|
でも、こういう話にしても、
その‥‥「語れる」ってことじたいが
おもしろいんですよ、ジャズって。 |
|
そうなんですよ。
いくらでも語れるんですね。
さっきの『戦後日本のジャズ文化』という本でも
「戦後の日本の文化は
ジャズを抜きにしては語れない」っていう
視点なんですね。 |
|
うん、うん。 |
|
映画でも小説でも、戦後日本の文化には、
なんにつけても「ジャズ」が出てくる、と。 |
|
クラシックの名曲喫茶なんかだと、
オヤジと喋ろうと頑張ってる人たちなんて
いないですからねぇ。 |
|
あれは、かけっぱなしだしね。 |
|
このオヤジと仲良くなりたい!
‥‥なんて、思ってないでしょう(笑)。 |
|
そうか(笑)‥‥それはジャズ喫茶だけだね。 |
|
|
|
で、ジャズ喫茶のパロディみたいにして
ロック喫茶ができたりしたんですよね。 |
|
うん、うん。 |
|
渋谷の百軒店にあった
「ブラック・ホーク」なんかでも
みーんな、同じ聴きかたしてましたよ。
‥‥つまり、レッド・ツェッペリンを
目をつむって、下を向いて
黙って聴いてるって時代があったんですよね。
「シーッ!」って感じで。ほんとですよ! |
|
それ、知らなかったなあ。 |
|
山下さんなんかは、どう見てたんですか?
そういう「日本のジャズ喫茶」を。 |
|
ジャズ喫茶には音を覚えに行きましたね。
家に再生装置がないころにはね。
だから信者の客とは違うんですけど(笑)、
日本中にある
あのジャズ喫茶のオヤジっていうのは
その地域の文化の先導者だったりするんですよ。
その町内で、いちばん文化的な人たちが集まっては
ジャズ喫茶を中心に
海外の新しい文化を摂取するというような活動を
日本中でやっている。
そういう拠点だと思うんですね、ジャズ喫茶って。 |
|
はああ‥‥なるほどね。 |
|
そこでは日夜、
世界最高のプレイヤーたちのレコードを聴きながら
ああだ、こうだって話ができる。
「こいつ、ここのこの音、
こういうつもりで出したんだよな」とかさ。
至福の時間ですよね。 |
|
ただ‥‥われわれが若いころは
日本人がやるジャズに対して、
そういうジャズ喫茶の連中のまなざしは
かなり冷たかったですよね。 |
|
ある意味でいうと、
「インターネットみたいなもの」って
昔からあったってことですね。
つまり、あらゆるものごとに対して、
ああでもない、こうでもないって。
「隅じゃないところ」まで
「重箱の隅にしてしまう」みたいなところって
インターネットにもあるじゃないですか。 |
|
ただね、ジャズ喫茶でも
やかましいとこもあるんですよ。
こいつら、ぜんぜん聴いてないじゃんって
いうようなところが。 |
|
うん、やっぱりあるよね。 |
|
新宿のほうに、二軒くらいあったなぁ。
一軒は、ほんっとにうるさかった。 |
|
あ、そうですか。 |
|
‥‥それもいかがなものかと。 |
全員 |
ははははは(笑)。 |
|
|
< 続きます > |