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アーカイブ 2013/02/24
 
レシピその189
鶏肉の春ロール〜米寿の母〜


日本から、こんにちは。
母の米寿のお祝いで帰国しました。
私ごとで申し訳ありませんが
今回は、母のことを書かせてください。

母は青春時代を戦争下で過ごし、
疎開地で知り合った
エンジニアの父と結婚し、
三男一女に恵まれます。

二男の健康のために、
空気の綺麗な茅ヶ崎に引っ越した直後、
父が交通事故にあい、
一晩で母の人生は一転します。

女手一つで子供を育てる生活の糧を
祖父の親友からのすすめで、
お煎餅製造販売店に決め、
ここから母の細腕繁盛記は始まります。

私の小さい頃の母は、
職人さんのために早朝に炭を起こし、
住み込みの店員さんや
私たちの大家族のために家事をこなし、
からだを動かしていない時間は、
寝ているときだけだったような気がします。
寝る時に「寝るのも仕事仕事」と言いながら、
寝床に入る母でした。


そんななかでも母は、
閉店後、従業員のために、
ペン習字やダンス、卓球など
みんなでたのしめることを実践し、
子供にも決して
苦労をしている姿を見せません。

好奇心と研究心を持ち合わせる母は
新しい味のお煎餅を作り、
50種類以上の味を生み出しました。
その中でも、小田原の梅で
特別作ってもらった梅を練って入れ込んだ
「おにぎり煎餅」や
湘南名物の落花生を使った甘い「吹雪」、
たたみいわしで巻いた「さざ波」、
特別辛い「雷蔵」などで、
昭和52年に全国菓子博覧会で
金賞をいただくまでになりました。

長男を4歳で、夫を31歳で、
三男を56歳で先立たせた母は、
辛い気持ちを表すことをしません。
その姿を見る私たちのことを考え、
いつものように物静かで無口で、
そして全ておおらかに受け入れて、
今でも朗らかでいます。

母が毎日つけていた日記の
はじめのページに書かれていたのが、
林芙美子の「花の命」でした。
それを見た時、
母を守ってあげたい気持ちが
いっそうつのりました。

その母が作った
親でも夫でも子でもある森田屋の歴史が、
今、後継者で悩んでいます。
私は今までは無縁だと思っていた問題に、
直面しています。
このほそぼそと紡いできた、
家族総動員で守ってきた歴史を続けて行くには
どのようにしたらよいのか?
大きな課題の壁に、
遠くイタリアに住む娘の私の
力の限界を感じます。
何か良いアイディアはないものでしょうか?

さて、今回のメニューは
母が喜ぶイタリア料理の一品です。
シャンピ二オン(マッシュルームの一種)の
代わりに
シイタケを使ってみました。
どうぞお試しくださいね。

鶏肉の春ロール

■材料(4人分)

トリ胸肉:300g
キャベツ:130g
ベーコン:40g
ニンニク:小1欠片
タマネギ:4分の1
ニンジン:30g
セロリ:20g
生シイタケ:100g
白ワイン:150cc(野菜用50cc、肉用100cc)
ジャガイモ:2個
牛乳:150cc
水:適量
塩・コショウ:適量
エキストラバージンオリーブオイル:適量



■作り方

(1)トリ胸肉を薄く切り、
クッキングペーパーの上に隙間なく並べる。



(2)肉の上にサランラップを敷き、薄くのばす。



(3)キャベツは拍子切りにして、
塩入りの湯で軽くゆでて、
水を切っておく。



(4)フライパンに
エキストラバージンオリーブオイル大さじ1を入れ、
ニンニク、タマネギのみじん切りを入れ、
弱火で焦げないように炒める。



(5)中火にして、
ニンジン、セロリ、ベーコンの拍子切りを
入れて炒める。



(6)シイタケを入れて炒める。



(7)白ワイン50ccを入れる。



(8)ワインがなくなるまで煮込む。



(9)(3)のキャベツを入れ、
塩・コショウで味を薄めに整えて冷ます。



(10)(9)をさましている間に、
ピュレーソースを作ります。
エキストラバージンオリーブオイルに、
タマネギとニンニクのみじん切り大さじ2を入れ、
炒めたあと、
大サイコロ切りにしたジャガイモを入れ、
牛乳、水を入れて煮る。



(11)さめた(9)を
薄切りにした肉の中央に置く。



(12)海苔巻のように
ペーパーを使って丸める。



(13)筒状になった肉を、
もう一度しっかり包み直し、
熱くしたフライパンに入れて、
フタをして空焼きする。



(14)転がして全体に焼目をつけ、
ワイン100ccを入れ、
アルコール分を飛ばした後、
弱火にしてフタをして10分蒸し煮する。



(15)ピューレを仕上げます。
ジャガイモが柔らかくなったら、煮汁と
エキストラバージンオリーブオイル大さじ2を加え、
フードプロセッサーで撹拌する。



(16)焼き上がり。
肉汁はとっておきソースに使う。



(17)肉をひとはだの温度までさまして、
ペーパーをはずして、輪切りにする。



はい、できあがりです。
ピュレーソースの上に肉を並べて、
肉汁を肉の上からかけてくださいね。

BUONAPPETITO!!




▲米寿を迎えた母です。

 
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