タモリ |
ジャズをたのしむには、
「俺の話を聞いてくれ」
の、その話を聞いてあげる
優しさを持たないといけないんです。
プレイヤーが
何をしてくれるじゃなくて、
自分がプレイヤーに対して……。
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山下 |
まぁ、ジャズマンって、
どいつもこいつも、
いい演奏をしちゃった後は、
もう世界でいちばん
自分がえらいと思っていますからね。
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糸井 |
作曲と演奏と、即興ですべてやるから?
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山下 |
そうなんだろうね。その錯覚がすごい。
ただ、最終的には、
ジャズマンは、勝手なことをして、
自分で責任を取るしかないんです。
どんなことをしても自分の責任なんだから、
それでバカモノと言われて蹴りだされても、
しょうがないんです。
それでもしたけりゃやりなさいというもので。
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糸井 |
なんか、剣の道みたいですね。
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タモリ |
剣の道です。
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糸井 |
新しい斬り方を考えるんだけど、
それで死んだら自分が悪いという。
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山下 |
そうそう。
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タモリ |
一度、
女性ジャズボーカリストの
公開オーディションというのを
やったことがあるんです。
バンドをつけて……おもしろかったです。
「自分はすごい」
と思ってるやつばかり来る。
そういう目で見ていると、
オーディションがおもしろくてしょうがない。
ものすごいヘタなんだけども、
雰囲気だけはジャズ。
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糸井 |
今は、どういうところで
ジャズを演奏するんですか?
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山下 |
純粋なライブというより、むしろ、
お酒を飲ましているところだとか、
蕎麦屋で、月一回やっていたとか、
そういうのもありますよ。
蕎麦屋のオヤジがうるさいやつで、
「ニューヨークじゃ、みんな、
食いながら聞いてるんだから、
日本人は蕎麦屋で
食べながら聞いたっていいんだ」
とか。
そういうところで、
学生やプロになりたて、
みたいなのがやっていたり……
何でもないレストランに入って、
下でジャズが聞こえるから行ってみたら、
若いのがデュオをやっていたりする。
そういうのって、
ぼくが行く立川あたりには特に多いのかなぁ。
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糸井 |
ほんとに、落語の状況と似ていますね。
落語も、そういうところでやりますもの。
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山下 |
蕎麦屋、すごくうるさいんです。
お店に入ったら、もう、
すぐに真空管のアンプがあるの。
「すげぇ」と思ったんだけど、
うるさいことは、うるさい。
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タモリ |
(笑)
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(つづきます) |
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