ヒット一本が、
どれだけうれしいか。

イチロー選手が、言葉で、人の心を打ち抜いた!

第9回 こんなにつらいのは自分だけか。

糸井 目の感覚がものすごい、と言われていますよね。
イチロー 視力はよくないんですけど、
動体視力になると、いいんですよ。
前にテストしたら、
じーっとしているよりも、
動いたときのほうが、
ものをとらえられるという結果が
出たんです。

だから、動いてないといけないんですね。
バッティングでも、
ぼくは最初に動くでしょう?
あれは、そういうことなんです。

ぼくは、「静から動」の動きでは、
力が発揮しづらいんですね。
「動から動」がちょうどいい。

やっぱり、タイプがあると思うんです。
止まってから動いたほうが
いい人もいますし。
だから、こういうことは、
自分で能力を見つけないと
いけないんですよ。
ぼくがそれを見つけたのは、
プロになってからですけど。
ただ、小さい頃から、走っているクルマの
ナンバープレートを見て
それをたし算したりするのが、
ものすごく好きだったから、
そういうのは今思うと、
つながっているのかもしれないです。
糸井 イチローさんへ寄せられた質問は、
ほんとにいろいろあるんですけど、
中でも、なんとか
イチローさんと自分の共通点を見つけたい、
と思っているような問いが、
いっぱいあるんですね。

さっきの
「サボりたい日はありますか?」
みたいなものなんですけど。

ただ、そういうのって、
きっと、イチローさんだって、
同じに決まっていると思うんです。
サボりたい日がない人なんて
いないでしょう。

だったら、すべてのそういう質問を、
「イチローさんは、
 どこから人と違っちゃったのか?」
という質問でまとめちゃったら、
済むと思ったんですが……。
イチロー

なるほど。

さっきのサボりたい日というので言うと、
もちろんぼくも、
グラウンドに行きたくない日は
たくさんあるんですよ。
そのときには、ちょっと、
職業意識が出てきます。

「仕事だから、しょうがないから」
そう思うんですね。

自分に言い聞かせるんですよ。

それに、
こんなに苦しいのは自分だけか、
と思うことも、たくさんあるんですよ。
「こんなにしんどいのは、オレだけか?
 他のヤツらを見ていても、
 しんどそうにはとても見えない」

だけど、彼らも同じように
疲れているんですよね。
それを見せるか見せないかの話で。
だからみなさん、ぼくのことは、
疲れていないと思ってるでしょう?

糸井 そうでしょうね。
みんな、お相撲さんは寒くないと
思ってますから。
イチロー (笑)なるほどね。
  (明日に、つづきます!)

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2004-04-01-THU


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