糸井 |
横石さんは、
「葉っぱがお金に化ける」という、
他人から言われたらきっと嫌だろうな、という言葉を
自分で真っ先に使いましたよね。
あれは、すごいと思います。
だから、おばあちゃんたちも平気で
「なんたって儲かる!」
と言うんです。 |
横石 |
はははははは。 |
糸井 |
村の入口のところに
葉っぱが金に化けたものを
うれしそうに持っている
タヌキの絵が描いてあるんです。
あれは大アイデアだよ。 |
横石 |
あのタヌキ、
僕をモデルに描いたらしいですよ。
ほら、あれです。
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糸井 |
あ、ちょっと似てる。 |
山田 |
「ひらめきの里」って書いてありますね。 |
横石 |
最初のころは
「横石さん、葉っぱをお金に換えるのは
タヌキかキツネのおとぎ話だ、
仕事はもっとまじめにせなあかんよ」
とおばあちゃんたちに言われたものです。
葉っぱなんて絶対に売れるわけがない、
そんなんが売れるんやったら
あちこちに御殿が建つわ、と
みんながそう言った。 |
糸井 |
「空気を売る」みたいに
思われたんだね。
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横石 |
でも、考えてみると、
いま私たちはふつうに
ペットボトルでウーロン茶を飲んでいるでしょ。
あれだって、最初は
「お茶なんて買うものじゃない」と
思われていたんですよ。
水も、タダであたりまえのものでしたが、
いまではジュースより
高価なこともめずらしくはありません。 |
山田 |
同じように、葉っぱだって、
タダであたりまえじゃ
なかったわけですね。 |
横石 |
葉っぱの前は、ここの作物はミカンだったんです。
あのあたり、ミカン園が見えるでしょ。
あのへんは、上までずうっと柑橘園なんです。 |
糸井 |
横石さんは、
農業指導者という立場で、
この町のことを見だしたのが
そもそものはじまりだったんですよね。 |
横石 |
そうです。
ここを何とかして立て直そう、という
立場にいたんです。
でも、いわゆる「町おこし」と呼ばれるものは
本筋じゃないものを指すことが多いんです。
急場しのぎで刺繍、スリッパ、電子関係、
この町にもいろいろあったけど
みんな撤退しました。
結局みんな中国に行ってしまった。 |
糸井 |
「本筋じゃない」ね!
いやあ、そのことは、よくわかります。
「いろどり」は、横石さんは、基本的に
ひとりでおやりになったんですか。 |
横石 |
そうです。 |
山田 |
まさに、
人力ってやつですよね。
人力で、本筋になった。
(つづきます!)
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