お縄パフォーマー・ツバキさんの話シリーズ11
【未来都市アムステルダム?】
(縄というのが、ツバキさんの発言です) |
私 |
「アムステルダムでの外食っ
てどんな形が一般的なんですか?」 |
縄 |
「カフェで食事もすることが多いみたい。
あとは中華街のあたりにあるアジア料理店とか。
ステーキ屋とか、
ピザ屋のようなイタリアン系もあるし」 |
私 |
「概して美味しいものはなかったとか」 |
縄 |
「そうね」
|
私 |
「多くを語りたがりませんね(笑)
カフェで食事もしちゃうっていうことは、
あまり昼飯はたくさん
食べないのかなオランダの人は」
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縄 |
「そうみたい。
日本人のほうが確実にたくさん食べるよ」
|
私 |
「オランダ料理っていうのはどうなんですか?」 |
縄 |
「ジャネットは、
『あ〜、あんなものは食べることないよ!』って(笑)
みんながそんな風に言ってたな。
豆のスープみたいなのがあるんだけど、
『手がかかる上に美味しくないんだ』だって」
|
私 |
「ははは。自分のお国料理にクールなんだなあ」 |
縄 |
「にしんを生で刺し身みたいに
食べるのは美味しいけどね。
にしんにレモンとオニオンを乗せて、
尾を持って食べる。
春には屋台が出るらしい」 |
私 |
「アートっぽい面白い
レストランに行ったんでしょ?
それを教えてください」 |
縄 |
「『サパー・クラブ』って言うんだけど、
そのレストランは変わってる。
長方形の小さな体育館くらいあるスペースで、
細長い部屋の奥に厨房があるの。
それで部屋の両側にはマットレスがひいてある。
キングサイズのマットレスが敷き詰めてあるわけ。
しかも片側のは、2段ベッドみたいになっていて
階段までついている。そして部屋の真ん中に、
鉄製のどでかいテーブルがあるの」 |
私 |
「へえ、マットレスがひいてあるの?
でんぐり返しでもするために?」 |
縄 |
「マットレスの上にお客がみんな
寝っ転がっているの。
飲んだり食べたりしながら」 |
私 |
「ほ〜。えらく気さくなレストランですね」 |
縄 |
「その部屋は全部アートとして
デコレーションしてあるの。
トイレまで奇麗に
装飾してあって15畳くらいある。
オブジェで木馬が置いてあった」 |
私 |
「かなり洒落てるわけですね。
それは誰がアートとして
演出してるんでしょうね?」 |
縄 |
「お店全体がオーナーシェフの作品なのね」 |
私 |
「するとオーナーは料理するだけでなく、
アーティストでもあるんですか」 |
縄 |
「そう。オーナーは絵が好きで、
お客がお給仕をされている横で、
超巨大なキャンバスに油絵を描いてたの。
『今日はそんな気分だから』って。
それで向こう側の厨房では、
料理コンテストで1位を取ったおばちゃんが、
火を吹きながら料理を作ってるし」 |
私 |
「火を吹きながらって・・
ゴジラじゃないんだから。
えらいレストランだねそれは」 |
縄 |
「厨房のコックたちも緑色の手術着を着てるし、
火を吹くおばさんは料理長なんだけど、
ゴージャスな黒いドレスを着て
手袋やイヤリングもしてる。
ウェイトレスは天使の格好で羽をつけてる」 |
私 |
「ほえ〜、
アートってよくわかんねえな俺は。
そのレストランは高いんですか?」 |
縄 |
「そこは高級レストランに入るわね。
値段も高いほう。完全予約制だし。
で、その日の食事のコースはひとつしかないの」 |
私 |
「それを客はマットレスに寝転んで、
食べたり飲んだりするんですね?」 |
縄 |
「そう。リラックスしてお喋りしながら。
で、時々黒いドレスのおばちゃんが
火を吹いたり金粉を散らしたりする。
デザートにチョコレートソースをかける時も、
そのおばちゃんが20皿分くらいに、
チョコレートソースを
お玉で一気にひっかけるの。
それを見てお客が『わー!』と喜ぶ」 |
私 |
「お客にひっかからないんですか?」 |
縄 |
「お客にはかからない所でやるんだけど、
ウェイトレスの天使の羽は
チョコレートだらけになってた(笑)」 |
私 |
「型破りな店ですねえ」 |
縄 |
「かなりね。
その店ももともとはスクウォットして
不法占拠で始めたレストランだったの。
それが有名になって大きくなって、
今は自分で買い取ったらしいけど」 |
私 |
「どんな飯が出るんですか?」 |
縄 |
「肉は出なかった。ベジタリアンっぽい料理」 |
私 |
「味のほうは?」 |
縄 |
「・・・まあね」 |
私 |
「多くを語りませんね(笑)
でもリラックスして
食事をするというアイデアは
とてもいいですね」 |
縄 |
「まずマットレスの上に靴を脱いであがるでしょ。
ヨーロッパでは靴を脱ぐっていうのは、
プライベートな間でしかしないことらしいの。
私はすぐ裸足になっちゃうから、
あっちの人たちに驚かれたくらいだから」 |
私 |
「そうか、靴をぬぐっていうことが
親密感をたかめるんですね。
それはレストランとしてはそうとう
斬新なことなんでしょうね。
セクシーなものでもあるのかな」 |
縄 |
「食べてる横で、
マッサージのサービスもあるの。
Gパンに70年代風の
ファッションをした女の子が、
インド式マッサージとかって
わけの分からないのをやってた」 |
私 |
「なんだか楽しそうだなあ。
そのオーナーシェフって人は
有名人なんでしょうけど、
どんな感じの人ですか?」 |
縄 |
「ハゲあがってるけど、セクシーなおっさん。
無口なんだけど、
内気そうにしてセクシーに迫る、って感じの」 |
私 |
「ふ〜ん。
アムステルダムには個
性的な人が多そうですねえ」 |