レシピその29
SALCICCIA(サルシッチャ)のぶどう蒸しと秋のサラダ
〜"しゃもじ夫"との出会い〜 |
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紅葉で織りなす街の色は、
贅沢な自然からの贈り物ですね。
紅葉で美しく彩られたミラノの街は、
今、たくさんの信号機にカメラが設置され、
ほんのちょっとの交通違反にも容赦なく、
数ヵ月後に無情の罰金の通達書が届きます。
車の運転中につい紅葉の色に気を取られてしまう私には
この季節は緊張のときでもあります。
さて、今回は私と夫の出会いの話を聞いてください。
23年前、私は宝飾デザインを学ぶため、
イタリア北西部のピエモンテ州バレンツァの学校に
入学を申し込みました。
ところが、いざイタリアに来てみると、
入学手続きに時間がかかっていて、
待ち状態になってしまい、
待っているあいだに語学学校に行くことになりました。
この急な変更にとまどっていた私に、
他の学校に通っていた親切な日本人の方が、
「ペルージャなら、
海外での一人暮らしがはじめてでも大丈夫」
と、すすめてくれました。
また、困ったときのために、と
頼れる日本人リストもくれました。
そこでペルージャに行き、外国人大学の横にある
イタリア人の家にホームステイしながら、
語学学校の初級クラスに通うことになったのです。
1ヵ月もしないうちに部屋のトラブルが発生しました。
2人部屋をひとりで使用していたのですが、
私の了解もないまま、
突然、同居人が増えることになりました。
しかも大家さんは、私に部屋代を全額払え、
と言っているようでした。
これは困った!
すぐさま思いついたのは「頼れる日本人リスト」。
1番最初の行に書かれていた女性に電話したのですが、
何回も電話しても通じません。
(後にこのとき彼女は出産のため
入院中だったとわかりました)。
そこで、2番目の行に書かれていた方に
連絡を入れてみたところ、住んでいる場所も近いので、
力になっていただくお願いをしにうかがったのです。
通された家は300年経た外見とは全く違っていました。
ドアは金,銀、赤、黒などでペインティングされ、
壁中が絵だらけでした。
どうやら帰宅したばかりの様子で、
ダイニングキッチンのソファで私を待たせ、
大きななべのお湯のなかにペンネを1袋投げ込み、
ゆであがったら、かき混ぜていた木のしゃもじで、
なべのふちを押さえながら湯ぎりして、
なべに卵、バター、塩、パルメジャンチーズを入れ、
しゃもじで勢いよくかき混ぜ、
なんとそのなべごと持って来て、
ソファの横にあった石工の麻袋の上にどっしりと座り、
膝においたなべから直接、しゃもじで食べ始め、
「それでどうされたのですか?」と言いました。
私は驚きで声も出ませんでした。
こんなところから‥‥こんな人から早く帰ろう‥‥
と心の中で思いながらも、
私はしっかりと用件を頼み、
話を終えると、そそくさとその家を去ったのでした。
でも、この方は外見に似合わず、
とても親切に対処してくれ一件落着しました。
‥‥まあ、このときのお礼として
結婚して・あ・げ・た
ということになっております。
今回ご紹介するお料理は
その”しゃもじ夫”から教わったメニュー
「SALCICCIA(サルシッチャ)のぶどう蒸し」です。
サルシッチャというのは豚肉のソーセージのことです。
私風にリメイクしたものですが、
我が家は寒い季節になり、ぶどうが甘くなってくると
このメニューなしではいられません。
どうぞお試しになってくださいね。
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SALCICCIAのぶどう蒸しと秋のサラダ
■材料(3人分)
SALCICCIA(サルシッチャ)のぶどう蒸し
サルシッチャ(豚肉のソーセージ):6本(約750g)
ぶどう(良く熟れたもの):1房(約600g)
種無しぶどう:半房くらい(約250g)
秋のサラダ
ルッコラ
リンゴ
マッシュルーム
赤玉ねぎ
クルミ
(分量は好みで)
■作り方
(1)サルシッチャは一度、湯がいてアクだしをする。
(2)フライパンにアクだしをしたサルシッチャと
種を取って半分に開いたぶどうを入れ、
フタをして中火で25分間蒸し焼きにする。
(3)25分経過したら、ぶどう汁のなかで、
時々、転がしながら煮る。
(4)飾り用の種なしぶどうを丸ごと加え、
フタをして15分煮る。
(5)15分後、一度サルシッチャを取り出し、
フタをせずに強火で汁を煮つめる。
煮つまってきたら、外に出したサルシッチャを戻し、
甘いキャラメル状になった汁のなかで転がして、
サルシッチャの表面に味をなじませる。
出来上がりです。
サラダは材料も分量もお好みで。
今回私はルッコラをメインに使いました。
ルッコラは好みの大きさに切る。
マッシュルームはかさの裏を掃除し、
表面を1枚はいでから薄切りします。
クルミは細かく切ります。
リンゴは好みの大きさに切ってください。
赤玉ねぎをスライスして、サラダと合わせます。 |
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サルシッチャと甘いぶどう、絶妙のコンビの味を
さっぱりした秋のサラダと一緒にお楽しみくださいね。 |