これはぼくの地元・長野県の松本市。
ぼくがこの地元を離れたのは、6年前。
大学進学と同時に地元を離れた。
場所には特にこだわりはなかったけど、
行ったのは関西の大学。
地元の長野よりはマシだろうなとは思った。
とにかく、
田舎を出れる、
新しい世界に行ける、
なにかおもしろいことが待っているという
楽しそうな予感でいっぱいだった。
そうして上京。
そんなにホームシックになることもなかった。
お酒も飲めるようになったし、
カフェを開拓することが楽しいんだということも知ったし、
お金を貯めれば旅行もポンと行けた。
大阪には電車に乗れば45分で行ける。
いろいろとできることが増えて楽しかった。
就活シーズンになってくると東京にもよく行っていた。
せっかく東京に来たんならと、
その度いろいろ調べて、気になっていた街に行って、
店やイベントをよく回った。
「渋谷」「代官山」「六本木」…
名前をよく聞いていたあの街に
行けるワクワク感があった。
東京は特に、調べれば調べるほど
おもしろいスポットが湧いて出てくる。
自分の知らないところに絶対面白いものが
まだ隠れているはずだと
思わずにいられなかったし、
それを探すのも楽しかった。
そうして京都や大阪、東京、
都会で世界が広がる楽しさを感じていた。
その間にもちろん帰省はしていたけど、
地元の友達に会えるという以外に
なにも感じていなかった。
「おもしろいこと」は都会に
あるものだと思っていた。
***
大学を留年して、その最後の年、
無事内定ももらい、単位を取り終えて、
卒業までの半年間
地元で過ごすことになった。
時間はやたらとあったので、
都会で育ててきた「おもしろいこと」の
アンテナを確認してみた。
すると思ったよりも「おもしろいこと」は
地元にも転がっていることに気づき始めた。
おじいちゃん・おばあちゃんをストリートっぽく
取り上げたイカしたフリーペーパーがあって、
東京にもなさそうな、
おしゃれで落ち着けるブックカフェがあって、
1万人以上を呼び込むマルシェイベントだってあった。
しかもコミュニティが狭い分、そうした
「おもしろいことをやっている人」にも
なんだかすぐにつながれた。
「おもしろいことをやっている人」と
つながると、「おもしろいこと」を
受け取る側から、生み出す側にもなる機会もできる。
都会にいたときはやろうとも思わなかったけど、
古民家を貸してもらって、
自分たちでチラシや看板を作って、
人を呼んでイベントを開いたりもした。
「おもしろいこと」は受け取るのも楽しいけど、
自分たちで生み出してしまうのはもっと
楽しいかもしれないと思った。
たった半年間だけど、
それまで「おもしろいこと」の
アンテナを発達させたこともあってか、
それまでの都会生活に
匹敵するかそれ以上の
濃度の「おもしろさ」
を地元で味わった。
***
きっと、大学進学とか就職とか、
ちょうど「おもしろいこと」に
踏み出せるようになる
タイミングで地元を
離れてしまうのかもしれない。
これは完全な主観だけど、
都会の「おもしろさ」は、
「みんなが知っている」ことを
確かめて、そこに参加できる
ということが一つあるような気がする。
地元や田舎は、
知名度や規模感は限られて
「みんなに知られる」っていうのが
最初から難しかったりする。
でも、そこを諦めたら、かえって
純粋な「おもしろさ」の
勝負をしやすい気がする。
だから表にはなかなか出てこないけど、
実は自分の知らないところで
「おもしろいこと」は地元にも
案外眠っているかもしれない。
実際都会がおもしろいのは
間違いないと思うけど、
少しだけ大人になって
「おもしろいこと」を知った
今だからこそ、
まだみんなが知らない、
隠れたおもしろさを地元で見つけるのは
とってもおもしろいと思う。
ぜひ、たまには地元の「おもしろさ」
を見つけてみませんか。
(おわり)