もくじ
第0回「お金」は夢を見せてくれる 2016-11-08-Tue

20代前半、社会人女性です。

私の好きなもの</br>お金

私の好きなもの
お金

担当・どーなつ

「私の好きなもの」というお題を聞いたとき、
ふと頭をよぎったのは椎名林檎さんの「月に負け犬」という曲でした。
その曲は、このような歌詞から始まります。


「好きな人や物が多過ぎて 見放されてしまいそうだ」。


音楽、小説、旅行……私には、好きなものがたくさんあります。
手に入れるまでのいろいろも、その数の分あります。


あらためてゆっくり考え直してみると、
好きなものを手に入れるための手段として、
だいたい「お金」が必要になることにあらためて気づきました。


私にとっては「お金」こそ、夢を見せてくれる素敵なものです。
おこづかいをもらったとき、
お給料が振り込まれたとき、
「なんでもできそう」と今でもドキドキします。


この課題はその「お金の先」にあるものについて書くべきなのかもしれません。
しかし、好きなものが多すぎるので、
「お金」を通して私の世界がどう変化してきたのかを書いてみました。

「お金」は夢を見せてくれる

100円あれば、10個も買える!

「おこづかい」を初めてもらったのは小学1年生のときです。
私が住んでいた北海道の田舎町の学校では、
みんな「学年×100円」が月々のおこづかいだったと記憶しています。

「100円」を握りしめて、友だちと近所のローソンへ。
買うのは「蒲焼さん太郎」など、1つ10円の駄菓子たち。
20円の「どんどん焼き」を買うか「酢だこさん太郎」を2枚買うか、
友だちといつもめちゃくちゃ悩んだことを覚えています。

あと今月7個も買えるね!
いや、明日の分まで食べちゃう?

そんなワクワクが、100円に詰まっていました。

まさか、10円を「財布が重くなるからいらない」という日が来るなんて……。

一大イベント「CDアルバムの購入」

中学に入ると、「学年×1000円」がおこづかいになりました。
吹奏楽部に入った私は部活命だったので
そんなにお金を使うタイミングはありませんでしたが
ちょうど椎名林檎さん(当時は東京事変)にはまってしまい……。

CDやDVDを買うお金はないので、
音楽番組を録画して、ラジオをMDに録音して。
なんとか必死に新曲を追いかけてはいましたが、
どうしてもアルバム「大人」が欲しかった。
ファンとしてちゃんとしたパッケージを手元に置きたかった。
約3000円のアルバムは、
月々のおこづかいが2000円だった私にとってはとっても高いお買い物でしたが、
今でも大好きな1枚です。

でも、ライブに行くお金はないし、
そもそも田舎町には彼らは来てくれません。
もちろん遠征なんてできないので
ライブのセトリをチェックし
ライブレポを読んでは、
セトリ順にMDで曲を並べて妄想する毎日でした。

友だちとの「時間」に消費

中学は校則が厳しく夜も部活で遅かったので、
学校帰りにコンビニに寄るなど
「友達と一緒にお金を使う」タイミングはほとんどありませんでした。
そこから一転、高校に入ると、主体的にお金を使える環境になりました。

たとえば土日の部活後に仲間とミスドに寄って
「あのソロをうまく吹けない」
「先輩の指導が厳しい」と愚痴をこぼしたり、
期末テスト前にはまたミスドで数学の問題を教えあったり。
欲しい「もの」ではなく、
友だちと過ごす「時間」にお金を払うと
いつもとは違った景色が見えることを知りました。

相変わらず部活命だったけれど、
「遊ぼう」じゃなくて「ご飯行こう」「お茶しよう」っていう、
ちょっと大人なワードを使い始めたのもこの時だったと思います。
ルミネもパルコもない田舎町で、
やっすい服を頑張って着回したのも、今思えばなかなか楽しかった。

自分を飾るための、お金

大学入学のタイミングで、憧れの町「東京」へ。
地元の夏祭りか?というくらい多くの人々が行き交う駅には興奮しましたが、
私なんて存在しなくても変わんないな、と寂しくも思いました。

キラキラした東京の世界でしっかり生き抜くためには、
おしゃれして、自分に自信を持って、前向いて歩かなくちゃいけない。
そんなかっこいい東京人になるには、やっぱり自分に使うためのお金が必要だ。
と、早速お寿司屋さんでアルバイトを始めました。

時給は950円と日本の飲食店バイトの中では高いほうだと思いますが、
これまでお年玉でもらっていた「1万円」を稼ぐのがどれだけ大変か、痛感したのもこのとき。

初めての給料日に「4万円」が入ったときには、
すっごく嬉しくて、嬉しくて、
前々から狙っていたワンピースをゲット。
さらに、今まではお金がなくて断念していたロックフェスも、
バッチリ申し込みました。

「自分で頑張って稼げば、私の欲しいものが手に入る」
とその自由にドキドキしたことを覚えています。

お金の素晴らしさ

さて、就職すると、16万円くらいが月末に振り込まれました。
これまでの収入からは桁違いです。
これが、毎月、固定で、手に入る。

なんでもできる!!

「蒲焼さん太郎」は何枚でも買えるし、
欲しいアルバムはiTunesでDLしちゃうし、
ワンピースは月に2着までOKかな、
チケット8000円のライブは2days行く。遠征だってする。

1年ほど前になりますが、私は転職をしました。
有給を利用して二週間くらい休みがとれると知り、思い立ってすぐ、ニューヨーク旅行の予約をしました。

大学時代、海外旅行といえばそれはそれは半年前から貯金を始めて
それでも足りなくて貧乏旅行、
だったのですが、
「あ、やすみとれるじゃん。ニューヨーク行きたいな」
で好きなところに行けたんです。

お金、最高だ。

「お金」は夢を見せてくれる

100円で毎日がキラキラしたり、
1000円じゃ足りなかったり、
お金そのものの価値は変わらなくても
私にとっての価値はどんどん変化していきました。

でも、お金を手にしたときの、口座残高がぐぐっと増えたときの、
ワクワク、ウキウキ、高揚感は今でも健在。

だいたいの「好きなもの」は手に入るし「好きなこと」はできるし「好きな人」にも会える。
お金で買えないものもある、けれど、お金で買えるものの方がきっと多い。

お金はただの手段だけれど、
手の届きそうで手の届かない「夢」に対して
アプローチできる、素晴らしいものだ。

未来の私がこれを読んだら、
「もっと大事なことあるでしょ」
「小さいなあ」
と思うかもしれない。
「若者のナントカ離れ」と笑われるかもしれない。
でも、いまの私にとっては、
お金こそが「すべてを与えてくれる」存在だ。

今日も私は、
「バーバリーのトレンチコートをいつか自分のお金で買う…」と夢を見ながら、
日々のお仕事に向き合います。