
|
ジョージ |
ああ、懐かしいにおい!
スゥーッ! プハーッ!
|
── |
伊勢丹の化粧品売り場で深呼吸する人、
初めて見ました。
|
ジョージ |
ああ、むかし、よく日焼けをしていた頃、
クラランス(Clarins)が好きだったなあ!
ここの日焼けクリームがほんと良かった。
シスレー(SISLEY)は石鹸!
石灰分が入ったみたいなやつで
ものすごく脂が落ちたの。
あら、いちばん奥の、
むかしミュウミュウ(Miu Miu)が
あったところが
変わったのね。
|
伊勢丹の人 |
今は化粧品コーナーとなっていて、
特徴のあるブランドが並んでいます。
|

|
ジョージ |
自己磨きね!
|
伊勢丹の人 |
ここにカウンターがありまして
お肌についてのご相談のある
お客さまがいらっしゃれば
「お客さまでしたら
こういったものが
よろしいじゃないでしょうか」
と、ブランドを越えてご案内する
コンシェルジュが常駐しているんです。
|
ジョージ |
「心がささくれだっているんです」
っていうのはダメかしら‥‥。
|
伊勢丹の人 |
お話しようによっては、
きっとうるおってくるような
アドバイスができるかと存じます。
|
── |
さすが‥‥。
|
ジョージ |
ね、クレンジングクリームって
男性用のシェービングクリームに
すごく合うの知ってる?
|
── |
知りませんでした!
|
ジョージ |
とくにヒゲをはやしていると
男性用のシェービングフォームや
クリームをつけるとぜんぶヒゲにのっちゃうの。
どこを境目にしないといけないかが
わかんないんだけど、
クレンジングクリームだと
ヒゲが浮き上がるのね。
だからすごく便利!
とくにクラランスのクレンジングクリームは
ヒゲそり用にものすごく良いの。
そういうのを、
たとえば彼女かなんかが知ってれば、
「ね、ヒゲそるのに、
じつはクレンジングクリームもいいのよー」
とかって言いながら彼氏を連れてって、
ついでに自分のものも買ってもらえたりしたら
すっごい幸せだと思うのね。
女性用の洗顔ものっていうのは
洗いながら肌の状態を
見ないといけないから
泡立ちがあんまりないのね。
でも男性用のは泡を出すことによって
洗えてる実感をおぼえさせようとするから
泡立ちが良すぎるの。
だから、使用目的によっては
女性用の美容液、
クレンジングクリーム、
あるいはクレンジングオイルのたぐいは
男の人にも良いんです。
|
伊勢丹の人 |
そうですか!
|
ジョージ |
ほのかな甘い香りっていうのも、
男性用にはない世界なんで、
けっこう新鮮よ。
|
伊勢丹の人 |
さっぱり、スッキリ! が
多いですものね。男性用って。
じつは女性用をお求めになる
男性のお客様もふえています。
男性用化粧品よりも効く、と、
女性のものを男性がちゃんと
じぶんの目で選んで買うという
現象が起きています。
|
ジョージ |
うん! ユニセックスで
できあがってるものではなくって、
女性用のをものすごく
切りつめたものですよね。
効果の方に向かっていくものは
けっきょくユニセックスに
なっていくんだと思う。
キールズ(KIEHL'S)なんかそうでしょう?
クラランスにしても、クラランス・メンよりも
レディースの本ラインの方が
ものすごく良い‥‥、
なんで、私、こんなことくわしいんだろう?
ちょっと、香りに行きましょうか。
ほら、シャネル(CHANEL)がある!
ここで、いろんな香りを
試すことができるのよ。
百貨店の中で無料で試せるものって
食品売り場の試食か香水のサンプルなのよ。
試さないのはもったいないでしょ?
|

|
── |
ジョージさんが伊勢丹にきて
最初に足を運ぶのがここだとお聞きしました。
|
ジョージ |
そう!
きょうのお買い物のテーマの香りを選ぶの。
きょうは買うぞ! っていう戦闘モードなら、
アンテウス、とかね。
|
── |
きょうはどんな気分ですか。
|
ジョージ |
きょうはお買い物できないから‥‥
大人っぽい、おだやかな、
そう「BLUE」にしようかな。
|

|
── |
いい香りですよね。
|
ジョージ |
これをね、お試し用の紙、
ムエット(試香紙)って言うんだけれど、
ここにちょこっとつけて、持ち歩きまーす。
どこにいれようかな、
ポケットにいれようかな?
かばんに入れてもいいしね。
|

|
ジョージ |
本館とメンズ館をつないでいるところに
昔はアラミス(ARAMIS)コーナーが
あったじゃない?
ボク、あのアラミスコーナーの
おねえさんたちがコワかったのよ!
というのはね、ボクには過剰なくらい
色っぽいひとたちだったの‥‥。
ゲイだし、当時若かったから
ビックリしちゃったのね。
ところで香水でいちばん売れるのって?
やっぱりシャネルの
ラインがいちばん?
|
伊勢丹の人 |
香水はシャネルがいちばんですね。
あとは女性だけですが、クロエ(Chloe)。
|
ジョージ |
クロエ? あんな甘いのに。
今、甘いのね。
そうすると、フローラル系の元祖は、
クリスチャン・ディオール
(Christian Dior)とか
ジバンシィ(GIVENCHY)かしら。
流行はあれど、香りって大事よね。
おもしろいもので
海外に日本のおじさんたちを連れて行って
そのまんまレストランに行くと
日本のにおいがしたまんまなの!
でも一回ホテルに入って
シャワーを浴びてもらって
その時にホテルに備え付けてある
シャワーソープで体を洗うと
その国のにおいになってみんな出てくる。
それがたぶん香りのちからだと思うのよね。
日本の社会というのは
においにたいして寛容ではないのよね。
海外においては体臭も個性、
料理もにおいの強いものをたのしむ。
けれど、日本の場合にはどうしても
においというものが
あまりに個性的なものだから、
それを表現するということを
嫌う風土ではあると思う。
ただ、だからこそ、
たとえば、うちに帰った時に
逆に香水を使うであるとか
あるいはほんとうに親しい人と
食事をする時にだけ香水を使うのって、
いいと思うの。
「わたしは心を開きましたよ」という
しるしに香水を使うということは
けっこうな方が
されているかなと思うんだけれど。
|
伊勢丹の人 |
‥‥わたし、じぶんのためにしか
使ってないってわかりました。
|
ジョージ |
心を開く相手がいないのね‥‥。
|
伊勢丹の人 |
さびしゅうございます(笑)。
|
ジョージ |
ほとんどのメゾンが香水を作る時に
女性のラインと男性のラインを
同時に作るのは
「2人でかぐ」ということですもん!
同じラインであれば
においの傾向が似ているから
まじりあうことがたのしい。
まじりあってもけんかをしないでしょ。
そういう一晩過ごしたくないですぅ?
|