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第0回好きなんだけど… 2016-11-08-Tue

会社員です。毎日頑張って働いています。

私の好きなもの</br>「仕事」

私の好きなもの
「仕事」

担当・kumiko

私の好きなものは「仕事」です。
仕事でこれまでさんざん徹夜もしてきたし、
食生活も散々になって、
ずいぶん無茶もしてきました。
いわゆる「長時間労働」でもありました。
それでも「好き」なせいでしょう、
身体を壊したこともないし、
辞めたいと思ったことは一度もありません。
そんな私にとっての「好きなもの」を取りまく
環境がちょっと変わっていきそうです。
それに直面して、浮かんできた気持ちを書きました。

好きなんだけど…

私にとって仕事は
とても楽しいものだ。

だからいっぱい仕事をするのも好きだし、
長い時間、仕事をするのもイヤじゃない。
会社で仕事仲間と
あれやこれやと話し合い、
1つのゴールに向かっていくのは
たとえ苦しくても、とても充実した時間だ。

仕事以外の時間を大切にすること、
生活が充実することもいいことだと思うけれど、
仕事に時間を費やすせいで
生活やプライベートが犠牲になっている、
という感覚が、私にはあまりない。

仕事が「好きなもの」だからだ。

これまでの私にとって、
そういう感じはちょっと
胸を張れることだったかもしれない。
「仕事が苦にならない」。
「仕事が好き」。
周りにそういうことを言っている人は
あまりいなかった。
だから、
仕事と好きなものが同じな自分は、
ちょっとトクだな、と思っていた。

けれど、これからの時代、
私はこれまでみたいに、あんまり
それを言えなくなっていく気がしている。

「仕事」に向けられる視線が
これまでとは、大きく、しかも、急激に
変わってしまっていくように思うからだ。

* * *

「仕事ばっかりしているから
人生が豊かにならない。
だから、みんな、仕事以外のことを大切にしよう」
たぶん、それがいまの日本社会の
大きな流れだろう。

「あんまり働くな」。「早く家に帰れ」。
そんな空気が、
じんわり広がってきている気がする。

この空気は、「好きなものは仕事」の
私を、ちょっとツラくさせるものだ。

安倍首相が「モーレツ社員」を否定したり、
1年のうちに元旦しか休まず、
モーレツビジネスマンで有名だった
永守重信会長率いる日本電産という企業も、
残業してはいけない会社になっている。
モーレツに働くのがイヤじゃない私にとっては
ちょっと寂しい気持ちになってしまう。

「働き方改革」で、
場所にも時間にも縛られずに仕事ができる
テレワークが推進されているけれど、
意志の弱い私は
自宅やカフェでは誘惑に負けて
仕事がはかどらなくなってしまう。
何より、会社という空間で
同僚と直接顔を合わせて
みっちり一緒に仕事をするほうが
良いアウトプットにつながると感じている。

「ワークライフバランス」という言葉を
投げかけられると、
自分に対してちょっと切ない気持ちになる。
私はまだ家庭を持っていないから
どうしても「ワーク」が満ち溢れているバランスのほうが
充実感が得られるのに、
「それではダメ」の烙印を
押されている気分になってしまう。

いろんな場面で、
「仕事をいっぱいする」「長い時間、仕事する」
に対する風当たりが
強くなっているように感じる。
「これまでのように仕事をする」ことは
全否定、
と言ってもいい過ぎではないかもしれない。

* * *

「好きなもの」を聞かれて
「仕事」と答える私にとって、
これまでのように仕事をする世の中は
決して、悪いものではなかった。
むしろ、居心地がよかったかもしれない。

それが、どうやら変わっていく。

ちょっと胸を張れて、
ちょっとトクかも、
と思っていた自分はむしろ
ちょっと生きにくくなっていくのかな、
と思う。

「私の好きなものは仕事」。
そんな私にとっては、
ちょっと切ない時代に入ってしまったような
気がしている。