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アーカイブ 2012/02/26
 
レシピその163
ズッパナオキーノ〜チンクエテッラの扉〜


1月6日「魔女の日」に夫といっしょに、
チンクエテッラに行ってきたときの出来事です。

チンクエテッラは
「5つの土地」という言葉の意味のとおり、
地中海側のリグーリア海岸ぞいにある5つの集落です。
陸路がなく隣町に行くのも船を使う陸の孤島で、
昔から独特な文化があったところでした。
11世紀に入りジェノバの要塞として発展していきます。

5つの村全てが国立公園や
ユネスコの世界遺産にも登録されている
風光明媚なところです。
海から急な山になる特殊な地形で、やせた土地ですが、
かたい岩盤をくだいて作った砂を利用して
段々畑を作り、そこに温暖な気候と
海の風と山の風で美味しくできる
ワイン用のぶどうやオリーブオイルを
植えて栽培しています。
言語に絶する美しい海と、
人間の知恵が生み出した独特の風景があり、
ミラノの住民にとっても、
日帰りもできる身近なこの街は誇りのひとつです。

去年の10月25日、
このチンクエテッラが大洪水にみまわれました。
河川が氾濫して、山の岩盤や畑の土が流れ、
山から海に行く道を土砂で埋め尽くてしまいました。
特に被害を受けた村はベルナッツア。
大被害の様子は下記のサイトで知ることができます。
http://savevernazza.com/photos/

夫の友人で画家のヤッカリーニが、
ベルナッツァの住宅の扉に絵を描いて、
少しでも村の人たちの応援をしたいと考えました。
そして、夫にもボランティで参加してくれないか、
と誘いがきました。

夫は画家として自分のできることからはじめました。
そのときの様子をお伝えしましょう。
当日はまだ道が閉鎖されているので、
スペッツィアから海岸線を通る電車で
べルナッツァに集合。



新聞などで呼びかけたこともあり、
当日集まったアーティストは、なんと50名。
この人数で25軒のドアをどう描けば?
すぐさま、グループ制作することに変更し、
ふたりで半分ずつ描くことになりました。


▲駅から海岸に数百メートル続く道。
 1階が土砂で埋もれた家の扉に
 それぞれが絵を描きます。



▲仮設扉にはNo.がふってあります。
 夫は2番を選びました。



▲リーダーのヤッカリーニ。
 足場が悪くて、電線があるなど、
 キケンなところにピエロを描き始めました。



▲電線や鉄格子にも絵が施され、
 ピエロの絵の一部になりました。
 写真中央の扉は、自分の家の扉が壊れた住人が、
 「どうしても捨てたくなかった」と持ってきたもの。
 花の絵を描いてもらっているところです。



▲住人たちも興味津々で見守ります。


▲まだまだ復興工事が続くなか、
 作家と住人の明るい声が響き満ちます。



▲帰宅する希望が持てる扉になったら
 作家たちも本望でしょう。



▲こんな扉になって住人を迎えます。


▲詩人は絵が描き上がった扉に詩を書きます。


▲寄せ書きもありました。


▲夫の描いた扉です。


さて、お昼になり、
みんなが持参したお弁当を食べようとしたとき、
市長が軍隊が住人に提供している
テントのレストランに招いてくれました。
あたたかい食べ物が
すっかり凍えた身体を芯からあたためてくれました。
特に、ミネストローネのあたたかさが身にしみました。
そこで、今回はスープをご紹介することにしました。

私、主婦の得意技、ありあわせで作る料理です。
そのときに冷蔵庫にあるもので作りますから
毎回、内容も味も変わります。
鍛えた舌を頼りに、
味付けもそのときの材料に合わせながら、
柔軟に調理しましょう。
今回は豆が入り、息子好みになりましたので、
スープの名を「ズッパナオキーノ」としました。

ズッパナオキーノ

■材料(4〜6人分)
  (その日の冷蔵庫にある物を使う)


・スープ用
鶏のブイヨン:1リットル※ないときは水
ニンニク:1欠片
ジャガイモ:2個
タマネギ:中1個
トマト(大):半分
キャベツ:数枚
マッシュルームの足:数本
レタス:4分の1
新タマネギ:数本
ニンジン:1本
残り物のパスタ:少々(残りご飯なども可)
ゆで豆:少々
塩:適量

・クルトン用
バター:大さじ1
オリーブオイル:大さじ1
パルミジャーノ:大さじ1



※ちなみに、パスタはカルチョッフィと生塩ベーコン、
 ペペロンチーニ入りパスタの残りです。



■作り方

(1)まず、ニンジン、新タマネギ、ニンニクなど、
煮えにくい野菜をざく切りにする。



(2)スープに入れて、中火で煮る。



(3)(1)の次にかたい野菜をざく切りにする。
キャベツ、トマト、ジャガイモ、
マッシュルームの足など。



(4)(3)を鍋に入れて煮る。



(5)火の通りやすいものをざく切りにする。
調理したパスタ、ゆでた豆サラダなど



(6)(5)を鍋に入れ、15分煮る。



(7)残り物のかたいパンを発見!



(8)クルトンを作りましょう。
パンをサイコロ状にきる。



(9)バターとオリーブオイル各大さじ1を
フライパンに入れてあたためる。



(10)今回は、スープがデリケートな味になったので、
クルトンにチーズを加えました。
フライパンにパンを入れ油分を吸わせたら
パルミジャーノを大さじ2加え
カリカリになるまで炒める。
※スープの味に合わせて好みのクルトンにしてください。



(11)かたいものがよく煮えたら、
塩で味付けをする。
※好みでコショウもどうぞ。



(12)火を止め、ハンドミキサー等で潰す。



(13)潰し加減はお好みで。



はい出来上がりです。
その日の冷蔵庫の素材競演の味ができましたでしょうか?
お好みで生クリームを入れて濃くしてもいいですね。
BUON APPETITO!


 
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