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4月21日付けの「今日のダーリン」や 「postma@1101.comから。」の 電車内での過ごし方を読んで、 私のイタリアでの経験談を書きたくなりました。 日本に帰国したときに電車に乗ると 寝ている人が多いことにいつも驚きます。 車内に「寝ても安全」の空気が漂っているので 私も無防備のまま、すぐさま夢の中に突入できます。 でも、こちらでは注意を要します。 イタリアに来てすぐ、 電車でペルージャから北の街バレンツァに 何回か通っていた頃の話です。 南のナポリからやって来る電車に乗りかえて ミラノまで約5時間。 電車はコンパートメント(個室)になっていました。 友達からは、大切な物は絶対に手から離さないこと。 見知らぬ人からキャンディーなどの 食べ物をすすめられても、 睡眠薬などが混含されている疑いもあるので 絶対に食べてはいけないことなど、 実体験と合わせて毎回聞かされ、 車内の注意事項を叩き込まれました。 ある時、コンパートメントに入り、 ひとつだけ空いていた席に私が座ったときのことです。 はじめのうちは周りの人たちから、 異様な視線を感じましたが、 凄まじいほどの声の大きさで話す明るい彼らに、 そのうちすっかりうち解けて、旅の仲間になりました。 当時、駅のホームで駅弁を売っていて、 いつものように買おうとしたら、 「そんなのはおいしくないから、一緒に食べよう」 と、お弁当を買うのを止められました。 彼らのお昼ごはんは家から用意してきた物で、 ワインや水などの飲み物もあり、 まるでピクニックのような、 おいしそうな物が次から次へと出てきます。 友達からの警告もすっかり忘れ、 そのときは家族の一員になったような気分になり、 家庭的なおいしい物を一緒に食べることで、 幸せの笑いがあふれました。 イタリアの南の人達は、そこの気候のごとく おおらかな太陽のように明るく、熱く、時には激しい‥‥ そんな気性を持った人が多いように感じます。 オープンで、初めて会う人でも、 仲間とみなしたときはすぐに歓迎してくれます。 ですから、その場に居合わせただけの見知らぬ私を、 旅を共有する友達として迎えてくれたのでしょう。 後に、イタリアの北にあるミラノに引っ越した際は、 車内のみんなの話し声が小さいことに気がつき、 南の人達との違いを感じました。 寒い地方だから口を大きく開けたくないのかしら? 商談などをすることが多いので 大きい声では話しにくいのかしら? ‥‥なんて想像を張りめぐらせましたが、 大きい声で話すことはエレガントではない、 とミラノの人たちが思っていることが 理由かもしれません。 ミラノの電車の中では、 「他人は他人」的なところを感じます。 よくとれば、個人を尊重し、 認めてくれているということです。 そのため、コンパートメントに乗ったときは、 ひとりの静かな時間を持つことができます。 とはいえ、先日、ミラノからヴェネチアに行ったときは、 同席した女学生と、スイスに移住した母娘と同席になり、 ダイエットの話題で3時間も盛り上がりました。 北や南の人達の気質うんぬんがあっても、 その時の同席するメンバーによって 旅の過ごし方はかわるものですね。 ひとりの時間を過ごすのもよし、 わいわいするのもよし、 どちらにしても電車での旅は楽しめるものです。 さて、今回、ご紹介する料理は春野菜のパスタです。 青い味の野菜たちをたんのうしましょう。
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