こんどの「JAZZ」、どうする?

第12回 日本の「ジャズ喫茶」後編。

糸井

でも、こういう話にしても、
その‥‥「語れる」ってことじたいが
おもしろいんですよ、ジャズって。

山下

そうなんですよ。
いくらでも語れるんですね。

さっきの『戦後日本のジャズ文化』という本でも
「戦後の日本の文化は
 ジャズを抜きにしては語れない」っていう
視点なんですね。

糸井

うん、うん。

山下

映画でも小説でも、戦後日本の文化には、
なんにつけても「ジャズ」が出てくる、と。

タモリ

クラシックの名曲喫茶なんかだと、
オヤジと喋ろうと頑張ってる人たちなんて
いないですからねぇ。

糸井

あれは、かけっぱなしだしね。

タモリ

このオヤジと仲良くなりたい!
‥‥なんて、思ってないでしょう(笑)。

山下

そうか(笑)‥‥それはジャズ喫茶だけだね。

 
糸井

で、ジャズ喫茶のパロディみたいにして
ロック喫茶ができたりしたんですよね。

タモリ

うん、うん。

糸井

渋谷の百軒店にあった
「ブラック・ホーク」なんかでも
みーんな、同じ聴きかたしてましたよ。

‥‥つまり、レッド・ツェッペリンを
目をつむって、下を向いて
黙って聴いてるって時代があったんですよね。
「シーッ!」って感じで。ほんとですよ!

山下

それ、知らなかったなあ。

糸井

山下さんなんかは、どう見てたんですか?
そういう「日本のジャズ喫茶」を。

山下

ジャズ喫茶には音を覚えに行きましたね。
家に再生装置がないころにはね。
だから信者の客とは違うんですけど(笑)、
日本中にある
あのジャズ喫茶のオヤジっていうのは
その地域の文化の先導者だったりするんですよ。

その町内で、いちばん文化的な人たちが集まっては
ジャズ喫茶を中心に
海外の新しい文化を摂取するというような活動を
日本中でやっている。
そういう拠点だと思うんですね、ジャズ喫茶って。

糸井

はああ‥‥なるほどね。

山下

そこでは日夜、
世界最高のプレイヤーたちのレコードを聴きながら
ああだ、こうだって話ができる。

「こいつ、ここのこの音、
 こういうつもりで出したんだよな」とかさ。
至福の時間ですよね。

タモリ

ただ‥‥われわれが若いころは
日本人がやるジャズに対して、
そういうジャズ喫茶の連中のまなざしは
かなり冷たかったですよね。

糸井

ある意味でいうと、
「インターネットみたいなもの」って
昔からあったってことですね。
つまり、あらゆるものごとに対して、
ああでもない、こうでもないって。
「隅じゃないところ」まで
「重箱の隅にしてしまう」みたいなところって
インターネットにもあるじゃないですか。

タモリ

ただね、ジャズ喫茶でも
やかましいとこもあるんですよ。

こいつら、ぜんぜん聴いてないじゃんって
いうようなところが。

山下

うん、やっぱりあるよね。

タモリ

新宿のほうに、二軒くらいあったなぁ。
一軒は、ほんっとにうるさかった。

糸井

あ、そうですか。

タモリ

‥‥それもいかがなものかと。

全員 ははははは(笑)。
 
< 続きます >

あなたの質問に、壇上の3人が答えます!

前回の「はじめてのJAZZ」では、
みなさんから募集した「ジャズに関する質問」に、
山下さん、タモリさん、糸井重里が答えるという
コーナーをもうけました。

山下洋輔カルテットの実演もとびだすなど、
たいへん盛り上がった企画だったので、
今回もまた、やりたいと思います!

「ジャズ」についての質問・疑問があったら、
どんなことでもOKですので、
ペンネームをお書き添えのうえ、
メールにて、どしどしお送りください!

質問をおくる
たとえば、前回の「はじめてのJAZZ」には
こんな質問が寄せられました。
ジャズって勉強が必要ですか?
ついきいてしまうCDを教えてください。
ぶっちゃけ、
スウィングするというのが、
いまだにわかりません。
どういった感じなのですか?
なんか、今さらすいません。
ジャズをどうきけばいいのでしょうか?
イメージではソファーなどで座って
足を組み、グラス片手に目をつむり、
音をわかってるふうに
ちいさくリズムを取るというか。
手拍子や合いの手、掛け声などは禁止。
服装は、ドレッシーなんでしょうか?

なお、みなさんからいただいた質問は、
イベントのときだけでなく、
後日、このページでもご紹介したいと思っています。

ジャズについて、3人に聞きたいことがあったら
どうぞお気軽に、お送りくださいね!


2007-10-08-MON
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