おさるアイコン

最新の記事 2005/10/11
 
レシピその1
ブロード生パスタ入り ~リエティへの引っ越し~

8ヵ月のぽんぽんお腹を抱えながら、
住み慣れたペルージアから、
イタリアの“おへそ”と言われる、
リエティに引っ越して来たのは、
1982年8月15日。
日本のお盆にあたる日でした。

ペルージアではドーモ(聖堂)の鐘を聞きながらの、
旧市街中心での生活。
それが今日からは、ベランダから見えるのは、
テルミニッロと言う山のみ。
これからここで何をして暮らすんだろう‥‥
大きな不安とそれ以上の大きなお腹で、
リエティの生活が始まりました。

何もないことの贅沢さを知り、
人間のふれあいと、
カロリー満点の生活を経験するとは、
その時は全く想像も出来ませんでした。
私のイタリアンマンマの、
何でもない普通のおばさんの生活の
お話の第一回は、リエティから始まります。

馴染み深い友人達が、
知人から借りたトラックで、
ペルージアに帰った後、
がらんとした部屋、
そして、くうくうう~となるお腹!
でも、まだ水も出ないキッチン!
数件あるお店も休日で閉まっているし、
あるのは山だけだし‥‥。
くじけそうな私達の家のベルが鳴る。
開けてみると、
さっき皆で手を洗わせていただいた、
お隣のおばちゃんが立っていました。
大きいお腹(中は空洞)にのせるがごとく、
大きなお鍋、大きな笑顔、
お鍋から漂う温かいおいしそうな香り‥‥

外国人の私にわかるように、
ゆっくりと話してくれても
チンプンカンプン、
でもはたらいたのは動物的勘! 
思わず、GRAZIE!(ありがとう!)と、
手を差し出す私に届いた物は、
おいしいブロード(スープ)生パスタ入りと、
バッバの温かい歓迎の気持ちでした。

このブロードが、
我が家のマンマの味になったのです。
子ども達が病気のとき、
家中にたちこもるブロード、
お肉と野菜が織りなすハーモニー、
いくら熱があってもにやにやとする子ども達。
“命の泉”を感じるブロード!
いっぺんで元気満タンになっちゃいます。
どうぞ、試してください。
そして幸せな香りを家中に充たしてください。


ブロード生パスタ入り


■材料(5人分)

卵入り生パスタ:500g
牛すね肉:1kg
鶏肉:1羽分(年をとったメス鶏が良くスープが出ます)
タマネギ:2個
人参:2本
セロリ:1本
パセリ:茎数本
月桂樹の葉:1枚
ニンニク皮付き:1欠片
熟したトマト:4個
粒黒こしょう

(お好みで隠し味に醤油)

■作り方

大きなお鍋にお水からお肉類を入れ、
一度煮立たせる。

浮いてきたあくを全て取り除き、
香味野菜とトマトを入れ、
弱火でぐつぐつ2~3時間煮る。ひたすら煮る。

隠し味ではおまじないを言いながら、
醤油をテキテキと入れるのが、我が家風です。

さて、おいし~いブロードの中に入れるのは、
髪の毛のように細く切った生パスタ。
直接、ブロードの中に入れパスタが浮いて来たら、
直ぐに火を止めます。
ここでもたもたしていると、
おいしいブロードが全てパスタに、
吸い込まれちゃいますので、
パスタを入れる前に、
テーブルに全員集合待機OK状態にしておきます。


深めのお皿にたっぷりのブロード。
思いきりおいしそうな湯気が立ち昇るスープを、
まず、ひとくち。
そしてパスタをくるくると回して、ひとくち、
う~~ん、美味しいですね。
BUON APETTITO!

ここで使用の生パスタですが、
我が家はラーメン風細パスタが好きですが、
小さい四角に切ったものもおいしいです。
そして、バッバが言うとおり
よい嫁は手打ちパスタを作ることができるのです。
次回は手打ちパスタの作り方を、
お知らせいたしますね。
 
ご感想はこちらへ もどる   友だちに知らせる
©2005 HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN All rights reserved.