著者の速水浩平さんは、
振動や音から電気がつくれないか? と考えて、
実用化に向けて研究を重ねているかたです。
人が歩いたり、話したり、車が走ると、
電気が生まれる時代がやって来る‥‥
なんだか、わくわくするお話です。
振動や音から電気をつくるというアイディアを
速水さんはなんと小学生のときの理科の時間に
「モーターと発電機のしくみは逆です」
と教わって、ひらめいたそうです。
電気で回るモーターのしくみとは逆に、
発電機はモーターを回して電気を起こしている。
ということは、電気で音を出すスピーカーでも
同じことが言えるのではないか?
速水さんはこのことをずっと覚えていて、
大学生になったときに
実現に向けて本格的に研究をはじめます。
この本は研究のスタートから
いまに至るまでのプロセスと、
「振動力発電」について書かれていますが、
わたしが一番、「おおおっ!」と思ったのは、
速水さんが、人からなにを言われても、
実験に失敗しようとも、
あきらめることなく考えぬいて、
困難を乗り越える新しいアイディアを思いついて、
実現に向けて歩まれてきたところです。
壁にぶちあたる →
いっしょうけんめい考える →
いっしょうけんめい手を動かす →
別の角度から考える →
また別の壁が出てくる → 考える‥‥
この繰り返しを、熱中してやっていらっしゃるのも
すごいなあと思ったし、
逃げたり、手を抜くことなく、ねばってねばって、
壁を乗り越えていくプロセスは、
アイディアを実現する人の道のりそのもので、
自分も見習おうと思いました。
速水さんのここまでの歩みを知り、
元気がわいてきましたし、
未来に目を向けるとおもしろいな、と
感じた本です。 |