── 本館1階の化粧品売り場から、
6階の「ベビー・子供」関連の売り場に
やってきました。
ジョージさん、伊勢丹にきて
ぜんぶのフロアを見るといっても
この子供用品や子供服のフロアは
そんなに詳しくは
ごらんにならないんじゃ?

ジョージ そうなの! ほら、ボクって、
こども、いないじゃなーい?

── 存じ上げております。

ジョージ このフロアも、来ることは来るけど、
さーっと流しちゃうのね。
もう、このプレゼントを必要とする友達も
少なくなってきているし。
だから今日はじっくり見ようかなと思って‥‥
‥‥ちょっと、なに、やだ!
かわいい!

── ほんとにかわいいですね!

── (子供のいる西本)
ウチではこのフロアは
おじいちゃんおばあちゃんを連れてきて、
「孫にこれを買ってやってくれ」という
場所です。
大人のブランドの子供服バージョンが
並んでいるんですよ。
それなりのお値段なんです。

ジョージ すごく広いわよね。
地方にいくと、
この子供服売り場くらいしか
紳士服売り場がないとこ、結構あるものね。

うわーっ! うわーっ!
このズボンすっごいかわいい!



── 興奮しておいでです。

── (子供のいる西本)
パパからすると息子の理想像がここにあります。
こんな子に育ってほしい! みたいな。
ジョージ うわー。ガールもかわいい!
ああ、ダメだ。かわいすぎ。
このロンパースとかべらぼうにかわいくない?

── (子供のいる西本)
ラルフ・ローレン
ポロシャツと同じ素材のロンパースなんですよ。
でも、すぐに着れなくなるロンパースに
ここまでのお金は払えないです。
だから、おじいちゃんを連れてきて
「あれを頼んます!」と。

ジョージ なるほど、ここ(おしり)が開くのね。
おじいちゃんになったらこれね!
ラルフ・ローレンのシニアロンパース!



── か、かわいい‥‥かもしれないですね‥‥

ジョージ なにこれ、ストリート系?
かっこいいー!
このバッグ、ちいさめのサイズで
オトナ持ちもいけるじゃない?
クッション性もいいし。
変なカメラバック買うんだったら、
こっちのほうがいいじゃない?



── なるほど!

ジョージ モンクレーもあるのね。
こんなかわいいカーディガンも
大人向けに出してくれればいいのに。

伊勢丹の人 海外のブランドは
背の高いお子さんが多いので
ものによっては
大人が着られるものがありますよ。

ジョージ こっちの売り場ってNYのバーニーズみたい!
すっごいかっこいい!

── 目利きが選んだものが並んでいる
セレクトショップ、
ということですよね。



伊勢丹の人 これはうちのバイヤーが
商品を買い付けをして、
並べているコーナーです。

ジョージ さすがだわ‥‥いままでちゃんと
見てこなかったことを後悔するわね。
あら、パタゴニア
ブルックス・ブラザース
かわいい! これはいい!
やだ、グッチもあるの?
アニエスb(べー)も?!



ジョージ 考えてみたら、子供服って
本当にワンシーズンしか着れないから、
「ファッション」なのねー。
しかも、ハイファッション



── 大人は来年も着ますからね。

ジョージ びっくりしたー。
そして、続く場所に、
犬用品があるのよ。
見て、これ。
ベビーカーの「AirBuggy」に
お犬さま用があるわ。
そうよね、老齢犬とか、いるものね。




ジョージ そしてこっちは手芸コーナー、
こっちは文具コーナー。
こういうのを見ると、
「そうだ、ここ、百貨店だったわ!」
って思うわー。
文具コーナーね、時々来るの。
海外に送る用のカードの品揃えがいいのよ。
日本風の浮世絵っぽいものだとか、
いまどきこれかよっ! て思いながらも、
ちゃんと喜ばれるから。

── そしてこちらが、子供用品ですね。
子供用のお弁当箱とか。

ジョージ このくらいのちっちゃなお弁当箱で、
かわいいデザインのものって、
あんがいないのよね。

伊勢丹の人 OLさんとかが自分のお弁当箱を探しに
ここに来られるんです。

ジョージ でしょう? こんなにかわいいものは
キッチン売り場には、たしかにないわ。
あら、このコーナーは何?
ピアノのおけいこ用ノート!
楽譜入れだとか!
子どものバイエル!
ハノンのメモ帳なんだ?!
これ、なにげによくない?
チェルニーもある!
これは5線ノートね。
ソルフェージュの書き取りなんかは
これを使うのね。



ジョージ ほら、ちっちゃな食器もある。
お風呂まわりも楽しくなるものがいっぱい。
このあたりは、
プレゼントを選ぶのにすごくいいわね。
値段がこなれているし。
そして‥‥、こちらには
ふつうのおもちゃがあるのね。
でも、売り場はちっちゃい。

── セレクトショップ的な感じですね。

ジョージ かと思えば、大人が見ても
おもしろいなと思うものがある。
ほら、スティールドラムもある!
これがすごく上手な子どもって
ウケると思うわぁ。

うわっ。これって多分、
日本で唯一かもしれない。
木製の食材売り場!
すっごくかわいい!
木というのがいいわよね。
別に本格的なミニチュアキッチンで
加熱できなくたっていいんだもの。子どもは。


── ここ、すごいですね。

ジョージ そう、梨が洋梨だったり、
すこしずつ日本離れしているのがいいわね。
なんでウイキョウがあるのよ?!
アルザス地方風の料理ができるわ。

── 食材として鯉がありますよ。
中央ヨーロッパでしょうか。

ジョージ でも、高っ!
ここで目玉焼きにクロワッサンに
ミニトマト2〜3個を合わせて朝食を作ると
高級ホテルの朝食より高いわよっ。
楽しいー!



