JIMIYA
女子大生ヂミや1001夜。

1999年5月5日(祝)
【International ヂミや 】


とうとう、カウントダウンの始まったヂミや。
しかしこの調子だと、1001台をこなすのに、
1年もかかってしまいそうだ。
一気に300台とかやってた時のことを考えると、
簡単に終わってしまうのだが、
そーだと、かなりあっけない。
「こりゃ、ちょっと手間暇かけてみようか」と、
黄金週間の最終日でもあり、こどもの日でもある、
5月5日に成田空港へ向かった。

この日は帰国ラッシュで、バカンスぼけした人が、
たくさんお金を落としてくれるはずだ。
しかも、黄金週間にどこにも行かなかったちまにとって、
ずいぶんと良い旅行になるではないか。
で、そんな話を4月30日に会った友達に話していたら、
「オレん家、成田近いから手伝ってやるよ」
と、またまた助っ人が登場したのだ。
アンナとヂミやをやって以来、
二人ヂミやはいいもんだと、味を占めていた。
でもいくら成田近いったって、「悪いよなぁ〜なんか」
と、本当に頼もうとは思わなかった。

さあ明日だ!
と早起きをするために気合いを入れていたら、
なんか物足りない気がした。
何なんだろう、なんかこの、忘れ物をした気分は。
そうしたら、トシの事だと分かった。
やっぱり手伝ってもらおうと、トシに電話をしてみた。
「トシ? あ、あのさ、この間言ってたやつなんだけどさ」
「あー、ヂミやだろ。手伝ってやるよ。で、何時?」
「結構早くてさ、トシの住んでるところらへんに、
午後1時には着きたいんだよ」
「1時? ぜーんぜん早くねぇじゃん。
じゃ、上野で京成線乗るときに電話してよ」
「ありがとう。じゃ、明日ね」
と、ヂミやの最終回になるかもしれない前日は、
ちょっと緊張して眠った。

朝目覚めると、とても気持ちのいい日差し。
早くも今日のヂミやの成功を祝っているかのようだった。
気分良く出発し、まずは上野駅へ向かった。
ただでさえ、自分の指定した時間には着かなそうなのに、
もたもたしていたら、乗るべき電車を乗り逃し、
結局、トシが住んでるところらへんに着いたのは2時近く。

「まぁ、まだ帰国ラッシュは始まってないよね」と、
かなり強引にトシと自分に言い聞かせた。
成田に着くまでの電車の中でトシに、
「どのへんで拾いたいの?」と聞かれて、
「ここまで来ちゃってから気付いたんだけど、
成田空港って、ほっとんど自販ないよね」
「あー、そう言えばないかもな」
「自販で買って飲むよりも、店に入ってお茶するじゃん。
それか、売店がたくさんあって充実してるからさ。
早くも雲行きは怪しいけど、どうにかなるっしょ」
と、まずは成田空港第2ターミナル駅で降りた。

手始めに駅の自販9台をチェック。
「拾えないけど、結構いい感じじゃん」
と、二人はこの後起こる大変な出来事に、
まだ気付いていなかった。
自販の台数が少ないということは心しておいたが、
ここまで少ないとは...。

とにかく空港内に入っていった。
人や自販がないのを覚悟して、出国ロビーに行くと、
いきなり1台自販があった。
まあ、これだけ広いんだから、もう少しあるはずだろうと、
そのまま歩き続けたら、結局ないのだ。
ひょっとして、反対側にはあるかもと、また歩き続けたが、
やっぱり1台しかないのだ。
この広さで、2台とは予想外だった。
いくらなんでも、10台くらいはあると思ったのに。

じゃあ、到着ロビーに行ってみようと、
行ってはみたものの、やはり2台しかない。
人もそんなに多くない。
ニュースとかで写ってるあの人・人・人は、
エキストラなのか?
いや、まさかそんなはずはない。
ただ単にここが第2ターミナルだってことと、
帰国時間はバラバラだからしょうがないのだ。

ここはさっさと第1ターミナルに移った方がよさげなので、
送迎バスで向かうことにした。
バス停の場所を探すにも、とにかく広すぎる。
バス停を突きとめてバスを待っている時に、
「あっ、あれそうかな?」とトシに聞くと、
「あー、あれじゃない。もっとチンケなやつだよ。
なんかさ、いかにもってやつだよ」
「あ〜、やたらハデだとか、それっぽいやつねぇ」
タダで送ってもらうのに、言いたい放題いってたら、
『いかにも』がやってきた。
全身まっ黄色に染めた予想通りドハデな奴だった。

少しは人も自販も多いだろうと、期待して行ったが、
第1ターミナルも、自販はやっぱり少なかった。
とにかく金の落ちてそうなところを嗅ぎつけなきゃ。
そんな中、トシが「あっ!!」と言って
走っていった所にあった物は、
赤地に白い字で書かれた『落花生』のノボリだった。
「んだよー、コーラのノボリかと思ったよー」
たしかに、その出で立ちは、充分コーラのノボリだった。
赤地に白い字のノボリなんて、コーラの特権かと思いきや、
落花生にも許されたデザインだったのだ。
めげずに、金のありそうな所を練り歩いたが、
結局見つからなかった。
ちなみに、第1・第2ターミナル合わせて25台。
いくらなんでも少なすぎだった。

それはそうと、
成田空港がきれいになってから初めて行ったので、
あの到着便とかの案内がカタカタじゃなく、
電光掲示板になっていたのには違和感を感じた。
長い間ドラマとかで、慣れ親しんできたカタカタだけに、
あのハイテク掲示板は、少し寂しい気もした。

そんな成田空港とはさっさとおさらばして、
成田山に向かうことにした。
「とにかく自販の台数は多いよ」と、
トシが貴重な情報をくれたのだ。
狙いは、黄金週間中にお詣りに来た人の小銭。
さい銭のように景気良く落としていってるのではないか。
しかも、ちまは成田山に行ったことがないし、
ちょうどいい観光になる。

そう思い、また京成線乗り場へ行き、
自販をチェックしたら、21台もあって、
「なんだよー、空港より調子いいじゃん!」
と二人で思わず叫んでしまった。
しかも、ある友達の証言によると、
京成線のホームにある自販には、今年の3月頃、
ジャーラジャラ落ちていたらしいのだ。
で、肝心のジャーラ・ジャラ(インド人のようだ)は?
まったく気配なし。

もう今度こそ空港とは、おさらばだ。
電車に乗って、潔く京成成田駅を降りたとたん、
目の前に広がった自販に驚嘆させられた。
そりゃあ、新宿や渋谷に比べたら少ないものの、
ここの普段の人口から考えると、
明らかに自販が多かった。
大晦日や元旦以外は、売り上げ、大丈夫なのか?
いや、ナイスな観光スポットなのかもしれない。
とにかく、
残りの台数は簡単にこなせそうなほど沢山ある。
もうひたすらチェックしていった。

このままだと拾えずに、今回がヂミや最終回になる。
「終わりよければ全てよし」な考えがちまにはあったので、
「この終わり方じゃ全てダメ」ってことになるじゃないか。
その旨をトシに伝えると、
「30台くらい残しといたほうがいいんじゃないの?」
と言われ、そうすることにした。

そうしてるうちに、成田山の境内に入っていった。
人はほとんどいない。
出店も出てない。
出店にちょっと期待していたトシは残念そうだった。
そのかわり、ちゃんと就職祈願をしていた。
その間私は、さい銭箱をのぞき込んだり、下をみたり、
単なる、さい銭泥棒のようなあやしい奴だった。

「じゃっ、今日はお開きにしよっか」
「それにしても、厳しいんだなー、ヂミやって」
「まあ、今日は単なる戦略ミスだね。帰国の人じゃなくて、
帰京の人を狙えば良かったのかもね。東京駅でさ」

そんなことを話しながら、駅に向かった。
もうちょっとで駅に着くというのに、
二人とも我慢していたモクがきれてきたので、
道ばたに座って一服していた。
しかも、トシはちゃんと携帯灰皿を持っているのだ。
偉いぞ!道徳戦士トシ!

そろそろ時間も押してきたので、立ち上がろうとした時、
もうだっこしたくなるような、かわいいあばあちゃんが、
「そんなとこ座ってないで、お茶でも飲んでき」
と声を掛けてきてくれた。
お言葉に甘えたかったのだが、次の予定の都合上、
お断りするしかなかった。

その代わりと言ってはなんだが、
「一緒に写真を撮って頂けませんか?」と聞くと、
「えっ? 私と?」
「はい。おばあちゃんと一緒に撮りたいです」
おばあちゃんは、「こんな格好じゃ」と髪を整えて、
少女のような無邪気な笑顔で一緒に撮らせてくれた。

なんだか、拾えなかった今日のヂミやも、
このおばあちゃんのお陰で、
とても素晴らしい一日となった。
ありがとう! おばあちゃん!
そして、一日ヂミやをやってくれたトシに、感謝!


【今日の様子】
場所:成田空港・成田山
時間:14:30〜19:00
天気:五月晴れ
気温:気持ちいい春の気温
人通り:成田山は外人多し
台数:95台
金額:0円
残り台数:30台
只今の金額:1263円

1999-06-06-SUN


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