(2009年4月18日「今日のダーリン」より)
・向井万起男さんの新しい本を読んでいます。
『謎の1セント硬貨』っていうんですけどね。
アメリカというところを、うろうろ歩いて、
きょろきょろ見て、あれこれ訊いて‥‥とにかく、
「人間がなにかを知る」というのは、
こういう具体的なものなんだよなぁ、
と感心するんです。
向井さんのことをよく知っていたり、
向井さんの本を読んだりしている人には、
言わずもがなのことなんですけど、
この、一般には「女性宇宙飛行士の夫」
と思われている人は、実に大きくて
おもしろいんですよねぇ。
「大きくておもしろい」ことを、
職業にしていないのに、
「大きくておもしろい」んです。
こういう人が、お医者さんだったりするのが、
「日本の底力」というものなんじゃないだろうか。
中島みゆきさんが、『地上の星』で歌った
「草原のペガサス」って、けっこういるんだよねー。
・だいたいね「謎の1セント硬貨」って、
なんのこっちゃって思いませんか。
本の前書きにあたるところに、
この硬貨が登場します。
話のおもしろさを端折っちゃって言うと、
これはアメリカが、物資の不足していた戦時中に、
1年だけ造っていた
「鋼鉄製の1セント硬貨」のことです。
いつも豊かだったようにさえ思えるアメリカでも、
戦時中のプロダクトってものがあるんですよね。
リーバイスのジーンズでも、
「第2次世界大戦モデル」というのが
あったっけなぁ、
なんてことを思い出しました。
いや、ぼくは復刻版のレプリカとか
見ただけですけど。
戦勝国の、圧倒的に豊かだったはずのアメリカでも、
こんなふうだったのですから、
戦争末期や戦後すぐの日本の人たちの生活は、
ほんとうに貧しかったわけですよねぇ。 |