おさるアイコン

アーカイブ 2008/12/21
 
レシピその81
鶏レバーのパテとチーズペースト〜お食事会〜


今年のミラノは、もう雪が2度も降りました。
寒いですが、
クリスマスの季節は心が踊りますね。
こちらではパーティーが続くこの時期、
皆さんはどのようにお過しですか。
パーティーというと、画家の夫の友人達の中でも
特に個性派の友人達を、はじめて我が家に
招待したときのことを思い出します。

私がいた頃の日本では、食事会といえば、
会話もできるだけ
楽しい話題を模索しながら話し、
和気あいあいとした雰囲気をつくるものでした。
政治や宗教の話はなるべく避けて、
険悪な空気にしないように心がけたものです。
ところが、個性派の友人達の食事会ときたら!
食事が始まったばかりだというのに政治の話。
相手が違う政党を支持していたら、
まるで討論会のようになりました。
続いて宗教観の話題になり、
加熱したその雰囲気のなかでも
たくましい食の探究心からか、
旺盛な食欲は衰えず、食事もしっかり楽しみ、
評論家の話や制作の話で
ちょっと落ち着いたかと思った頃、
誰かがサッカーの話に点火してしまいました。
サッカーの話は、怒濤のごとくで、
会話も嵐というか渦巻き状態になってしまい
私はけんかでも始まるのではないかと
ひやひやしながら、
右往左往して給仕していました。

深夜0時。誰かが終わりのサインを出し、
お開きになりました。
けんかを始めそうなくらい
激論を戦わせた同士も、
玄関で別れるときには、
「本当に楽しかった、また会おう!」
と、挨拶の頬キスを交わしてました。
「またこのメンバーで食事会を開いてね」
とお願いされてしまうほど、楽しかったようです。

私のエネルギーを吸い取られてしまう食事会。
でも、この最後の挨拶で彼らが一緒に集い、
時間と場所を共有しおおいに自分の想いを語り
怒り、笑い、そしておおいに食べる‥‥
それがとても大事で楽しいことだとわかりました。
「意見は違って当たり前」と、
お互いの考えを認めている前提があって
成り立っている会話。
まるで「グー・チョキ・パー」と
別々の手を出すからこそ
成立するジャンケンのようです。
けんかしているように見えて、
実はお互いを尊重しあっているのだと
わかるようになったのは、本当に最近です。

「気の合う人だから考えは同じ」
ということはないですし、
相手に合わせることもない。
大切なことは、
自分の意見を持ってその想いを伝えること、
相手の意見に疑問を持ったときには
素直に問うこと、
そして、会話自体を楽しむという姿勢。
コミュニケーションのある楽しく
すばらしい生活を送っています。
そして、まだまだ
たくさんのことをこの国の人から学びます。

さて今回の料理はパーティのときに
ぴったりの品です。
新鮮な鶏レバーで作るパテと
レバーのパテに相性のいい、
チーズペーストです。

鶏レバーのパテ

■材料

鶏レバー:500g
バター:150g
エシャロット:1個
ブランディー:大さじ2杯と中さじ1杯
ポートワインまたはマルサーラ酒:大さじ1
タイム・塩・コショウ:適量



☆下準備
・オーブンをあたためておく。
・エシャロットをみじん切りにしておく。

■作り方

(1)レバーの掃除をする。





(2)流水の下で、キッチンバサミで
半分のところに切れ目を入れて、
血栓を取り除く。



(3)ひとつかみの塩をいれた水で
もみ洗いをしてから、
ざるにあげて、
流水ですすいだ後、水にひたす。



(4)(3)は30分〜1時間ほど水にひたす。
その間に3回ほど、水をかえる。
水をかえるときに取り出したレバーは
ざるにあげて、流水ですすいでから
新しい水にひたす。



(5)キッチンペーパーでよく水分を取る。



(6)フライパンに20gのバターを入れ
エシャロットを弱火でよく炒める。



(7)エシャロットがしんなりとして香りがでたら、
レバーとタイムを入れ、
弱火でレバーの色が変わるまで炒める。
(レバーは高温で調理すると
 臭みが出やすいので注意する)。



(8)ポートワインとブランディーを入れる。



(9)数分炒める。



(10)冷ます。



(11)冷ましている間にパンをスライスして
オーブンでこんがりと焼く。



(12)冷めたレバーに常温にした残りのバターと
ブランディー中さじ1を入れ、
フードプロセッサーでパテ状にする。





(13)適当な容器にサランラップをしき、
とんとんと空気をぬきながら(12)を詰める。



(14)最後に型を作るように押さえ、
冷蔵庫に数時間入れて休ませる。



(15)パテを切って(11)のパンにのせる。



出来上がりです。
型でかたちをとってお皿にもって出したり、
またはそのまま出して、
各々が好きな分量をパンにのせる
食べ方でもよいですね。



さて、このレバーのパテと
とても相性がよいチーズペーストも
ご紹介します。
レバーの血抜きをしている時間に
簡単に出来ますので、同時に作ってみましょう。


チーズペースト


■材料

クリーム系フレッシュチーズ:150g
リコッタ(カッテージチーズでも可):150g
マスカルポーネ:50g
生クリーム:50g
塩・コショウ・グリーンペッパー・イタリアンパセリ
飾り用の生野菜:適量



■作り方

(1)生クリームを七分だてにする。



(2)フレッシュチーズ、リコッタ、
マスカルポーネを
ハンドミキサーにかけて柔らかくする。



(3)そこにイタリアンパセリのみじん切り
グリーンペッパーの粗挽き、塩・コショウを入れ
よくかき混ぜて、
最後に生クリームを入れて、ざっくりと混ぜ、
冷蔵庫で休ませる。



(4)お皿に盛って、生野菜を添える。



出来上がりです。
鶏レバーのパテは食前酒にもあいますし、
前菜としてもよいですね。
レバー独特の臭みが少ないので
苦手な方でも大丈夫ですよ。
2週間くらいは冷凍保存出来ますので、
小分けして冷凍しておくと
不意のお客様をおもてなしするときにも
重宝ですね。
チーズペーストはパンにのせていただいても
おいしいですし、カナッペなど具をのせる料理の
下地クリームにも使えます。
どうぞおためしになってくださいね。


 
ご感想はこちらへ もどる   友だちに知らせる