歌手になりまして。

板尾創路さんは、
スピリチュアルリラクゼーションサロンECCOの
フローティングシェルの中で
真っ暗で無音、裸で1時間半、
エプソムソルトの水に浮いています。

耳が水の中に入るので(耳栓をします)、
空気を伝わって聞こえる音は遮断されますが、
自分のからだの音だけが聞こえるのだそうです。
つまり、まばたきの音や、
血液の流れる音、髄液の流れる音が聞こえてきて
中には、自分の息がうるさい、と
おっしゃる方もいるそうです。

板尾さんは、これを聞いたとき
「‥‥フッ‥‥」
と笑っておられました。
「髄液の流れる音て言われても」

1時間半経つと、終了の合図である
やわらかなベルのような音が
フローティングシェルの中に流れます。
板尾さんは、その音をシェルに入る前に確認し、
「わかりました、この音が鳴ったら終わりですね」
と言って、入っていかれました。
人によっては、この音が鳴っていないのに、
空耳で聞こえることもあるんだそうです。

「鳴ったがな!」
「自分ら、呼んだがな!」
「もう、またかいな!」
勘違いして何度も出てきてほしいなぁと思いますが、
板尾さんは1時間半びっちり、
まるでどこか遠くに行ってしまったように
シェルの中にはいったままです。
どうやら快適にすごしているようです。

では、板尾さんが最近何をしているのか、
訊きましたので、
そちらをおたのしみください。




板尾さん、最近何やってるんですか。

「最近はテイ・トウワさんと組みまして、
 『少年B』というCDを出すのに忙しいです。
 数年前から、歌詞はたくさん書いていたんですが、
 それがなかなか、たまってきたので
 もったいないな、
 そろそろ曲とかつけてもいいんちゃうか、と
 言っていたところにたまたまテイさんが
 神様に推薦されたようにお現れになりました。
 それは、松本人志さんの『大日本人』試写会のときに
 席が隣どうしというタイミングでした。
 テイさんは、『板尾日記』を大人買いして
 周囲の方に配ってくださっているという
 ありがたい人でしたので、
 僕の主旨は言わんでもわかります。

 くり返しますが、そこは、
 『大日本人』の完成披露試写会ですから、
 吉本の偉いさんもたくさんいて、
 その席で話がとんとん通り
 会社の上層部にもその場でオッケーが取れました。
 それが去年の夏で、
 年末にはレコーディングが終わってました。

 このように、流れるようにできあがったCDです。
 何の心配もないです。

 ただ、問題なのは、
 これからプロモーションとかで、
 ヘタしたらテレビで歌わないといけない。
 レコーディングが終わったら
 僕は歌を全部忘れてしまいました。
 もういちど、最初から練習です。
 CDをお買い上げくださったみなさんと
 同じ歩みでやっていきます。

 CDを買うと強制的にDVDもついています。
 このミュージックビデオを撮ってくださったのが
 宇川直宏さんです。
 びっくりするようなDVDができてきましたんで、
 1500円で、お買い得ですよ。
 ぜひひとつ、お買いになっていただければ──いや、
 ふたつぐらい、お金のあるときには、
 買っておいたらいいと思うんですけどね」


何がしたいんですか。

「僕は音楽の才能は何もないんですよ。
 でも、音楽関係の仕事に、
 声をかけていただく機会が多いです。
 自分でも、なんだか最近は、こちらのほうに
 自然に流れてきているような気がするんです。
 音楽で、僕のできることといえば、
 詞を書くことくらいなんでね、
 そのへんをせいいっぱい
 やってるんですけども──ひょっとしたら、
 阿久悠さんが亡くなられたんで、
 次はおまえやぞということを、
 まあ、言われているんでしょうね。

 僕は阿久悠さんとは、交流はありませんでしたが、
 生まれ変わりではないので、
 乗り変わりってやつでしょうか。
 頼まれてはいませんけども」



板尾さん、どこに行くんですか。

「吉本興業の一芸人ですから、もちろん
 舞台もやらなあかんし、その一方で
 詞も書かなあかん、という毎日です。
 お笑いは、まぁ、はかなく消えていくもので、
 そのはかなさがいいんですけれども、
 歌詞は、ずっと残っていくもんでね、
 やっぱり音楽家として
 歴史に残っていくでしょう──ということになったら
 何百年後かぐらいには
 板尾というのは何なんだ、ということになります。
 医学の進歩にゆだねるところもありますが、
 80〜90歳くらいになっても
 ルミネの劇場にも出て作詞もしていたいです。
 将来的には、『おふくろさん』
 みたいなのを作れるといいですね」



何百年後、歌謡界をゆるがした作詞家の名前を
あいうえお順に並べると
阿久悠さんのわりと近くに
名前を並べることになるのかもしれませんね。
でも、『おふくろさん』は、
阿久悠さんの作詞ではありません、と
心の奥で思いましたが、
このコンテンツは板尾さんを
ひたすら見守るという主旨です。
ここはダンマリを決め込みます。

次回は
1時間半、水に浮いた板尾さんが
出てきます。
どうぞおたのしみに。





少年B
価格:1,714円+税 
価格:1,500円(税込み)
発行:よしもとアール・アンド・シー

板尾さんが作詞と歌を担当する
CD+DVD。
プロデュースはテイ・トウワさん、
ミュージックビデオは宇川直宏さんの手によるもの。
歌詞のどこを切っても「板尾創路」が出てきそうな、
結晶のような作品です。

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2008-03-04-TUE