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アーカイブ 2007/10/16
 
レシピその52
ノルティーナ風ペンネ 〜リエティのアウグーストの思い出〜


晩秋の香りがしはじめると
いつもリエティ時代のことを思い出します。

「出て行くー! 死んでやるー!」
お隣の長男のアウグーストです。
彼の大声に続いて、ガチャンとドアが閉まり、
長身で大足の彼が階段を下ったかと思うと、
エンジンをふかしてどこかに消える車の音‥‥。

私はこの当時、イタリア語がよくわからず、
言葉の意味を直訳で解釈しているときでしたので、
初めてこのアウグーストの
「出て行くー! 死んでやるー!」を聞いたときは、
バッバの心中を思って、心配いっぱいで夜を越しました。
ところが、翌朝、すぐにバッバのところに行くと、
バッバはカフェラテとビスケットをのせたお盆を
いつものようにアウグーストのベッドまで運び、
「もう起きる時間よ」なんて
優しく語りかけているのでした。
その光景に安堵するやら、驚くやらで、
気が抜けてしまいました。

アウグースト。当時31歳。
下に可愛い妹をふたり従えて、
ローマの皇帝と同じ名前のことだけのことはあり、
皇帝さながらの様子でした。
彼の趣味はテニスにチェス。
普段は沈着冷静。
でも一度発火するともう爆弾の威力で、
そんなときの彼の声の大きさには、
いつも驚かせれていました。
とはいえ、彼は典型的なイタリア人で、
大の子供好きです。
息子も彼がいるとわかると、
一緒にご飯を食べ、そしてお昼寝。
いつも彼のベッドに潜り込んでは、
読書好きの彼の横で、絵本を読んでいました。
大好きなお兄ちゃんでした。

ある夜のことです。
主人がいないときに、
息子が熱性痙攣で意識を失いました。
私は気が転倒しながらも、
急いで、お隣のバッバを起こしました。
お隣にはちょうど娘のルイーザがいたので、
彼女が私たちを病院に連れて行ってくれました。
すると、いつのまに乗り込んだのか、後部席から
「死ぬなー! がんばれ!」とアウグーストの大声。
フィアットの小型自動車チンクエチェントの中で、
大きな身体を折り曲げて、泣きながら叫んでいました。

アウグーストは医学の勉強をしていたので、
彼の言葉には信憑性があります。
彼の「死ぬなー!」の叫びは、
私を不安のどん底に陥れましたが、
同時に息子を想ってくれる熱い気持ちが伝わってきて、
思わず涙が出てきました。
(おかげさまで息子は事なきをえました)。

とにかく、アウグーストが両手を広げて笑いながら、
「アモーレ、おいで」と子供を迎えてくれるときの声は
愛情たっぷりです。

今回はそのアウグーストの大好物の
パスタをご紹介します。
豚肉と生クリームでこくがあるパスタです。
材料さえあれば、すぐに出来ますので、
どうぞ定番メニューの一つに加えてくださいね。

ノルティーナ風ペンネ


■材料(7、8人分)

ペンネ:500g
サルシッチャ(豚肉のソーセージ):500g
生クリーム:500cc
パルミジャーノ:大さじ5杯
オリーブオイル:大さじ3杯
白ワイン・粗塩:適量



☆下準備
・サルシッチャをくずしておく。
・パルミジャーノをすっておく。



■作り方

(1)ひとつかみの塩を入れた熱湯に
ペンネを入れて、10分ほどゆでる。
(ゆで時間はお使いになるペンネに合わせてください)。



(2)フライパンにオリーブオイルを入れてあたためる。



(3)フライパンにサルシッチャを入れて火を通す。



(4)ワインを加える。



(5)ワインのアルコール分が全てとぶまで、
よく炒める。



(6)生クリームを加えて、数分煮る。



(7)アルデンテに茹で上がったペンネを加え、
数分間煮込んで味をなじませる。



(8)大皿やボウルに移し、好みの分量の
パルミジャーノを加えてまぜる。





出来上がりです。

ペンネのかわりにスパゲティをお使いになっても、
また違う歯ごたえになります。
おいしいので試してくださいね。
 
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