JIMIYA
女子大生ヂミや1001夜。

98年9月7日(月)

【修行の始まり】

私にとっては「修行」でもある。
ルールは簡単。
自動販売機のとこに落ちてる小銭を
1001台ぶん拾ってくる。
たった、これだけ。

基本ルール以外は全て自分で決める。
これって、一見楽そうに見えるが、
実はそーでもない。
ある程度決められちゃったほうが、
人はそれに向かって頑張れる。
でも、何にも決まってないと
「別にいいや」ってことで、
後回しにしてしまう。最悪、やらない。

自分で決めた事だからといって、
簡単にそのルールを破るのは、
誰だって心が痛む。
私の場合、そんなに心は痛まないけど、
最近急激に、ルール破りは禁物になってきた。
(あっ、実際はそうでもないか。)

私は普段、他人に鞭を要求しているからか、
自分にはかなり甘い。
自分で自分に鞭を振れないぶん、
人に頼んでいるのだが、
あまりにも他力本願すぎる。
だからこそ、ここで、
自分で決めたことはしっかりやり通す。
自分で自分に鞭を振ることにした。

途中で、
はずかしいとか、めんどくさいとか、やめたいとか、
色んな感情が出てきて、それをうまくこなせるか。
これから、見物ですねぇ〜。
この場を借りて、泣き言いってたりして。
「もう、わたくし、ヂミやを辞退します!」とかね。

でも、自分では「修行」とかいって、
大変そうに言ってるけど、
かなり、楽しもうと思ってるんです。
なんか、外でやった、
子供の頃のアソビみたいでいいじゃないですか。
駄菓子屋に行く前に、
10円拾ってお菓子買って喜んでた。
そん時より、もっと楽しいと思う。
いろーんなことが起こるから。

98年9月8日(火)

【単純な奴だよ、私ってば】
そうときまったら、自販が恋しくなっちゃった。
今まで、自販なんて
自分が買う時だけしか気にかからなかったのに、
いちいち、気になり出した。
しかも、下のほ〜うが。
何が売ってるかじゃなくて、何が落ちてるかが。

昨日の今日で、
ヂミやについてまだ何も考えてないのに、
(いつ・どこで・どーゆーふうにやるのか)
夜、家路につく途中で、つい自販に手がのびてしまった。

ここで、場所を説明したいんですが、今、
「家路につく途中で」なーんて言っちゃったもんだから、
ちまの住処がバレるのがいやなんです。
ダサいとこなんで。
まっ、一応「ヒントは、北野たけしさん」ってことで
勘弁してください。あっ、バレバレかぁ。

んで、ちょっと、とゆーか、かなり遠慮ぎみ。
(人目を気にしてた)で、
釣り銭受けのとこに、中指と人差し指をいれて、
カチャカチャっと二往復してみた。 ・・・なかった。
そりゃあ、1台目で拾ったら、ほんとに偶然であって、
「逆につまんないでしょ」なんて言い聞かせて、
さりげなく地面を見た
(ここでも、人目を気にしてたんだな)。
やっぱりなかった。
とりあえず、家に着くまでに、
10台はやろうってことに決めた。
したら、意外と10台なんて
すぐ出来ちゃうもんですよ。
普段、帰り道に自販が
何台あるかなんて数えたことないけど、
結局、16台もあって。
でも、16台はやらなかった。
「今日は10台」って決めたから。
だから、余裕で10台はクリアしたけど、
釣り銭受けと地面をちょろっと見ただけだったせいか、
拾った金額はゼロ円也。

やっぱり、さっさと「ヂミやの五つ道具」を
取り揃えて、
(もちろん、ちまのお手製ですよ、
そんなモンは売ってないから)
明るいときに、堂々とやるべきなんでしょうね。
次こそ拾ってやるぅ!

98年9月11日(金)

【あ〜、気分よかったぁ!】
今日は、ちょっと用事があって神楽坂に行ったのです。
べつに、芸者さんをやってるわけじゃない。
まず、駅前の駐車場に車を止めて、
タバコの自販を見つけたんです。
で、私の吸ってるタバコってなかなか売ってないんですよ。
やっぱり、そこの自販に「カールトン・メンソール1mg」
なんて売ってなかった。
じゃ、諦めようかな、と、いったんそこを離れて。
でも、「ない」のを我慢するより、
妥協してでも「あった」方がいい。
タバコを我慢出来ない人間にとっては。
ってことで、もう一度戻って、
妥協して「バージニア・ワン」を買うことにしたんです。

ちょうど260円、ってのがなくって、
1060円を入れて。
次に、ボタンを押して、釣り銭レバーを下げて。
んで次に、しゃがんでタバコと釣り銭を取ろうとした、
そ、そ、そその時!
地面で、光る10円だまっっっっっっっっっっ!
なんという幸運。
なんという偶然。
それはそれは、ちょうど西日に照らされて、
輝いていた。
まぶしいくらいに。
黒ずんだ、銅のくせに。

思わず私は、その10円玉が
めちゃくちゃ大事に思えて、
じっと見つめてから、そいつを拾い上げた。
「こんなプライベートで拾っていいのか?」などと、
自問自答しつつ。

しかっし、そん時の私にそんな
ルールは存在しなかった。
「これを逃してたまるか、バカヤロー!!」と。
そして、拾った10円玉の裏面には、
ほこりがついていたので、きれいに落としてあげた。
もう、その10円玉がかわいくて・かわいくて、
しかたなかったのです。
だって、“記念すべき初獲(しょかく)”なんですもの。

で、ほっといたタバコと釣り銭も、ようやく取って。
釣り銭の800円は普通に財布に入れて、
タバコは鞄に入れたんですが、
拾った10円玉を入れるもんがない!
こいつは、そーとーVIPなやつだから、
なくしちゃ困る!
ごそごそ鞄をいじくって、
あんまりVIPにはふさしくないけど、
筆箱に入れることにした。
(常に筆箱を持ってるってとこが、
インチキ学生っぽいでしょ?)
筆箱なら、紛らわしくないし、
チャックも付いてるから安心だ。
という感じで、この10円玉は無事に保護された。

※ちなみに、拾った小銭はちゃんと、
イイコトに使わせて頂きますよ。
懐に入れないって、ルール。

でも、初ゲットが10円玉でよかったかも。
フィールドは、あと990台ぶんあるわけだし。
だって、いきなり500円玉とか拾っちゃったら、
出来過ぎでつまんない。
まぁそのときはそのときで、
「幸先のよいスタートです!」なんつって、
喜んではいただろうけどさっ。
ちょっと、「ジミなヂミや」もいいじゃないですか。
これから、「ハデなヂミや」になるかもしんないし。

まっ、それにしても、 この10円玉は、
ちまに拾われる運命だったのだ。
だって、いったんは、
この自販を後にした身なんですから、私は。
あの「カールトン・メンソール1mg」を、
「バージニア・ワン」にしてもいいやという
「妥協」があったからこそ、
私たちは巡り会えたのよ。
時には妥協も必要なのよ。

しかし、私は満足してはいられないのだ。
自販の隅に埋もれてる小銭たちよ!
私が助けに行くから待ってろよ!

1998-10-04-SUN


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