HOLAND
オランダは未来か?

「ホ 〜!ラント」第10回目

らっしゃい!
お待ちしてたんですよ、お客さんのこと。
そろそろ来る頃じゃないか?ってね。
こちらお通し!
涼しくなりましたねえ。
最初から熱燗いっちゃう?あいよっ!
いいインタビュー入ってますよ。
ゆっくりしてっておくんない。

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お縄パフォーマー・ツバキさんの話シリーズ10
【未来都市アムステルダム?】
(縄というのが、ツバキさんの発言です)
「アムステルダムの住人は
アートが好きなようですね。
レンブラントやゴッホを生んだ国ですもんね。
目は肥えてるよなきっと」
「子供の頃からアートに接する機会が多いから、
自然に好きになるんじゃないかな。
路上でアート・ポルノが
パフォーマンスやってた時も、
子供を連れた人も見てたし」
「前におまわりさんも
見てたって聞いて驚いたんですけど、
子供も見てるの?
ピス・ピラミッドとかデジタル・ジェニタル、
あのお尻の中でぽこぽこやっちゃうやつを?」

「それはアナル・レストランだったけど。
アートについての
許容量が日本とは違うんでしょ。
映画で性器にモザイクをかけるなんて
日本だけじゃない。
だから日本人は逆に
意識過剰になっちゃうんじゃないかな」

「モザイクかかると、
かえってアソコばっかり気になっちゃうからね。
日本のアートって言葉にはなんともいえない
軽さってないですか?
俺の偏見かなあ?
なんか神棚の上に
祭ったまんま忘れてるみたいな。
アムスじゃもっと普通の人が
好きなのかなアートってもんを」

「アムスにかっこいいボンデージ・
ファッションのお店があって、
そこはヨーロッパで
トップクラスのおしゃれな店なんだ。
そこのマヌカンのお姉ちゃんが
『東京クレイジーボーイズって知ってる?』
って言うのよ」

「東京クレイジーボーイズ?
知らないなあ。
クレイジーキャッツなら知ってるけど」

「彼女はすごい興奮して『彼らはスゴイわよー!
凄いアーティストなのよ』って言うの。
『おしりに花火を刺してピューってやるの』だって。
それは、電撃ネットワークじゃないか!って(笑)
彼女は電撃のアムス公演を見てたのよ」

「あはははは。
電撃ネットワークはアートなんだ彼女には」
「私にも彼らがアートとコメディを分ける線が
どこにあるかがわかんない。
モンティ・パイソンなんかはコメディなのよ。
でも電撃はアートなの」
「アートに対する感覚が違うんだなあ。
なんか揺すぶられちゃいますね、
こっちの常識が」
「あとアムスの友達の間では日本の
『猫耳』っていう映画が大評判だったの。
『猫耳を見ろ!』って(笑)
私は見たことがなかったんだけど」
「『猫耳』?自主映画かなあ。
聞いたことないですね」
「アートとは違うけど、
アムスには大道芸人もいっぱいいる。
その大道芸人のレベルが高いの。
『ブルーマン』っていうのも有名。
スーツを着てて、体の出るところは
全部ブルーでボディペイントしてる。
『マスク』っていう映画みたいに」
「パントマイムなんですかそれ?」
「そう。ロボコップ的な動きをする。
観客がお金をくれると握手をするの。
でも観客がいたずらして握手する
腕を振り回したりすると、
ブルーマンは暴走して、
目を剥いて殴りかかるふりをする」
「客いじりですね」
「あと大道芸では人形劇もたくさんある。
日本のと違って、等身大の人形を操るのが多い。
両手に自分と同じ大きさの人形を持って動かすの。
2つ持って動かす人もいる。
日本の人形使いのような
繊細さはないけど面白いよ」
「アムスの人はアートも芸能も好きなんだな」
「『サブ・シアター』っていう劇場で
コメディをしている女の子と友達になったの。
スキンヘッドでまだ20才くらいですごく可愛い。
その子がヒゲをつけて
相棒とパントマイムをするの」
「ひげ部だな。
(『すごいよ!!マサルさん』参照)」
「そのヒゲはダッチ髭っていう、
大きくて長くて巻いてるヒゲ。
それで二人でえんえんとその場
マラソンみたいなことをするの。
追い越したり
追い越されたりってえんえんとやるんだけど、
二人とも足がピタリと揃ってる。
途中でひとりが舞台の裾にワインを取りに行って、
走りながらワインを飲むんだけど、
そういう時はちょっとぐらい
足並みが乱れそうなんだけど、
舞台の裾から出てきた時すでに
ピタリと足が合ってるの」
「それはスゴイな」
「友達が『だってあいつら
3年もあれやってるんだよ』って。
『しかも毎日練習してんだよ』だって」
「一芸に秀でてますねえ。
他の持ちネタもあるんですか?」
「他には、3メートルの長さのカツラをつけて、
女の子が籠の鳥みたいに高いバーの上で座って
ブランコを漕いでるだけのとか。
何時間やるの?って気になっちゃうくらい。
でもそのカツラが時々ふわっと浮いて、綺麗なんだ」
「いいなあそれ。面白いですねアムステルダムは」

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今回のインタビューに出てきた「猫耳」という映画。
これはアムステルダムのツバキさんが知り合った
アーティスト連中が絶賛していた映画です。
どんな映画だろうとインターネットで
調べたらすぐ分りました。
実に凄いねインターネット。
特にロボット検索というやつは便利。

「猫耳」というのは黒澤潤という監督の作った
16ミリ映画だそうです。
ロッテルダム映画祭出品作ですから、
アムスの連中はこの時見たんでしょう。
他にも世界各国の映画祭で上映されています。

それで間がいいことに、
この秋「BOX東中野」というところで
上映するそうです。
電話で聞いたら上映期間は未定だが、
11月下旬に公開くらいだそうです。
別に広告する義理はないんですが、
興味のある方のためにお知らせしました。
あおり文句は「倦怠、暴力、エロス、
世紀末日本が生んだ
アヴァンギャルドムービー『猫耳』が、
ヨーロッパのアンダーグラウンドシーンを震撼させ、
ついに日本へ再上陸!」というものです。
少なくともツバキさんの
アムスのアーティスト友達の間では、
このあおり文句は真実でした。
俺は見てみようっと。

ではまた数日後に。ありあとあしたっ!

 

1998-10-03-FRI

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