俳優、ナレーター、ミュージシャン、そして映画監督と、
様々な分野でご活躍の田口トモロヲさん。
俳優では、映画『少年メリケンサック』で演じた
中年パンクバンドのボーカリスト役が記憶に新しいところ。
ナレーターとしましては、
NHK『プロジェクトX』(2005年終了)での
穏やかで独特な語り口のナレーションが
いまだに強く記憶に残っている方も多いことでしょう。
そんなトモロヲさんから、
今回はたっぷりと、ふたつのお知らせがあります。
まずはひとつめ。
5年ぶりに監督をつとめた、
映画作品のご紹介からまいりましょう。
2004年に初めてメガホンをとった
『アイデン&ティティ』では、
銀杏BOYZの峯田和伸さんを主役に抜てきし、
その圧倒的な存在感で観客を驚かせた田口トモロヲ監督。
この新作でもまた、たいへん気になる存在感の青年が、
主役としてスクリーンに登場しています。
写真中央の、渡辺大知くん。
こうしたキャラクターはどうやって発掘されるのでしょう?
キャスティングのお話から、うかがってみました。
珍しい動物を見つける、という感じです。
峯田くんのときが、そうだったんです。
今回の渡辺大知くんもやっぱり同じで、
あ、珍しい動物! という見つけ方でした。
2000人を超える候補者の中からオーディションで
選ばせてもらったんですけど、
もう、圧倒的に彼が「珍しい動物」でしたね。
そもそも今回の映画は
みうらじゅんさんの自伝的な小説が原作です。
その主人公は、自分で作った歌を
ずーっと歌っているという設定なんですよ。
だから主人公はギターと歌ができなくちゃならない。
その点、渡辺くんは『黒猫チェルシー』という
ものすごく瞬発力のあるバンドをやってますから、
歌とギターは大丈夫。
で、それともうひとつ、
主人公を演じるにあたって重要な条件があったんです。
それは「ほんものの童貞マインド」を
持っているということ。
なにしろみうらさんの童貞時代の話ですから。
その大切な役を、明らかにモテるだろうっていう、
かっこいい役者にやらせたくないじゃないですか。
そんなことしたら‥‥もう、腹が立つでしょう?
ですから、カクジツにリアル童貞で、
不器用な文化系の男子というイメージで、
たどり着いたのが、渡辺くんだったわけです。
なるほど(笑)。
渡辺大知くんだけでなく、
全体にとても魅力的なキャスティングですが、
この方々もトモロヲさんのイメージ通りで?
そうですね、峯田くんにはやっぱり出てもらって。
京都の話なんで、関西弁が話せる人を探しました。
童貞も関西弁も、ネイティブじゃないと。
『くるり』の岸田繁くんには、
いつか出てほしいと思ってたんです。
で、今回、岸田くんは京都出身だし、
ちょうどいいと思ってダメ元でお願いしてみたら、
これが、すごく前のめりに受けてくれて。
うれしかったですねえ。
あと、お父さん役はリリー・フランキーさん。
お母さん役は堀ちえみさん。
しかも堀ちえみさんは5人の子どものお母さんですから、
すごいリアリティですよね。
このふたりにもダメ元でお願いしたら受けてもらえて、
ほんと、ありがたいことです。
「ほぼ日」とも縁の深い、
みうらじゅんさんの自伝的小説が原作ということは、
ストーリー的には、青春映画になるのでしょうか?
青春モノです。
でも、ほとんどの青春モノがそうだと思うんですけど、
上映2時間なら2時間のあいだに主人公が何かを経験して
大きく一歩、おとなに成長したりするじゃないですか。
この映画の主人公は、たいして成長しません。
セックスのことで頭がいっぱいになってる高校生3人が
夏休みに、隠岐島のユースホステルに行くんです。
「そこはフリーセックスの島だ!」
というまちがった情報を仕入れて。
もう、言っちゃいますけど、
けっきょく最後まで、この3人は童貞のままなんです。
女の子とはなんにもできず、大人にはなれない。
そのかわり、様々な人との出会いがあるんです。
それによって、ほんのちょっと、半歩くらい、
いや、半歩以下ですかね、足の指先ちょっとくらい、
わずかに成長するんです。
「この夏、大きく成長しました!」
なんて、ねえ? 実際はないでしょ?
そんなにドラマチックなもんじゃないですよね。
あがいてあがいて、ほんのちょっと成長したのかも?
っていうのが本当のところでしょう。
すくなくとも、みうらさんの青春はそうだった。
そういうですね、
今までの青春映画ではこぼれ落ちてきた部分を、
この映画で描いてみようと思ったんです。
文科系男子の不器用な夏の物語、
8月15日から全国ロードショーが始まります。
(関西地区は8月8日から公開スタートです)
上映スケジュールなど、
詳しくはこちらのオフィシャルサイトでどうぞ。
さて、ふたつめのお知らせです。
さまざまなお仕事をされている田口トモロヲさんですが、
こんなことまでされているとは、
みなさんご存じなかったのでは?
3枚並んだこちらは、タオルのデザインです!
トモロヲさんは、奥様のイラストレーター、
ヨシヤスさんといっしょに、
「温泉タオル」を作っていたのでした。
せっかくですので、このお話もうかがいましょう。
なぜに、タオルなのですか?
ぼくら2人は、フジロックフェスティバルが好きで、
ここのとこ毎年行ってるんです。
初めて行った年、雨で下がビショビショだったんです。
ほんとにぬかるみ状態で、
みんなスニーカーがドロドロになっちゃってて。
「こんなときオシャレな長靴があったらすごくいいのに」
っていう話をしてたんです。
で、次の年の夏フェスに行ったら、
オシャレな長靴がすごい流行ってたんですよ。
ほらね! やっぱり!! と(笑)。
じゃあ次は何だろうと考えて、思いついたのがこれです。
フェスでは頭にタオルを巻いてる人が多いんで。
かっこいいタオルがあれば、よろこばれるだろう、と。
それからいろいろ考えて、たどり着いたのが、
薄い「温泉タオル」だったんです。
今までにない、かっちょいい温泉タオルを目指してます。
なんか、儲けとか、ほとんどないみたいなんです。
でも広がることが面白いと思ってるんで、
どうかひとつ、よろしくお願いします。
ん? そうなの? ほぼ日さんもタオルを作ってる。
ああー、じゃ、タオル対決ということで(笑)
「LOVE & TOWEL」の詳しくはこちら。
トモロヲさん、
この日はご自宅にまでお邪魔させていただいて、
「映画」と「タオル」のたっぷりとしたご案内を、
ありがとうございました!
みなさま、よろしければこの夏は、
トモロヲさんの「映画」と「タオル」を、ぜひ!! |