お縄パフォーマー・ツバキさんの話シリーズ13
【未来都市アムステルダム?】
(縄というのが、ツバキさんの発言です) |
私 |
「ツバキさんにアムステルダムの町の話をいろいろと
してもらったんですけど、ここらで話題を変えて、
ツバキさんがアムステルダムで出会った映画監督の話に
移りたいんです。
ツバキさんに教えてもらった雑誌『SWITCH』の
アムステルダム特集号がここにあるんですけど、
この特集は充実してますね。
たくさんのアムステルダムの
アーティストが紹介されていて。
アート・ポルノや前回の話に出たレストラン
『ザ・サパークラブ』の主催者トワルト・フォスも
紹介されています。
アート・ポルノの写真がページの
片面いっぱいに載ってますね。
これは路上でのパフォーマンスですね。
右端のペニスが付いた大きな帽子をかぶって、
鞭みたいのを振りまわしている
気のきわめて強そうな女性。
これがジャネットですか?」 |
縄 |
「うん」 |
私 |
「んで、中央のトップレスの女性のおっぱいを、
左右から男がしゃぶりついている。
この向かって右のグラサンをかけて、
バイブをおっぱいに
当てながら乳首に吸いついている
イナセな男。これがズート?」 |
縄 |
「そうみたいね。
アート・ポルノはジャネットとズートを
中心にしていろいろな
パフォーマーが集まるから、ここには
5人写っているけどそれはその時々で変わる」
|
私 |
「それでいよいよ、
こっちのページにその監督が
写っているわけです。
彼の名前は、イアン・ケルコフ」
|
縄 |
「イアンちゃ〜〜ん!」
|
私 |
「この写真はひときわエグイですねえ。
裏地が蛇皮の皮ジャンを着て、
ハイネケンを突き出して
カメラをぬうっと覗き込んでいる。
金澤セイヒローばりの剛毛の無精ひげ。
アブなそうですねえ。
この目。目がイッちゃってますね」 |
縄 |
「うん、ずっとイッてる。
マリファナが好きで年中吸ってるから」
|
私 |
「では、タイトルを変えましょう。パタ!
【いつでもぷかちょの映画監督、
イアン・ケルコフとは何か?】 」 |
私 |
「イアン・ケルコフは初の商業用長編映画
『アムステルダム・ウェイステッド!』を
1996年に発表して
アムステルダムで大人気になったんですよね。
それまでは異常性愛や
グロテスクなものを描き出す
アングラな作品を作ってきたらしいですね。
イアン・ケルコフはどんなお人柄なんですか?」 |
縄 |
「いいやつ。
でも私はイアンの話す
英語はよく聞き取れないんだけど。
くせのある英語で、
スラングとかもいっぱい使うから」 |
私 |
「もう全身がくせで出来ちゃってる、
って感じですかねえ」 |
縄 |
「イアンと話していると、
まともな答えが返って来たことがないんだ。
誰かが『何か飲む?』って聞いてきたとするでしょ。
私は『紅茶がいいな』なんて言ってると、
イアンは『俺。血』なんて言うんだから(笑)」 |
私 |
「へそまがりですねえ。
そういう人は案外シャイだったりするもんですけど」 |
縄 |
「うん、いいやつなんだよ。
イアンの撮っている映画の主演男優に
『イアンの印象はどうだった?』って聞かれて、
『いやあ何を言ってるんだかわかんないよ。
喋るのが速すぎて』 と答えたの。
そしたらその俳優が
『彼女が君が何を言っているのか
分らないと言ってるよ』って
イアンに言ってくれたみたいなのねどうやら。
『今度は彼女にはもっと
ゆっくり喋ってやってくれ』って。
それで次にあった時、異常にゆっくりと喋るの。
しかも私が答えようとすると、
この写真の目でじーーーっと見つめてるんだよ(笑)
可笑しくって、喋れなくなっちゃて」 |
私 |
「優しいじゃないですか。
私もツバキさんに教えてもらって、
渋谷のUPLINKという所で
『アムステルダム・ウェイステッド!』を観たんです。
そこで売っていた
『テクノ』という作品のビデオも観ました。
それしか観てないんで言うのもなんですけど、
この監督は
極度に内向的なところと、
ドワッとやらかしてしまうところの
両面があるような気がしました。
日本で言うと、町田康、昔は町蔵っていってたけど、
あの人の感じに似たものを感じましたね」 |
縄 |
「彼は私が会った時は、
次回作に取り掛かってて
忙しかった時期だったからあまり話せなかったんだ。
でもイアンはシャイだし、
すごく繊細で傷つきやすいと思う」 |
私 |
「興味深い人ですね。
この人はアムステルダムやオランダについて
どんな考えを持っているんだろう?
ぜひ知りたいですね俺」 |