お縄パフォーマー・ツバキさんの話シリーズ12
【未来都市アムステルダム?】
(縄というのが、ツバキさんの発言です) |
私 |
「アムステルダムでは
フリーマーケットなんかも盛んみたいですね」 |
縄 |
「そう。フリマで買うことは多いみたい。
『そのTシャツ可愛いね。
どこで買ったの?』って聞くと
『フリーマーケット!』とかね。
フリマは毎週やってる。
膨大な数の人が集まる。
カナダとかから来る人もいるし。
アンティークの家具なんかがとても安いの」 |
私 |
「ふ〜ん、それは公園なんかでやるんですか?」 |
縄 |
「うん。
ただオランダなまりの英語の人がすごく多くて、
値段もわかんなくて困った。
値札もつけてない服を山のように積んでるだけで、
『これいくら?』って聞いても
言ってることがわからなくて」
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私 |
「オランダの人は金の使い方が
手堅いって感じがしますね。
熱に浮かされたようにみんなと同じ物を買いに走る、
みたいなことはなさそうだし。
消費者としての年季の違いですかね。
日本みたいにみんながいっせいに
同じファッションになるなんて
ないんでしょう?」
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縄 |
「それはぜんぜんない。
もちろん流行りっていうのはあるし、
流行りに乗った人達もいるけどね。
日本みたいに冷蔵庫をこ
れは古いからもう捨てちゃって
新しいのにしようとかはまずなくて、
ボロくなっても大事に使うし。
オランダの人達が賢いっていうより、
日本人が必要な物を見極める力が
なさすぎるんじゃないかな」
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私 |
「日本は生産では欧米に追いついたんだけど、
消費のほうはまだ青二才かもしれないですね。
お買い物上手な社会とはまだ言えないでしょうねえ。
買い物って個性ですもんね。
ツバキさんの知り合った人達の
部屋ってどんな感じですか?
ほら部屋って個性がでるじゃないですか」 |
縄 |
「私が呼ばれて行った部屋は
みんなオシャレで個性的だったよ。
ハデな部屋もいっぱいあった。
壁に絵を描いちゃうみたいなのは当たり前で。
ジャネットの近所の友達のグーナって男がいて、
彼はオカマさんなんだけどね。
グーナの部屋には
ラーメンの金箔の模様みたいのが壁に
描いてあって
『これ中国のマークなの』とか言ってたり(笑)
『こっちはボンサイの絵』って盆栽も描いてあって、
超トンでるような部屋になっちゃってて。
『友達に描いてもらったのよ〜』だって」
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私 |
「そのオカマさんは何をやってる人なんですか?」 |
縄 |
「彼はジャズシンガーで、
ジャズバーのウェイターもやってる。
体中にバターを塗りたくって
ロックバンドで唄うこともある(笑)
グーナはそれでグラムロックだって言ってるんだけど、
私はそういうのが
グラムロックだとは思わないけどね(笑)
インドネシア系の血が入ってるらしくて、
顔は東洋系なんだけど
体はオランダ人と同じくらいでっかいの」 |
私 |
「その人自身の方がよっぽどグラムロックだよな」 |
縄 |
「グーナの部屋には真赤なカーペットが敷いてあって、
よくこんな部屋に落ち着いて寝れるなあ〜と思う。
昔の大女優の楽屋みたいな部屋なの。
大鏡がデーンとあって、化粧品とか金のニセモノが
ごちゃごちゃいっぱい置いてあったり」 |
私 |
「それは個性的どころの騒ぎじゃないね。
住む部屋ってもんは
社会の奥にあって一番隠れてるでしょ。
でも社会の自由度がどのくらいかっていうのは、
住む部屋に一番よくあらわれちゃう気がしますね」 |
縄 |
「やっぱり日本ではやりたくてもできないことが
アムスならできる、っていう部分は大きいと思う。
社会のありかたが根本からぜんぜん違うから。
スクウォットしてる部屋は特に個性的だったな。
前に話したサブ・シアターっていう
二人組みのカップルの部屋は
逆になんにも家具がなくて、
どうやって暮らしてるんだろう?
って不思議だった」 |
私 |
「アムステルダムは
東京に比べたら小さな都市ですよね。
そのアムスの
アーティストっていうか文化人的な人達の
コミュニティーっていうのは
どんな感じなんですか?」 |
縄 |
「規模から言ったら下北沢くらいの感じ。
だから情報は口コミですぐ広がる。
『今日パーティーしない?』
『あ、行く行く』みたいな感じだから。
私のこともジャネットのとこに変な日本人がいるぞ、
って感じですぐ広まっってたしね。
アムスの市内でイベントがあるというと、
どうしても耳に入ってくる。
すぐに伝わるわけ。
で、みんな見に出かけるの。
チャリンコに乗って(笑)」 |
私 |
「なんかいいな(笑)
それでテレビなんかはどうなんですか。
そういうイベントを取り上げるんでしょう?」 |
縄 |
「そう。アートポルノもテレビによく出る。
でも向こうはテレビのあり方も
日本とはずいぶん違う。
基本的に向こうはEC全部映っちゃうから。
ヨーロッパ全部が映るの。
それからオランダには
海賊ラジオっていうのがあるんだよね。
国の認可を受けてないんだけど
黙認されてるラジオ局らしいけど」 |
私 |
「そこですよね。いつも不思議なのは。
正式には認められてないのに黙認、っていうやつ。
それがオランダの謎だよなあ」 |
縄 |
「そういう海賊ラジオが人気が出て、
テレビに進出することもあるみたい。
そういうテレビ局の番組は
セックスがらみのが多かったりする」 |
私 |
「海賊ラジオか。つまり自主メディアですね。
でも海賊って言葉は
オランダの人に当てはめると迫力あるね。
世界の海を制したことのある国だもんな。
セックス系ってのは
日本から言えばいわゆる洋モノでしょ。
俺も時々、たま〜にレンタルビデオで借りるけど、
洋モノってのは
興奮する前に圧倒されて
チュ〜ンとなっちゃうんですよ。
拝見しました、って感じでさ」 |
縄 |
「でも向こうのポルノはファック命だから、
情緒はぜんぜんない。
だから日本の
ピンク映画が彼らにはアートに見えるの」 |
私 |
「そう!ファック命なんだよ。洋モノは。
もっとさあ、もっとこうなんてえの?
もっとこうだんだんにさ。
ウェットなムードってもんを
盛り上げてもらわないと。
心と下半身の準備が整わないっつーの!」 |