イトイの読んだ本、買った本。
 
イトイの読んだ本
『キャッチャーという人生』
著者:赤坂 英一
発行:講談社
価格:¥ 1,575(税込)
ISBN-13:978-4062157353

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イトイはこう言っている。
(2009年8月29日「今日のダーリン」より)

『キャッチャーという人生』という本が、出ます。
ぼくはゲラの段階で読んで、今日、見本をもらったので、
また読みはじめてしまいました。
なんかねー、じぶんが野球を好きな理由が、
読んでるうちに、あぶりだされてくるんですよね。
いずれ、「ほぼ日」でこの本に関する連載をやります。
たのしみだなぁ、じぶんで。

 
乗組員も読んでみた。
エースでも四番バッターでもなく、
「キャッチャー」に焦点を絞った本です。
しかしながら、主役として登場するのは、
古田敦也さんでも、野村克也さんでもありません。

いちばん多く登場するのは、
元巨人の村田真一さん。
そして、元広島の達川光男さん。
それから、いまも現役で活躍している
中日の谷繁元信捕手と、
ロッテの里崎智也捕手。
西武のコーチとして注目された、
大久保博元さん。

ええと、なんというか、
野球ファンにはもちろん
お馴染みの名選手たちなんですけれども、
ちょっと、その、失礼ながら、
書籍を飾る顔ぶれとしては‥‥地味かも?
いや、ほんと、大きなお世話ですけど、
素直な印象として。

しかも。
この本を読み終えて、
ぼくがもっとも印象深く感じたのは、
たいへん失礼ながら、
この本の登場人物のなかで
一般的にはもっとも知名度が低いと思われる
山中潔さんでした。

山中潔さんは、
PL学園から広島に入り、
ダイエー、中日、日本ハムと渡り、
日ハムで戦力外通告を受けた後、
テストを受けてロッテ入りしました。
いずれの球団においても、
正捕手というよりは2番手の捕手として
存在感を持っていたキャッチャーです。
‥‥といったことも、
じつはこの本ではじめてきちんと知りました。
プロ野球が大好きといいながら、
失礼ながらこの本を読むまでは
山中潔さんのことを
ほとんどなにも知らなかったんです。

各球団を渡り歩き、最後に指導者として開花して
WBCで大活躍する里崎捕手を育てる山中さんは、
「裏の主人公たち」をメインにしたこの本の
さらなる「裏の主人公」であるような気がします。

帯には
「野村と古田の陰に隠れた
 6人の名捕手たち」とあります。
谷繁選手や里崎選手を
「陰」と呼んでいいのかはさておき、
「キャッチャー」という
どちらかといえば華々しくない
ポジションを切り口に、
プロ野球というスポーツを
まったく露悪趣味的にではなく、
違う角度から照らす姿勢がたいへん印象深く、
何気なく読みはじめたら、
どんどん引き込まれて
一気に読了してしまいました。

プロ野球ファンとして、
知ってる話、知らない話、
たくさんあって、どちらも魅力的でした。
プロ野球ファンでない方にも楽しめます、と、
無責任に広くおすすめするよりも、
ここは「プロ野球が好きな方にぜひ!」と
あえてせまく強くおしたい気持ちがあります。

村田選手の巨人時代の恩師である須藤豊さんが
大洋の監督になったとたん、
「村田さえ潰せばいい」とばかりに盗塁させまくり、
1試合8盗塁を記録する話とか、
二軍からあがってきたばかりの投手を
うまくリードできなかった大久保捕手を
故・藤田元司監督が
「今日の試合はあいつの人生がかかってたんだぞ」と
叱りとばす話とか、いいですよー。

2009-10-31-SAT
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