もくじ
第1回心踊る祭りとの出会い 2017-04-18-Tue
第2回仲間を増やしていくことの大切さ、面白さ 2017-04-18-Tue
第3回好きなことから得る、希望や嬉しさ 2017-04-18-Tue
祭りがくれた宝物

祭りがくれた宝物

担当・萩原有美子

“祭り”この言葉を聞いただけで、
嬉しくてワクワクしてしまうほど、私は祭りが大好きです。
「なぜ、ここまで夢中にさせるものがあるのだろう」
よくよく考えたら、祭りからもらった大切な宝物がたくさんあることを思い出しました。

盆踊り、神輿、お囃子… 
それらは日常に彩りを与え、私の心を癒し、明るくしてくれるものでした。

ここでは、私がこれまで感じてきた祭りの面白さ、偉大さ、あたたかさを
紹介できたらと思います。
エッセイを読んで、ちょっと楽しい気分になっていただけたらうれしいです。

自分に素直に、楽しく書かせていただきました。

第1回 心踊る祭りとの出会い

小さい頃から、盆踊りや神輿を担ぐ夏祭りが特に好きです。
お囃子の「ピ〜ヒャララ♫」という音色が聞こえたら、私の頭の中は祭りのことでたちまちいっぱいになってしまいます。
急いで部屋の窓を開けて、お囃子の姿を見つけた時の嬉しさといったら!
体の底から「早く参加したい!」とうずうずしてきてあの楽しそうな輪の中に早く入りたい、そう思っていたのを覚えています。

実家の横が公園だったので、そこで行われる祭りの音色は昼間からよく聞こえました。

「音が聞こえたら、(祭りが)終わっちゃう〜!って
はしゃいじゃってね。大変だった(笑)」

おばあちゃんからピンクの法被をもらった時は、喜んで家の中でずっと着ていたよ、などと母は懐かしそうに話してくれました。

記憶にある1番最初の祭りは、ある夏の盆踊り。
ようやく夜になり、浴衣を母に着せてもらって勢いよく家を飛び出すと、
目の前には驚くべき光景が広がっていました。
夜空に揺らめく赤や白の提灯に、焼きそばやかき氷の屋台。
愉快な音楽に合わせやぐらで踊る浴衣の女性たち、
それを囲み楽しそうに踊る人々。
大人も子供もニコニコしていて、まるで夢の世界でした。

私は嬉しくなって「わ〜!」と踊りの輪の中に入り、炭坑節や東京音頭を
みんなと一緒に踊りました。楽しい!気持ちでいっぱいになりました。

夏祭りでは、もう1つ嬉しい思い出があります。
公園の屋台で、父は頭にタオルを巻いて熱い網の前で焼き鳥を焼き、
母はエプロンをして、てきぱきと1番人気の焼きそばを売っていました。
電灯に照らされた2人の顔はきらきらしていて、町内会の人と楽しそうに
笑っていました。

その姿は粋でかっこよく、恥ずかしいような、誇らしい気持ちで見ていたのを覚えています。普段の両親とは違った一面を見ることができたのが、嬉しかったんだと思います。

履き慣れないかたい下駄。やぐらの畳の柔らかい感触にまぶしいライト。
心踊る音楽。夏の夜特有の、草木の青くさいむっとした薫り。目に映り、
耳で聞き、鼻に入ってくる匂いすべてが私を魅了しました。
「ああ。私はこういうの、大好きだ」そう思った、幸せな瞬間でした。

(つづく)

第2回 仲間を増やしていくことの大切さ、面白さ