HOLAND
オランダは未来か?

「ホ 〜!ラント」第11回目

「では数日後に」なんてことを言っておきながら、
1週間のご無沙汰をしてしまいました。
ウソをついちゃいましたねえ。
はぁ〜〜。
ウソもつくし溜め息もつく。
正月くればモチもつくなんてね。あはは。
笑ってごまかしてどんどん進みます。
今回はアムスの奇妙なレストランの話です。

-------------------------------------

お縄パフォーマー・ツバキさんの話シリーズ11
【未来都市アムステルダム?】
(縄というのが、ツバキさんの発言です)
「アムステルダムでの外食っ
てどんな形が一般的なんですか?」
「カフェで食事もすることが多いみたい。
あとは中華街のあたりにあるアジア料理店とか。
ステーキ屋とか、
ピザ屋のようなイタリアン系もあるし」
「概して美味しいものはなかったとか」

「そうね」

「多くを語りたがりませんね(笑)
カフェで食事もしちゃうっていうことは、
あまり昼飯はたくさん
食べないのかなオランダの人は」

「そうみたい。
日本人のほうが確実にたくさん食べるよ」

「オランダ料理っていうのはどうなんですか?」

「ジャネットは、
『あ〜、あんなものは食べることないよ!』って(笑)
みんながそんな風に言ってたな。
豆のスープみたいなのがあるんだけど、
『手がかかる上に美味しくないんだ』だって」

「ははは。自分のお国料理にクールなんだなあ」
「にしんを生で刺し身みたいに
食べるのは美味しいけどね。
にしんにレモンとオニオンを乗せて、
尾を持って食べる。
春には屋台が出るらしい」
「アートっぽい面白い
レストランに行ったんでしょ?
それを教えてください」
「『サパー・クラブ』って言うんだけど、
そのレストランは変わってる。
長方形の小さな体育館くらいあるスペースで、
細長い部屋の奥に厨房があるの。
それで部屋の両側にはマットレスがひいてある。
キングサイズのマットレスが敷き詰めてあるわけ。
しかも片側のは、2段ベッドみたいになっていて
階段までついている。そして部屋の真ん中に、
鉄製のどでかいテーブルがあるの」
「へえ、マットレスがひいてあるの?
でんぐり返しでもするために?」
「マットレスの上にお客がみんな
寝っ転がっているの。
飲んだり食べたりしながら」
「ほ〜。えらく気さくなレストランですね」
「その部屋は全部アートとして
デコレーションしてあるの。
トイレまで奇麗に
装飾してあって15畳くらいある。
オブジェで木馬が置いてあった」
「かなり洒落てるわけですね。
それは誰がアートとして
演出してるんでしょうね?」
「お店全体がオーナーシェフの作品なのね」
「するとオーナーは料理するだけでなく、
アーティストでもあるんですか」
「そう。オーナーは絵が好きで、
お客がお給仕をされている横で、
超巨大なキャンバスに油絵を描いてたの。
『今日はそんな気分だから』って。
それで向こう側の厨房では、
料理コンテストで1位を取ったおばちゃんが、
火を吹きながら料理を作ってるし」
「火を吹きながらって・・
ゴジラじゃないんだから。
えらいレストランだねそれは」
「厨房のコックたちも緑色の手術着を着てるし、
火を吹くおばさんは料理長なんだけど、
ゴージャスな黒いドレスを着て
手袋やイヤリングもしてる。
ウェイトレスは天使の格好で羽をつけてる」
「ほえ〜、
アートってよくわかんねえな俺は。
そのレストランは高いんですか?」
「そこは高級レストランに入るわね。
値段も高いほう。完全予約制だし。
で、その日の食事のコースはひとつしかないの」
「それを客はマットレスに寝転んで、
食べたり飲んだりするんですね?」
「そう。リラックスしてお喋りしながら。
で、時々黒いドレスのおばちゃんが
火を吹いたり金粉を散らしたりする。
デザートにチョコレートソースをかける時も、
そのおばちゃんが20皿分くらいに、
チョコレートソースを
お玉で一気にひっかけるの。
それを見てお客が『わー!』と喜ぶ」
「お客にひっかからないんですか?」
「お客にはかからない所でやるんだけど、
ウェイトレスの天使の羽は
チョコレートだらけになってた(笑)」
「型破りな店ですねえ」
「かなりね。
その店ももともとはスクウォットして
不法占拠で始めたレストランだったの。
それが有名になって大きくなって、
今は自分で買い取ったらしいけど」
「どんな飯が出るんですか?」
「肉は出なかった。ベジタリアンっぽい料理」
「味のほうは?」
「・・・まあね」
「多くを語りませんね(笑)
でもリラックスして
食事をするというアイデアは
とてもいいですね」
「まずマットレスの上に靴を脱いであがるでしょ。
ヨーロッパでは靴を脱ぐっていうのは、
プライベートな間でしかしないことらしいの。
私はすぐ裸足になっちゃうから、
あっちの人たちに驚かれたくらいだから」
「そうか、靴をぬぐっていうことが
親密感をたかめるんですね。
それはレストランとしてはそうとう
斬新なことなんでしょうね。
セクシーなものでもあるのかな」
「食べてる横で、
マッサージのサービスもあるの。
Gパンに70年代風の
ファッションをした女の子が、
インド式マッサージとかって
わけの分からないのをやってた」
「なんだか楽しそうだなあ。
そのオーナーシェフって人は
有名人なんでしょうけど、
どんな感じの人ですか?」
「ハゲあがってるけど、セクシーなおっさん。
無口なんだけど、
内気そうにしてセクシーに迫る、って感じの」
「ふ〜ん。
アムステルダムには個
性的な人が多そうですねえ」

----------------------------------------

ツバキさんのインタビューはもうすぐいったん終了します。
そして次々と別の方に
異なった角度からのオランダを聞いていきます。
お楽しみに。では数日後に。
今度はインディアンうそつきません。

 

1998-10-10-SAT

BACK
戻る