私はいま、
フリーランスのライターとして生計を立てています。
好きな分野の「日本酒」を看板にかかげ
さまざまな雑誌や単行本、WEB媒体で執筆しています。
日本酒を造る蔵元や
それを売る酒屋、飲食店の取材がメインですが
焼酎やビールなどの酒類や料理など
他のお酒と食に関する仕事も多いです。
それでも、いちばんはやっぱり日本酒。
ライターの仕事をはじめて10年以上が経ちますが
日本酒の連載の仕事もいくつかいただき
一昨年は『蔵を継ぐ』(双葉社)という著書も出しました。
とはいえ、現在の自分の状態を
不思議に眺めてしまうことがあります。
そもそも、私は上の写真の一部にあるような
立派な媒体の方々とツテもなければ
ライターとしての経験もまったくなかったのです。
大学は出ていないので、さした学歴はありません。
では、文章を書くのが好きだったかというと
正直、苦手でした。
メールを返信するために書くこともおっくうで
たった一文だというのにものすごく時間がかかるような
物書きにはまるで向いていない人間でした。
フリーランスの仕事で必要な
営業や人とのコミュニケーションが
上手だったわけでもなく、むしろその逆も逆。
小さい頃から人見知りで消極的で
そのくせいつも自尊心が強い
あまり笑わない嫌な人でした。
人前で自分の意見を言うなんて、ありえなかった。
そんな私がいまでは、
蔵元や飲食店の人たちに向けた日本酒セミナーの講演を
する機会が少しずつ増えてきたというのだから
自分でもびっくりしています。
そうなったのも、
日本酒に出会ったことがすべてのはじまりでした。
また、どうやら私は
日本酒という装置をつけると格段に強くなるみたいです。
(つづく)