- ほぼ日
- ライさん、ジョシさん、
今日はおふたりがつくられた
NPOの「YouMe Nepal Trust」について
教えていただきたいと思っています。
- ライ
- はい、わかりました。
- ジョシ
- よろしくお願いします。
- ライ
- 「YouMe Nepal Trust」は
ネパールに学校をつくるプロジェクトです。
では‥‥「ほぼ日」のWEBサイトを
ごらんのみなさんに、よくお伝えしたいので、
わかっていただけるように、
ぼくたち、発表していいですか?
- ほぼ日
- いいんですか?
ありがとうございます。
- ジョシ
- 準備します。
- ライ
- パソコンの‥‥ああ、電源が抜けてしまった。
- ジョシ
- そうですね、申しわけございません。
- ほぼ日
- とんでもない。ありがとうございます。
- ライ
- じゃ、立って発表します。
- ほぼ日
- あ、座ったままでけっこうです。
- ライ
- いや、立ったほうが楽しいです。
- ほぼ日
- ありがとうございます。
では、お願いします。
- ライ
- わかりました。
これから、私たちの
「YouMe Nepal」という
団体について発表したいと思います。
- ほぼ日
- わー(拍手)。
- ライ
- ありがとうございます。
これは、私たちのNPOのロゴなんです。
私の日本人の友だちにこのビジョンを言ったら、
つくってくれましたんです。
YouMe Nepalの名前の意味はふたつあります。
日本語の意味は「夢」という、
ドリームという意味です。
理想のネパールをつくっていくのは私たちです、
というような意味が含まれております。
ふたつ目の意味は、You and Meです。
私たち、ネパール人の若者が
これからネパールをつくっていく人々ですよ、
というふうな意味が含まれています。
で‥‥私たちの理念は、これです。
「恩返し」
- ほぼ日
- 恩返し、ですか?
- ライ
- Pay back to Nepal.
国に恩返しということです。
なぜこの理念を持っているか。
これについては、私たちのいままでの
ストーリーがありますので、これを説明します。
なぜこのNPOを私たちはつくりましたか。
ネパールには首都カトマンズに
ひとつだけ国際空港があります。
毎日人びとの姿を見ることができます。
彼らはスーツケースを持って、
旅行しにいくわけではありません。
向かう場所は、特に中東。
カタール、サウジアラビア、オマーン、ドバイ。
あとはマレーシアです。
はたらくために向かいます。
おもに、工事現場のようなところで
体を使って仕事をします。
フィリピンやインド、バングラディシュからも
人びとはこのような国に出稼ぎに行きますが、
いちばん多いのがネパール人です。
毎日、1700人の人が空港から国を出て
出稼ぎに行っております。
15歳~16歳の子どもたちも行きます。
女性も行きます。
女性はたいていメイドの仕事をします。
みんな、最低1日12時間ははたらきます。
16時間、18時間はたらく人もいます。
1週間で7日間、1年間で365日間はたらきます。
月収はだいたい15,000円ほどです。
イギリスの有名な「The Guardian」という新聞が
これを「近代の奴隷制度」と書いていました。
カタールの人々の年収は世界トップと言われ、
1,000万円以上です。
でも、ネパール人はそこに行って、
一所懸命はたらいても、年収は
15万~20万円ぐらいです。
だから奴隷制度と言われます。
私は3か月前に故郷に帰りました。
そのとき、友だちはほとんどいなかったんですが、
ふたりがマレーシアとカタールの出稼ぎから
帰ってきていました。
そのふたりに
「こんなことを読んでいますけどどうですか」
と聞きましたら、彼らは
「うん、そうだよ。
カタールとマレーシアに2年間いて、
セキュリティーガードの仕事をしましたけど、
毎日12時間ぐらいはたらいて
休みは1日も取っていないよ」
と言っていました。
「いつ休むの?」
って聞いたら、
「いや、休めないです。
病気になったらたまに休める」
ということでしたので、
ほんとうにショックを受けました。
毎日、4人ぐらいが亡くなっています。
ぼくの村の方々も2人亡くなっています。
どうやって毎日4人もの人が
亡くなるかと言いますと──
ネパールは日本と気候がほとんど同じなんです。
そんなに暑くないし、寒くないし、
ちょうどいい気候です。
でも、一気にカタールやサウジアラビアの
砂漠の真ん中で野菜をつくる仕事とか
工事現場に行くと、どうでしょうか。
40℃とか45℃の環境ではたらかなきゃいけない。
でも、人間の体はそんなにすぐに適応できません。
彼らははたらいたあと、夜寝るときにそのまま、
ずっと寝たまま死んじゃう、もう起きられない。
マレーシアも同じ状況です。
マレーシアでも、この4か月間で
166人ぐらいが亡くなりました。
- ほぼ日
- とつぜん疲労が重なるし、気候が合わない‥‥。
- ライ
- そうですね。
さらに、現地の国々の方々から
ちょっと下に見られるので、
よく喧嘩とかにもなります。
そういう原因でも亡くなっています。
メイドとしてはたらいた女性の方々は
宗教でも違う環境ですし、
セクハラも多発しています。
そして子どもができてしまいます。
でも、そこでは子どもが産めません。
だから国に帰らなきゃいけないんです。
国に帰ると、結婚していないのに
子どもがいるのはなぜだ、認知してもらえ、とか、
社会が批判します。大批判です。
だから、彼女たちはもう
自殺するしか方法がないんです。
ものすごくそういうことが多いんです。
なぜ、そもそもネパール人が
そこへ行かないといけないんですか。
それぞれの国で
そのようなことがあることはわかりますが、
でも、なぜ行かないといけないんですか。
だって、日本人は行かないじゃないですか。
ほんとうに問題点は何だろうと思いましたら、
それはやっぱり、教育だったのです。
(つづきます)
2015-02-02-MON