その2538
ええ、ええ、私は思うわけなんですよ、
世の中には「固有名詞」が多すぎるって。
あっちを向いても「固有名詞」、
そっちへ向いても「固有名詞」、
人名、作品名、商品名、会社名‥‥。
こう、いろんな名前が多くちゃ、
「言いまつがい」が起こるのも当然ですよ。
てなわけで「固有名詞の言いまつがい」。
どうぞ、のんびりお楽しみください。
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先日、渋滞にはまった時のこと。
カーラジオを聞いていた私と家内は、
なんとなく聞き覚えのあるような男性の声に、
「誰だったっけ」と、
しばし首をひねったのですが、
ほどなく家内が「わかった!」と。 
「くろだつの!!」
‥‥‥‥「つのだ☆ひろ」さんでした。
すみません、つのださん。
かろうじて原型はとどめています。
(tenagaebi)

お笑い番組を見ていた時のこと。
誰がおもしろかったか、という質問に
あるゲストの方が
「私はやっぱりカナコちゃんかな!
 樋口可南子ちゃん!
と言いまつがっていました。
速攻で「柳原」ですよ、
と周りから突っ込まれてましたが、
樋口可南子さんのお笑いを
少し想像してニヤニヤしちゃいました。
(レンママ)

ダンナさんと買物の帰りに
アイドルの話をしていたときに
「ほら、あの熊本の‥‥
 スーザン!
と言うので爆笑してしまいました。
スザンヌと言いたかったようです。
(ゆきちゃん)

母と『スマスマ』を見てた時のこと。
母がうっとりした目で
「かっこいいよね〜‥‥
 キムタカ‥‥」。
‥‥お母さん、惜しいっ!
(みーたん)

先日、冷蔵庫のカルピスが
残り少なくなっていたので、家族に
「カルピス全部飲んじゃっていい?」
と聞こうとしたのですが、どうしても
「カルピス」という単語が出てこない。
思い出そうとしてなんとか発したのは
プリウス全部飲んじゃっていい?」
でした。
(sakase)

うちの上司が、村上春樹の作品、
『海辺のカフカ』のことを
『海辺のカフカフ』と言いました。
本人いわく、
「まつがえて覚えてしまったので
 直らない!」とか。
確かに、その脱力の響きには
伝染性があるようで、
今、正しく声に出して言う自信がありませぬ。
(フランツ・カフカフ)

高校の国語の授業のときでした。
切れ者でならすサチコが
詩人の萩原朔太郎の作品について
レポートをしていました。
「朔太郎の
 『犬に吠える』という詩集ですが‥‥」
「『犬に吠える』という
 初期の詩集については‥‥」
と何度も繰り返すサチコに
負けず劣らずクールな担任が
眼鏡の縁を光らせて冷静に
「君、『月に吠える』だよ」と。
(わんわん)

とんちで有名な一休さんに
少し縁のある土地で書店アルバイトをしてます。
この前、上品なご婦人が
「探してほしいのだけど」
といらっしゃいました。
「一休さんのことを書いた本で、
 この前はあったんだけど‥‥」と。
一休さんの本で最近出たのってあったっけ?
と思いながら話を聞くと
「何か賞を取ってね。
 一休に‥‥一休にたずねよ
 だったかしら?」
お客様、それは『利休にたずねよ』です‥‥。
一瞬自分の聞きまつがいかと。
でもやっぱりご婦人は
「一休」だと思っていたみたいです。
「あらーふふふ」と上品に笑いながら、
買って帰られました。
(ヤンヤン)
あ、じゃあ、こういうのがあるよ、
と思った、あなた! それです!
それを忘れないうちに
私たちにお送りくださいませ。
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ことのあらましを簡潔に書き表して、
だいたいできたなと思ったら、
ぜひ気軽に、送信ボタンを押してください。
それでは、また明日、この場所で。

イラスト:しりあがり寿
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2011-01-26
HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN