もくじ
第0回こどものころのはなしがしたい。 2016-06-02-Thu

北海道のしいたけ農家育ちで、デザイナーをやっています。小さい頃はフルーツ農家に憧れていました。あだ名は(ながしま)カントクです。

担当・ながしま

わたしの好きなものは、こどもの頃の話です。
恥ずかしい話、今だから言える話、なんてことない話。
こどもって、おばかでかわいいですよね。
そんな時代が誰にでもあったということが不思議です。
平気な顔をして「お先に失礼します」「承知しました」
と言い合ってますが、お互いに時代は違えど、
小さな男の子と女の子だったわけです。
ふとしたきっかけで話しだすとき、
その人の生まれ育った風景や空気が見えてきて、
前よりずっと親しみを感じてしまいます。
定時後や休日はできるだけそんな話を
誰かとしたいなと、そう思っています。

まず、う〇この話は、無尽蔵に出てくる。

これは、出てくる、出てくる。
頼まなくても向こうからやってきます。
この手の話をすました顔をして
さっと分けてくれた人たち、ありがとうございます。


わたしは小さい頃から便秘気味で、
うさぎのう〇こみたいな固形状のやつを
やっと2~3個出せるみたいなこどもでした。
幼稚園の頃、あそびを中断したくなくて、
トイレに行かずぽこぽこと下着の中に溜めていたら、
まるでラムネ菓子を押し出すように
コロコロとジャージの裾から出てきました。
「でも、まあバレないだろう」としれっとしていたら、
そのあと親が呼ばれました。

(30代女性)


中学生の頃、下校途中にもよおして、
帰りを急ぐため自転車で爆走していました。
坂道をのぼるとき、ふんばったら一気に出てきてしまい、
もう訳が分からなくなってぶりぶりと
猛スピードで漕いで家までたどり着き、
「どうしたん!?」という母の声を無視して
風呂場に直行し、制服姿のままシャワーを浴びました。

(40代男性)


小学校の中学年くらいまで、もらしてました。
男子は個室に入ると「う○こする」って分かっちゃうから、
学校でするのは職員室横とか、遠くのトイレ。
先客がいたりして学校でできないときは、
帰り道はおしりに力いれてそろそろと帰ってました。
結局、あと少しのところで漏らしちゃうんですけどね。。
そっからはもうダッシュです。

(30代男性)

恥ずかしい話に、いちばん個性が出る。

いちばんテンションが上がるのがこれです。
テンションが上がりすぎた結果、面白く伝えられなかった、
という事故もしばしば起こります。


小学生の頃、「絶対誰にも言うな」と口止めされつつ、
姉と一緒に曲をつくりました。
当時家にあった旧いオルガンで、
2人ともピアノなんて習ってませんから、
メロディとは言いがたい、あやしく暗い旋律の
「ハートに矢が刺さる」という曲が完成しました。
けっこういろんな人に言ってます。

(30代女性)


昔、ラジカセに録音機能があったんですよね。
こっそりポエムを録音したことがあります。

(30代女性)


妹が小学生のとき、屋根の上でラジオ体操をして
落下して、尾てい骨を骨折しました。
ベランダでラジオ体操をするのに
憧れてたみたいです。
うちにはベランダがなかったから…。

(30代女性)


カラオケボックスに行きたいけれど
田舎だったので近くになかったんです。
友人宅の6畳くらいの部屋で4人それぞれの方向を向き、
アカペラで好きな曲を順番に歌ったことがあります。

(30代女性)

なんてことない話が、記憶に残る。

「オチのない話なのに、なぜか鮮明に覚えている」
というこどもの頃の記憶があります。
この記憶を脳が選定した理由って、何なんだろう。
そういう記憶を思い出すとき、
決まって「におい」とか「味」とか、
五感を伴っているような気がします。


稲刈りした田んぼの上で
きょうだいで米袋を敷いて昼寝をしていた。
目が覚めたら、あたりが暗く夕方になっていた。
急いで走って帰ったんだけど、
「寝過ごしちゃった。あぶなかったね」っていう感じが、
こども心に嬉しく、楽しかったなあ。

(30代女性)


母の実家への帰省するとき、いつも寝台車でした。
秘密基地のような空間で、すごくわくわくしました。
途中10分ほど止まる駅で
夜ごはん用にうどんを買いに走った母を、
姉と一緒に不安な気持ちで席で待ってました。
電車が走り出し、半ベソをかいていると
息を切らしながらうどん2つを両手に
戻ってきた母を見たときの、
何とも言えない安心感と言ったら!

(30代女性)


小学校4年生のとき入っていた
野球少年団のコーチとの思い出。
厳しい練習のあと、おじいちゃんコーチが
パックの牛乳をおごってくれるんです。
でもたまーーーに、コーヒー牛乳のときがあって。
これが大好きで。ハイタッチしたりして。
いまでも実家に帰るたびに、
コーヒー牛乳が唯一売ってる
グラウンド横の自動販売機に足を運びます。

(30代男性)


はじめましての会話にも、ぜひ。

ビジネスの場でもまずはじめに、名刺交換のあと
「う〇こもらした話、なんかすごいのあります?」
「昔、アマチュア無線にはまってて」
「お下がりの装備でスキー滑ったら板が崩壊して」
というような会話をひととおりしたほうが、
ものごとが円滑に進むんじゃないかなと思います。
でも自分自身、う○この話が屈託なくできるようになるまで
一緒に2~3年くらい過ごしてからでないと難しいのですが。

奥行きを持って人のことを見つめるようになると、
(よほどのことがない限りは)
たいていのことは許せるようになる気がします。
…たぶん。
この先接点がなくなったとしても、
それぞれの小さな人生は続いていくので、
みんないつまでも達者でいてほしい、と思います。
でも、誰にも話さない自分だけの記憶がいちばん大切で、
それがあるからこそやっていけるんだろうな、
とも、思います。

当たり前のようなことをつらつらと書いてしまいました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
<ながしま>