こんどの「JAZZ」、どうする?

第4回 やれちゃいますね。

糸井 いま、山下さんが短い時間で
教えてくれたジャズの歴史と変化を
ひとつひとつ追いかけてたら
曲数だけでも
かなりなことになっちゃいそうですね。
山下

ええ、そうですね。

糸井 どこかをこう、かいつまんだりしながら。
山下

うん、モダンジャズだけでも
スタイルの変遷があったりしますから。
つまり、ビ・バップから、ハードバップ、それから
ファンキージャズがあって、モードジャズになって、
フリージャズが出てきて、1960年代の終わりころには、
エレクトリックジャズってのも出てきますよね。

糸井 ああ、「マイルスが電気をつけた」ってやつですね。
山下

あはは、それですね。

マイルス・デイヴィスは、
そっちに向かっていきましたけど。

糸井

はい。

山下

そうかと思えば、
ジョン・コルトレーンなんかは
どんどんフリージャズのほうへ行きましたよね。

糸井 ええ、なるほど。
山下

そういうふうに変化してきた結果、
今、ありとあらゆる「ジャズ」がある。

糸井

じゃ、2回目の「はじめてのJAZZ」をやるとしたら、
全体をギュッと凝縮しながら
ここは濃くしよう、みたいな構成が必要ですね。

山下

1ジャンルにつき、ひとつの演奏として、
それを何分でまとめるとすれば、えーと‥‥。

糸井 やれちゃいますかね。
山下

やれちゃいますね。

糸井 やれちゃうか。
山下

10パターンぐらいは。

糸井 そうか、やれちゃうのか。
山下

あいだにトークを入れるとしても。

糸井 それ、ちょっといいですね。
山下

まあ、ものによっては、すごく短いサンプルになる。
‥‥つまり、フリージャズだったら、
演奏しはじめたらそのまま一時間半止まんない、
なんてこともあるわけですから。

糸井 ええ、ええ。
山下 いつまでたっても終わらないと困るので(笑)、
やっぱり断面、断面で
切りとっていく構成になるとは思うんですが。
糸井 じゃ、ここはぜひ聴いてほしいって部分に
たくさん時間を取るやりかたも‥‥。
山下 あるし。
糸井 あるし。
山下 時間配分を考えて、
少なくとも、それぞれの姿だけは
ハッキリとお見せしようって方向でしたら
不可能なことではないと思います。
糸井 いや、おもしろくなりそうですねぇ、これ。
< 続きます >

今日のジャズ語。

マイルスが電気をつけた
1950年代以降、モダン・ジャズの
代表的なトランぺッターとして
ジャズ界をリードした、マイルス・デイビス。
ジャズのことをあまり知らなくても、
その名前くらいは聞いたことがあるはず。
時代に応じてさまざまなジャズの方向性を
打ち出してきたマイルスは、
1960年代の後半から、
ジャズにロックのリズムや電気楽器を導入し、
新たなサウンドに取り組みはじめた。
これは、当時のジャズにとって
かなりおおきなできごとだったため、
いまでも「エレクトリックマイルス」、
「電気マイルス」などと象徴的に語られている。
1969年のアルバム『ビッチェズ・ブリュー』が、
「電気マイルス」の代表作。
電気音楽を大胆に導入しただけでなく、
ジャズに「リズム革命」を
もたらした作品であるとも言われている。

2007-09-28-FRI
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