リエティにすんでいた頃、
羊飼いの家族たちが暮らす
「スイス渓」と呼ばれる村に
行ったことがありました。
そのことがいまでもわすれられません。
彼らの生活と食事に触れたことは、
豊かさの原点を振りかえるよい機会でした。
同時に、軽い衝撃を受けたことを
今でも覚えています。
その「スイス溪」近くのフィアミニャーノ村に
友人のマルチェッロが連れて行ってくれました。
ペコリーノ・ロマーノと
リコッタチーズの製造過程を見てきましたので、
その様子を写真でお伝えしましょう。
▲標高1000mのところに
ジョバンニの自宅と製造所があります。
▲ジョバンニ65歳と奥さんのアッスンタ63歳。
一日の休みもなく、毎日チーズ作りをします。
飼っている羊は300頭。その中に乳羊は80頭います。
「羊の乳が毎日でるからね」とアッスンタさん。
▲まずは夏の草の香りがするというミルクの味見から。
鍋は45年間使用している銅鍋です。
▲38〜40度に温めます。
1個あたり1〜1.2kgのペコリーノチーズを
つくるためには10Lのミルクが必要です。
今日は35Lで作ります。
▲子羊の胃袋から作ったCAGLIO(凝乳酵素)を
少しの水で溶かします。
▲それをガーゼを通しながら入れて、
15〜20分休ませます。
▲かたまってきました。
▲出来たてホヤホヤのカード。
カードとはミルクのタンパク質がかたまったもので、
絹ごし豆腐の舌ざわりです。
一緒にきたフランチェスカも、
初めての味わいを楽しみました。
▲かたまってきたカードを撹拌します。
火を入れて再び45度にして休ませます。
▲またまた味見です。
「子ネズミ」と呼ばれる下にできたカードを
手で絞って水分をとった物です。
チーズらしい味と歯ごたえが出てきました。
おいしさに全てがゆるみます。
▲下にかたまったカードを手で丸くして、
糸で切って割り型に入れます。
▲よく押さえて形を整えます。
▲また軽く押さえて余分な水分を取ります。
4、5時間水切りをして、片面に塩をふります。
そして、朝になったら、もう片面に塩をします。
この塩を洗って熟成させると、
ペコリーノ・ロマーノになります。
▲リコッタチーズを作ります。
鍋に残ったホエー(乳清)に
ミルクと塩少々を加え、
もう一度65〜80度に温めて、
上に浮いた泡を取り除きます。
▲セイヨウサンザシで作った棒に、
かたまった物が付着してきました。
▲穴あきのお玉で
表面の物をすくって型に入れます。
▲自然に水分がとれるように穴があいています。
液体がとれてかたまったら
リコッタチーズの出来上がりです。
リコッタとは「再び煮た」という意味ですが
リコッタチーズはホエーを
むだなく使ってできる副産物ですね。
▲こちらは、奥にある熟成室。
▲左端が友人のマルチェッロ。
ご近所さんも集まりました。
▲チーズをつくりはじめると
想定20歳くらいの野良猫「ねこちゃん」がきます。
新鮮で栄養分たっぷりの生活を送っている
幸せな「ねこちゃん」です。
さて、今回ご紹介する料理は、
このリコッタチーズのサラダです。
さわやかな味をお楽しみくださいね。
|
リコッタチーズのサラダ
■材料(2〜4人分)
リコッタチーズ:150g
熟トマト:大1個
梨:4分の1個
紫タマネギ:少々
レモン:少々
バジリコ:数枚
パン:好みの分量
砂糖:少々
■作り方
(1)洗ったトマトを薄切りにする。
(2)お皿にトマトを広げて
砂糖少々を全体にかけ、
冷蔵庫で15分くらい冷やす。
(3)サイコロ切りにした梨にレモン汁をかける。
(4)タマネギを薄切りにする。
(5)(4)にレモン汁を少々かける。
(6)パンを薄く切ってオーブントースターで焼く。
(7)トマトの上にほぐしたリコッタチーズを広げる。
(8)タマネギをのせる。
(9)梨を散らす。
(10)バジリコを手でちぎりながら散らし、
焼いたパンを添える。
はい、出来上がりです。
個々のお皿に分けて、
オリーブオイルやバルサミコ酢、レモン塩など
お好みで味付けして楽しんでくださいね。
BUON APPETITO!
|
|
|
|