
オランダ人の平均身長って、男で180くらい、
女で175くらいじゃないかな」
「うわっ!でけえ」
「だからスーパーモデルみたいな
s 娘がいっぱいいるよ。
ちいさい人もそれはそれでいるんだけどね。
身長については面白い話があって、
アート・ポルノの連中から聞いたんだけど、
昔はオランダ人は背が低かったんですって。
でっかいオランダ人っていなかったって言うの」
「は〜。それがどうして?」
「オランダは牧畜が盛んなの。
その牧畜用の牛とかに
成長促進剤を投与したんだって。
その牛の肉とか
牛乳とかをオランダ人が摂取した結果、
オランダ人も背が大きくなったんですって」
「あはははは。面白いなあ。
でもホントウですかねその話」
「さあ。でも、オランダ人の身長は歴史的に見ると
途中から急にでっかくなっているんだって」
「ふ〜ん、確かにちょっと怪しいですね(笑)
住まいの話に戻りますけど、
お家賃なんかは高いんですかね?」
「高くないし、それに家賃を大家が
勝手に決められないんだって。
政府が家賃の制限をしているみたい。
それから空いている家を持っている人は
積極的に貸さなくてはならない
法律もあるみたいよ」
「ほ〜!住宅行政が大家に厳しいんですね。
アムスは住宅難なんですか?」
「郊外ならいくらでもあるらしいけど、
アムスの市内では住まいを
ゲットするのは大変らしい。
みんな抽選で決まっていくって聞いた」
「全部公団住宅みたいな扱いなんですか?
民間の貸し部屋も。ほ〜!徹底してますね。
じゃあジャネットも抽選で当たったんですね?」
「そう。ラッキーよ〜んって言ってた(笑)
だから部屋を一回借りれた人は手放さないのね。
又貸ししたりしてキープしちゃうみたい」
「ああ、日本の公団でも
そういうことしてる人いますからね」
「それから空き家に
勝手に住んでる人もいるし」
「えっ?
それは住居不法侵入じゃないんですか?」
「そういう空き家に住むのを
スクウォットっていうんだけど、
立ち退きとかを政府から
要請されないで堂々と住んでる人がいる」
「なんですと〜〜!!
s そんなことがあっていいの?
何を考えてるんだろうオランダ政府って」

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スクウォット、と言っても、
ジャイアント馬場が床に汗の池を作ったという
足腰の鍛練じゃない。
空いている家屋に勝手に住むことらしい。
しかもそれを政府が認めている?
オランダの政府、
その行政の特異さがツバキさんの話から
だんだんと浮き上がってきます。
アート・ポルノの人たちもたいがい変わっているけど、
オランダの政府という公の存在も
そうとう変わっていることが次第に分かってきました。
オランダって変ダッチ!

すいません洒落なんですけど・・
だっちとダッチ(Dutch)をかけている、
ここが笑うポイントですね。
ああ大笑い。では次回。 

1998-09-15-TUE

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