 















































































■ ラルフ・ローレン
かつて、アメリカのライフスタイルのすべてがあった。服だけでなく、食器や家具やかばんや靴。そういう意味ではアメリカのエルメスみたいな存在なのかなぁ‥‥、だから好きだった。でもそのライフスタイルは、ブロンドのブルース・ウェーバーの写真集にでてくるオトコの子のためのモノだってわかってちょっと寂しくなった。



















■ 変なカメラバッグ
カメラ屋さんに行くでしょう? そうすると「カメラしか入らないバッグ」が一杯あるの。ポケットが一杯でゴロンとしてて頑丈なだけ‥‥、まるで釣り道具をいれとくバッグみたいで、オシャレからは程遠い。写真が趣味と、ワタシはオシャレが両立しない。カメラ「も」入るカバンでいいのに‥‥。








■ モンクレー
冬のオシャレはむつかしい。寒さに臆病にみえてしまったり、服に甘えてしまったりしてしまうと粋じゃないのネ。クールでおしゃれな毛皮のコート。それがモンクレーのジャケットかなぁ‥‥、ジュンヤ・ワタナベも惚れたんだもの。惚れない理由はどこにもないね。

■ バーニーズ
はじめてニューヨークでバーニーズにであったとき、ビックリした。そこにはエルメスもあれば、まだ無名だった頃のマーク・ジェイコブスもあり、その売り場はとっちらかっているようでいて、なのに不思議とほっとする。どの売り場で買ったものも、互いに喧嘩せずひとつのワードローブの中に共存しそうで、なるほどこれがセレクトショップって言うモノなのか? って、思ったりした。ただ、そのセレクションを甘んじて受け入れることが出来る人って、とてつもなく裕福でムジャキなほどに好奇心が旺盛な人に違いないって、そんなふうにも感じたの。










■ パタゴニア
実際の走行速度はせいぜい150キロどまりなのに、時速200キロ以上出せるように上等な車が設計されているように、極寒の地でも熱帯雨林でも負けないようにできているのがパタゴニア。うつくしいです。必要なモノ以外をすべてそぎ落としたうつくしさ。これを来て街を歩くのはステキだけれど、ここの製品があるべき場所に行ってみたいともし友人がいったら、どうかやめてください‥‥、って言うだろうなぁ‥‥。

■ ブルックス・ブラザーズ
昔、昔、ボクが買いたくてしょうがなかったのは、ちょっと艶っぽいラルフ・ローレン。けれど父がボクに着せたかったのはブルックス・ブラザーズ。お行儀の良さが父好みだったのでしょう‥‥、大学に入学したご褒美はブルックス・ブラザーズのネイビーブレザー。ボクにもし男の子がいたら、やっぱり入学式にはブルックス・ブラザーズのブレザーを着させるかなぁ‥‥。

■ グッチ
ボクにとってのグッチは、トム・フォードのグッチと
ニアリーイコール。古臭くっておばさんっぽかったブランドが、みるみるうちに色っぽくって艶々とした大人のブランドに変わっていった。あぁ、ボクらの時代がやってきたんだって(笑)。1990年代のボクの気分にピッタリだった。彼の卒業とともにボクも卒業しました‥‥、随分歳を
とりました。

■ アニエスb
アニエス・ビーじゃなくて、アニエス・ベー。ロングスリーブのTシャツじゃなくて、カットソー。ずっとアメリカンスタイルのファッションしか知らなかったボクが、初めて出会ったフレンチブランドが多分、ココ。骨太のボクの体には少々きゃしゃで、オシャレの世界ってお金と買う気だけではどうしようもないコトもあるんだなぁ‥‥、って初めて教わったのも多分ココ。

■ ハイファッション
食べ物でいえば「はしりの素材」。産地や市場に出たばかりの食材って、希少で高価。ぼやぼやしてたら旬の季節がやってきて、市場に溢れてその珍しさがなくなっちゃうの。おいしいはしりの素材もあるけど、もうちょっと待ったほうがおいしくなるってモノもあってネ‥‥、でも「今年の初物でございます」って言われると手が出てしまう。食べると消えてしまう食べ物と違って、ハイファッションは後に残るの。ハイファッションだらけのワードローブって、ときに切なく笑ってしまうようなモノでもあったりするの。

























■ ピアノの想い出
幸せな家族の家にはピアノがなくてはいけないんだ‥‥。そう、ボクの父は頑固に思って、初めて自分の家を建てたときピアノがおけるリビングルームを作るんだって。ご丁寧にもグランドピアノをドーンッとおいて、子供たちに家庭教師までつけたのネ。まぁ、そこそこ弾けるようになりはしたけど、そのうち誰も弾かなくなった。妹たちに再三「ピアノを弾いておくれ」とたのむ父。何度も無視され、おこった父はあるひピアノを売り払い、そこにこたつを代わりに置いた。家庭団欒はグランドピアノよりもこたつネ‥‥、って母もみんなも喜んだ。非文化的なるエピソード。


























































■ 高級ホテルの朝食
高級ホテルの高級なお客様って、高級な空間で自然にくつろぐコトができるお客様。いいホテルに泊まるときには、だからおしゃれな普段着を絶対、一着はもっていくのね。その普段着を着る絶好の機会が朝食。夜は正装しなくちゃいけないレストランで、上等なカシミヤに麻のパンツで食事をするなんて、このうえもない贅沢でしょ。そうしたオシャレをさせてくれない、朝が貧弱なホテルは断じて高級ホテルとはいわないの。

















いやはや6F子供用品、あなどってました。
すっごくたのしいです。
次回はキッチン用品や家電売り場へ!
2012-07-02-MON