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いつか「人物篇」、おもしろそうですね。 |
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サッチモ、マイルスとか
基本的なところから‥‥。 |
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前半はほとんど、
無名のアフリカ人だったり(笑)。 |
全員 |
ははははは(笑)。 |
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でも結局、
その人を押し出した時代の空気だとか、
必然性があったんでしょうね。
誰かがムチャをしないと変わんないというか。 |
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うん。 |
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最初の「ひと弾き」を、誰かが。 |
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バディ・ボールデンていう伝説のトランペッターがいて。
ミシシッピー川の向こうまで音が届いたという‥‥。 |
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デカいんですか?(笑)。 |
全員 |
わはははは(笑)。 |
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うん、デカかった、音が。
昔、「音デカいのが勝ち」っていう時代が
あったんですよ。
それを聴いて、その人を目指した少年が、
サッチモ(ルイ・アームストロング)なんです。 |
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ほお‥‥。 |
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で、シカゴに移ったサッチモの音を聴いた
白人たちが、がんばって‥‥。 |
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シカゴジャズ。 |
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ビックス・バイダーベックなんていう
天才肌の人もいたし、
ほかにも白人の若者たちが真似をして、
エディー・コンドン派のシカゴジャズなんて
いうのもできるわけですね。
方々の街で、そういうことは起きたと思うんです。
それがスイングジャズ時代に続いて、
やがて、マイルス・ディビスへと。
ラッパならラッパの歴史はつながるんです。 |
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おもしろいですねー。 |
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いま、トランペットでトップの
ウィントン・マルサリスって人のインタビューを
読んでたら、
みんながマイルス、マイルス、言いすぎると。
つまり、オレの技術を持ってすれば、
誰の演奏でも真似できるって、暗に言ってる。
でも、真似しようとしても
絶対できないやつがひとりいる、と。
それが、サッチモなんだって。 |
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それ、わかる気がします? |
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そうかもしれません。 |
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真似出来るできないとは別に、
音楽ってね、ぼくは「火くらいはやい」と思う。
‥‥つまり「火」って棒につけてもらったら、
そのまま持って帰って
すぐに自分の人たちのものになる。 |
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ああ‥‥。 |
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音楽の場合も、聴いておもしろいと思って
覚えちゃったら、すぐ友達に教えられる。
はやいよー、これは。 |
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それこそ「音速」。 |
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わはは、「音速」です(笑)。 |
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だから、ながい歴史があるけれども、
その歴史とか空間とかを
飛び越えちゃうってこともありますよね?
「あ、分かった!」って。 |
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そういう現象があると思うんですね。
なにかの研究実験で、アフリカの人に
モーツァルトの音楽を聴かせたんだけど、
ぜんぜん反応がなかった、と。
それはもう「風」と同じで、
打楽器が鳴らないことには
意味が伝わらないってことらしい。
そこではモーツアルトは、
意味のあるものにはならない。
でも、もしかしたら一人ぐらい、
「なんだこれ、おもしろい!」って人が
いたかもしれない‥‥いや、いたと思うんです。 |
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ふん、ふん。 |
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わからない人も入るけど、わかる人もいる。
決めつけちゃいけない。
ジャズでもそうだけど、
はじめて聴いてわかる人、絶対いるはずだから。 |
< 続きます > |